Coachella 2023 配信視聴メモ(BLACKPINK、Rosalía、Charli XCX、Shenseea)

毎年楽しみにしているCoachellaの配信。去年と比べると観たいアーティストが格段に少なく、さほどワクワク感もなく迎えた。

1週目

Rosalía

所用があり、巻き戻しで部分的に視聴。MOTOMAMIツアーの簡略版の印象。MOTOMAMIツアー前半、スペインから南米、北米あたりまで、ライブが終わるたびYouTubeに上がっている動画を片っ端から見まくっていたので、新鮮味がない。最近のリリース、DESPECHÁ、英語歌詞曲LLYLM、Rauw AlejandroとのレゲトンEP『RR』が好みでないこともあって、いまひとつ。
せっかく全組配信なのだからと、少しだけザッピングしてみるものの、好みの曲やパフォーマンスに出くわせず。音楽を消費するのもdigするのも、心のゆとりとパワーが要る。

2週目

BLACKPINK

良かった。翌日に、もう一回通しで観たほど。BLACKPINKは、Rosalíaも出演した2019年のCoachellaに出ていて興味を持ってから、直後のアメリカでのインタビューや、LISAやROSÉのソロ活動などちょくちょくチェックしていたけれど、BLACKPINKとしての作品や活動は、しっかりと追っていない。2019年のCoachellaでのパフォーマンスは完璧だったけれど、英語のインタビューでは、アジア人らしく控えめで、欧米人のようには自信満々ではない印象のままだったから、4年を経て、今回の自信に満ち溢れた姿に感動した。2019年からのギャップの大きさと成長に。与えられたプランをやらされているようには見えず、意思を持って自分たちの表現をしているように感じられた。全て自らプロデュースしているRosalíaのパフォーマンス直後であるにもかかわらず。2019年Coachella以降、Rosalíaの活動、昨年のワールドツアーの様子は追ってきたので、今回のCoachellaで自信に満ちた完璧なパフォーマンスができたのは当然の流れ。だから、BLACKPINKも同様に、Coachellaよりも大きな観衆の前で場数を踏み、それに備えて十分過ぎるほどの準備と練習をしてきた成果が、今回のパフォーマンスであったであろうことが理解できる。
かぶせもあったかもしれないが(JENNIEのソロでヘッドセットマイクがずれたが、一定の音量でボーカルが聴こえていた)、全体的には生歌で勝負しているように聴こえた。改めて聴くとROSÉの声は特徴的で、KPOPらしくないというか、ロックバンドのボーカルのように低めで力強い。パートは少なかったが、JENNIEのラップも良かった。4人の個性(声とビジュアル共に)が偏らず、ばらけていて、BLACKPINKを構成しているのが良い。JENNIEは、Grimes『Shinigami Eyes』のMVに出演していたりしたけれど、魅力や人気がわからずにいた。しかし今回は、ファンではない私が4人それぞれの魅力が理解できる内容とパフォーマンスだった。
ショーとしては、生バンドの曲もあり、そこはやはり演奏が音がよく聴こえたし、ヘッドライナーのパフォーマンスとしてケチらず、大規模なダンサーを導入していたのも良かった。あれほど大規模なダンサー群の迫力にも、4人の存在感は負けていなかった。花道からメインステージのカメラワーク、歌う順に4人がきれいに入れ替わるところがバシッときまっていたし、メインステージに到着しカメラが花道からメインステージに90度振られる瞬間は、あまりにぴったりで興奮した(歩数とか歩幅とか測っているの?というくらい正確で)。
個人的には、ROSÉ『On The Ground』が観れたので、ソロが組み込まれていて良かった。見せ場の後ろ向きに直立したまま地面に倒れこむところは、1週目のカメラワークの方が良かったかな。振り返って観客に視線を送った後、後ろ向きで倒れこむところは、ヒヤッとした。よくダンサーがしっかり支えてくれることを信頼して倒れこめるなぁと感心した。2週目のカメラは上からで、手で支えた後に倒れこむのが見えたので、安心感はあるけれど、1週目のドキドキをもう一度味わいたかった気もした。
JENNIE『You & Me』は満月に映るシルエットの演出が素敵だった。2019年Coachella Aliana Grandeステージの丸いスクリーンを思い出した。(ロックやヒップホップの人はヘッドライナーAliana Grandeを評価していないけれど、記憶に残る素晴らしいショーだった。)
確か衣装替えが2回あり、3回目のLISAの衣装は、ライダーズ風の皮ジャケット。心の中でMOTOMAMI!と叫んだ。Rosalíaは1週目がピンクのガウン、2週目は黒で、BLACKPINKだった。1週目と2週目の間に、ふたりでNYを楽しんだ写真をRosalíaが公開。それぞれのファンを喜ばせ、21万4千いいねを付けた。

LISAは、昨年のRolling Stoneのインタビューで、憧れのアーティストを尋ねられた際に、憧れというのではないと前置きしつつも、Rosalíaの名前を挙げている。

マウントし合うのではなく、共に上に上がるのがシスターフッド、MOTOMAMIなのだ。
BLACKPINKの楽曲自体はさほど好きではないが、2回集中して観たので、なんでもないタイミングで、彼女たちの歌声が頭の中で鳴っている。自信というものが、どれだけ人を美しく輝かせるかを実感させられたショーだった。

