誰が日本のテクノハウスシーンをダメにした? 2/3 ~年功序列~

誰が日本のテクノハウスシーンをダメにした? 1/3 ~多様性~

クラブとクラブカルチャーを守る会(CCCC)/PLAYCOOL メンバー
「TLに「俺がイケメンなので動画撮ったりするのは咎めなけど外見でしか見てくれてない女の子多過ぎ。ホントは俺の選曲で踊ってくれるのが1番嬉しい」なんて言ってるDJの人のツイートが流れて来て、どんなイケメンかと思ってついついそのDJの人のフライヤーとか見たら二重に衝撃を受けてしまったw」
どんな容姿でも自分に自信持っていいんですよ。DJの外見いじり。こんなのイジメでしょう。トランスジェンダーのDJが同じこと言ったら同じように冷やかしただろうか。長年ゲイパーティでDJをしてきて、見た目による偏見や多様性について学ばれなかったのか。
クラブを規制する風営法に興味を持ったので、クラブとクラブカルチャーを守る会(CCCC)/PLAYCOOLの方の考えも知りたく発言はよくチェックしていた。パリピ、EDMの客、クラブ(箱)、現在のクラブシーン、若手DJの悪口ばかり。パーティを支えるスタッフや不景気の中も経営を続けDJプレイできる場所を守ってきた箱、客に対して感謝の言葉を見ることはなかった。
2016年に風営法が改正されて3年近く、CCCCはハロウィン翌朝の掃除以外に何をしてきたんだろう。自分たちは政治家とも話すと言っているが、6月のダンス文化推進議員連盟に参加したのだろうか。ナイトタイムエコノミー議連の動きは把握していたのだろうか。パリピやEDMだってカルチャー。大学や会社の仲間とはできない大好きなアニソンで大暴れしながら踊ることができるアニクラは、マイノリティーが自分を解放して自分らしくいれる場所、クラブカルチャーそのものなのでは。クラシックやジャズが高尚な音楽と思わない。ジャンルや楽しみ方が違うだけで、音楽に本物も偽物もないし貴賤もない。

急にCCCCが動き出した理由は明らかではないが、『2020年を目前にナイトエコノミーを巡る国の動き』で書いたように、2019年11月開催予定のナイトタイム・サミットを踏まえてではないかと推測している。クラブ初心者にもクラブカルチャーの魅力を知ってもらうべく、マイムマイムしか踊れずクラブは一度行ったきりの"せやろがいおじさん"を招いて、『平成最後の緊急クラブ・サミット』が開催された。
『平成最後の緊急クラブ・サミット』 クラブカルチャーは守れるのか!?
"2020年を目前に「夜間の経済活動/夜間市場」=ナイトタイム・エコノミーの活性化に注目が集まり、国内の夜間経済の活性化の可能性のひとつとしてのクラブやクラブカルチャーに再び脚光が注がれる中、本イベントに、前会長のZeebraと共に、風営法改正前より活動、新体制を発表したばかりのクラブとクラブカルチャーを守る会/PLAYCOOLのメンバーを迎え、クラブ初心者やクラブにある偏見、問題点を分かりやすく解説、討論し、過去?現在?未来の時間軸の中で、これからのクラブとクラブカルチャーの在り方や、初心者でも楽しめるclubbingのススメなど、" "クラブやクラブカルチャーに接点のなかった皆さん、クラブって怖い場所!という偏見をお持ちの皆さん、そしてもちろんクラブ上級者の皆さん、関係者の方々、是非この機会にお集まり下さい!"

クラブとクラブカルチャーを守る会(CCCC)/PLAYCOOL - これからの日本のクラブカルチャーの在り方を考える。クラブとクラブカルチャーを守る会の戦い
ダースレイダー:日本の社会って、色んな人が同時に居られる場所がないんですよ。昼間の街って窮屈で、みんな他人と関わりたくない、もめたくないという事なかれ主義のようなところがある。そういったところから飛び出てみんなと一緒になれる場所が、クラブの本来あるべき姿だと思っているんです。
Q'HEY:仕事も、性別も、人種も、すべて取っ払って「音楽」というキーワードで繋がっていけるのがクラブ。