Rosalía

やはり事前にMOTOMAMIツアーの動画を見過ぎてしまったので、初見の人ほど楽しめない。けれど、だがTokischa登場で、泣いた。TokischaはMOTOMAMIで唯一のfeaturingアーティストにもかかわらず、MOTOMAMIツアーのドミニカ公演でしか客演しなかったし、しかも『Linda』のみ。MOTOMAMIアルバム曲『LA COMBI VERSACE』ではラップせず、もしかして関係が良くないのかもと憶測もあった。メインステージという大きな舞台で、いつも通りのパフォーマンスができたTokischaの姿を観ることができて嬉しかった。
MOTOMAMIツアー同様、『DIABLO』では散髪台に座り、タオルでメイクを落とすパフォーマンスがあったが、ひと拭きでメイクがすっきり落とせるタオルには、「ふくだけコットン」のようにメイク落とし成分がたっぷり染み込ませてあるのか気になっていた。すると、おそらくアクシデントで、そのタオルがカメラを直撃し、レンズが曇る。Rosalíaの姿は、ぼんやりとしてほとんど見えない。そのままレンズを拭くことなく進行し、曇りガラスの映像は仕組まれた演出のようだった。
MOTOMAMIツアーの映像でも何度も観たが、やはりグッときたのは、自身のフラメンコ曲『DE AQUÍ NO SALES』と『BULERÍAS』を組み合わせたパフォーマンス。先進的なことをしながらも、「ベルサーチのスェットを着ていても 私はカンタオーラ(フラメンコ歌手)だ」とフラメンコを歌うRosalía。
2019年のCoachellaでも披露したCon AlturaとMALAMENTEもやってくれた。2019年は全力で気負い過ぎているようにみえたが、2023年のCon AlturaとMALAMENTEは全く違う。
Rosalíaは、SAOKOの歌詞通り、蝶のように羽ばたいて躍進し、Frank Oceanが彼女に言った通り、ナッツのように世界を開いた。

Charli XCX

短距離走のような全力のパフォーマンス。最後の『Good Ones』以外は知らない曲だったが、楽しめた。MCもほどんどなく、ダンサーの数も少なく客演も無しで、アーティスト本人の歌とダンスをしっかりと見せる内容だった。途中「Rosalíaを見に来た人は?BLACKPINKを見に来た人は?」と叫んでいたので、多少は2組のアーティストのファンも意識したものだったのかも。Lady Gagaのようにドタドタしたロボットのようなダンスをする人だと思っていたが、RosalíaやBLACKPINKにも引けを取らない、激しくもしなやかな踊りで、振り付けもワンパターンではなかった。

BLACKPINK、Rosalía、Charli XCXの今回のパフォーマンスの共通点として、男性ダンサーがある。以前は女性ダンサーを引き連れていたRosalíaが、女性について表現したMOTOMAMIのツアーにおいて男性ダンサーを起用した理由として、男性と女性を逆転することで、女性のパワーを強調するためとしている。
Rosalía - Grammy Museum interview

男性群の中でRosalía一人が女性であることにより、女性性が際立つ。「Madonnaがやったように」とも話していて、恐らく参考にしたのだろう。90年代のBlond Ambition Tourの映像を見ると、これを参考にあの振り付けをしたんじゃないかと思う箇所がいくつかある。

Shenseea

Shenseeaはジャマイカのレゲエ歌手。1週目にTokischaが客演したとわかり、2週目は巻き戻しで視聴。

曲は、Coi Leray『Players (Tokischa Remix) 』。
2週目は、Tokischaは出演しなかったのだけど、楽しくて最後まで観た。レゲエだけどR&B寄りでメロディックなので、とても聴き易い。
Shenseeaは、過去にKanye West『Ok Ok pt 2』、Christina Aguilera『Right Moves』、最近ではCalvin Harris『Obsessed』に客演している。Calvin Harrisのアルバムは食わず嫌いして聴いていなかったことを反省。

4月のプレイリストに、Shenseeaの曲を5曲追加した。

Diljit Dosanjh

Coachellaの公式に1週目のライブ動画が上がっていたので、2週目は覗いてみた。

YouTubeのMVチャートにおいては、インド映画の曲もよくみかけるので、KPOP同様1組はいてもおかしくないのかもしれない。
声は良いし、歌もうまいんだけど、なんせ曲とダンスが似たようなものばかりなので飽きてしまい、最後までは観なかった。

SOFI TUKKER

2019年Coachellaのラインナップを見返していたら、SOFI TUKKERも出ていた。公園の子供用遊具を配置したようなセットで、ダンスミュージックなので意外と途中までは楽しめた。1週目と2週目の盛り上がりを点数化するゲームは、よくわからなかったし要らないと思った。『Kakee』が好きだけど、やってくれなかった。

The Chemical Brothers

少し前のコロンビアでのフェスと同じようなセットな気がして、別に見なくていいかなという気になってしまった。

VJの映像が良いのだけれど、あまりにも音ハメのタイミングが完璧すぎて、一本wav流しているんじゃないかと思ってしまう。ちょこちょこ動いているけれど、何をしているのかわからない。ライブならではの楽しみが見いだせなかった。

今年は、それぞれのアーティストのMCも少なかった気がするし、公式のインタビューも無し。何か考えや方針があったのだろうか。
出演ではないが、Dorian ElectraとPabllo Vittarが2週目のCoachellaにでかけていて、2人が出会って一緒に写真撮っていて良かった。Destiny Rogersは、BLACKPINKの東京公演を観に日本に来ていて、続いてCoachellaもBLACKPINKを観に来ていた。

去年のMåneskinやRina Sawayamaほど夢中にはなれなかったけど、なんやかんや言って楽しめた。最近のラインナップだと、Coachellaよりアメリカ以外のLollapaloozaの方が好きなアーティストがたくさん出ている。

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