『平成最後の緊急クラブ・サミット』終了後のCCCC会長のツイート

「クラブって怖い場所!という偏見を解く」という謳い文句でクラブ初心者を呼んでおいて、誰でも来れるショッピングモールにのようになったのでコムデギャルソンくらいハードルを設けたいという結論。"せやろがいおじさん"に失礼だと思うのだけど。「クラブに行ったことがない、だけど行ってみたい。」という人に向けてブログを書き続けてきた私としては、見過ごすことはできない。ショッピングモールはtofubeatsの歌のタイトルにもなっているように、人々の生活と密接に関わり最早文化の生まれる場所になっているのではないか。オペラやバレエを高級ブランド店に例えるのであればまだ理解できるが、クラブは金持ちや特別なときだけの場所だったのか。クラブカルチャーの始まりはLGBTコミュニティ。クラブは排除する場所ではなく受け入れる場所ではなかったのか。Berghainの理解も間違っている。Berghainのbouncerは排除するためにいるのではなく、中の多様性を維持するために居る。黒い服を着て一人で行って、出演者についてドイツ語や英語で答えられたら入れる訳ではない。明確な基準があるのではなく、複数人いるbouncerの各自の主観で判断している。同じ人が次の日に行っても入れない可能性もある。高級店の敷居とは全く意味が違う。20年以上もクラブ業界にいて『クラブカルチャーを守る会』の会長がそんな理解だなんて、本当に恥ずかしい。
ベルクハインのバウンサーSven Marquardtに入り方を聞いた(和訳と考察)
ダンスミュージックはLGBTコミュニティから発祥したという事実が忘れられてはいないだろうか?
CCCCにはアニソン/KPOP/JPOP/ターンテーブリスト DJや、地方の箱の人がいない。参加したがらない。「クラブとクラブカルチャーを守る会(CCCC)」が守りたいのはミレニアム時代のテクノのクラブカルチャーだから。

1965 TOWA TEI
1966 FPM田中知之、DJEMMA、Q'HEY
1967 石野卓球大沢伸一沖野修也
この年齢層は厚い。日本の経済がまだ良かった頃に若者だった方々。ラジオのパーソナリティもこの層が占めている。誰もが知るヒット曲はお持ちだが、20年前だったり最近のアルバムは酷評されていたり。才能ある若手DJがあふれているのに、フックアップされてるのは見たことがない。逆はあっても。全員のDJを聴いたけどさすが大御所と思うことはなかった。大沢さんのDJは私にはあまりに退屈で、タイテも出てなくていつ終わるかわからないから我慢できず店を出たことがあった。沖野さんは自分の箱を持ち雇用を確保し、後輩も支援されてるが。

World-acclaimed DJ Nobu on how to save Japan’s club scene
DJ NOBUさんは日本のクラブシーンの課題として年功序列を挙げている。DJ Nobuさんでさえ、34歳になるまで大箱のメインでDJができなかったという。私は最初に知ったテクノDJがSEKITOVAさんで、Maltine Recordsやスーさんのイベントは年齢関係なく人気のある人がメインなので、年功序列が厳しいだなんて知らなかった。DOMMUNEのおかげでQmicoさんやruralのNaoさんのような凄いDJがいらして、大箱のメインで頻繁にプレイされておらず自らオーガナイズされていることなどからも、徐々に状況を察するようになった。DJ NOBUさんのFuture Terrorも、自分でオーガナイズするしかなかったからこそ生まれたのかも。

某DJも指摘されていたけれど、人気DJとして優位な立場にいながらこの課題を長年放置してきて今更と思う。箱だって人気のあるDJをブッキングするなと言われても困るだけ。物言う体にしか見えない。実力があるから人気かもしれないし、昔からのなじみでブッキングされるよりフェアとも言える。ギャル付けや実力がない人気だけのDJをブッキングする箱やパーティがあるなら断って、自分たちでオーガナイズすればよい。若い人は皆そうしているのにアラフィフの大御所が今更そんなことを。

パレスチナの記事をシェアしたのはCYK Kotsuさんを始め限られた若手DJだけだった。
DJはパレスチナのために立ち上がるべきか?

若い人に遊び場を。パーティーを持つことは敷居の高いことではない-Negative Cloud(EUREKA & Pico)インタビュー
箱や客、シーンの悪口ばかり言ってるDJは放っておいて、技術も選曲センスもある若くて才能のあるDJのパーティに通う。クラブシーンを良くするには、それが最善であり唯一の方法。

誰が日本のテクノハウスシーンをダメにした? 3/3 ~ドラッグ~

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