ベルクハインのバウンサーSven Marquardtに入り方を聞いた(和訳と考察)

ベルクハインのバウンサーSven Marquardtへの2015年のインタビュー。中に入れる人をどうやって判断しているか、ご本人が答えている。関連する部分を抜粋して訳してみた。

How the Bouncer of Berghain Chooses Who Gets Into the Most Depraved Party on the Planet
ベルクハインのバウンサーは地球上で最も堕落したパーティに入れる人をどのように選ぶか
A Q&A with the debaucherous techno club's world-famous bouncer, Sven Marquardt
退廃したテクノのクラブの世界的有名なバウンサーSven MarquardtへのQ&A

GQ: So what do you tell your guys working the door to look for in the line when they decide who comes in?
Sven: It's subjective. Only a few of my guys are allowed to select guests at the door. They have to understand what Berghain is all about first, and I try to give them that foundation. Beyond that, there are no set rules. My people all have their own personalities, and you can see their sensibilities reflected in the crowd over the course of their shifts. You always want friction, though. That's the theme in any good club: diversity, friction.

GQ: それで、中に入れる人を決めようと行列を見ているドアで働く男達(バウンサー仲間)にあなたは何と言いますか?
Sven: 主観です。ドアで客を選ぶことができるのは私の仲間数人だけです。彼らは最初にベルクハインが何であるかを理解しなければなりません、そして私は彼らにその基礎を教えようとします。それ以外に定められたルールはありません。私の仲間は全員自分の個性を持っています、そして彼らのシフトの間に彼らの感性が大勢の人に反映されるのを見ることができます。けれども人は常に摩擦を求めています。それらは良いクラブでのテーマです。多様性、摩擦。

When you say you teach them "what Berghain is all about," what do you mean, then?
I feel like I have a responsibility to make Berghain a safe place for people who come purely to enjoy the music and celebrate-to preserve it as a place where people can forget about space and time for a little while and enjoy themselves. The club evolved from the gay scene in Berlin in the nineties. It's important to me we preserve some of that heritage, that it still feels like a welcoming place for the original sort of club-goers. If we were just a club full of models, pretty people all dressed in black, it would be nice to look at for a half an hour, but god, that would be boring. It would feel less tolerant, too.

Berghainが何であるか」を彼らに教えると言うのは、どういう意味ですか?
私はBerghainを、純粋に音楽を楽しみ陽気に遊ぶために来る人にとって安全な場所にし、人々がしばし場所と時間を忘れて楽しめるような場所に保つ責任があると感じています。クラブは90年代にベルリンのゲイシーンから発展しました。元からいたタイプのクラバーにとって居心地のよい場所だと今もなお感じられること、伝統の一部を守ることは私にとって重要なことです。黒い服を着たモデルやかわいい子だけでいっぱいのクラブだったら、30分見るには良いでしょうが退屈でしょう。寛容でないとも感じるでしょう。

"How to Get Into Berghain" has become a subject of fascination on the Internet. There are many sites that speculate on the many and various things one should do to get in.
First, let me say I don't read that kind of stuff. Myself, I only started using the Internet three years ago. Up until then people had to fax me.

Berghainに入る方法」は、インターネット上で興味をそそられるテーマとなっています。多くのサイトが(Berghainに)入るためにすべき多種多様の事を推測しています。
まず、私はそのようなものを読まないと言わせて下さい。私自身、3年前にようやくインターネットを使い始めました。それまで、人々は私にファックスしなければなりませんでした。

I'd like to read you a few of the tips that have been posted online, and get your reactions to them.
[Marquardt looks stone-faced] I'm listening.

インターネット上に投稿されたいくつかの(Berghainに入るための)ヒントを読み上げ、それらに対するあなたのリアクションを見たいです。
[Marquardtは無表情] 聞いています。

Go early. Don't try to cut the line. Know who's DJ-ing that night. Dress casually-jeans and a T-shirt is best. Don't go in a big group. Don't be too young. Don't joke or laugh in line. Don't speak in the line. Or if you must, speak German.
[Laughs, shrugs] We've heard all those things, too. But like I said, it's subjective.

「早く行く。割り込もうとしない。その夜誰がDJしているのか知る。カジュアルな服を着る - ジーンズとTシャツが一番。大人数で行かない。若過ぎない。列で冗談を言ったり笑ったりしない。列で話さない。必要ならドイツ語を話す。」
[笑って、肩をすくめる]私たちもこれらのこと全て聞いたことがある。しかし私が言ったように、(中に入れる人を決めるのは)主観です。

以上がインタビュー。並んでも入れなくて基準がないなんて、何だよそれと思っていた。ベルクハインの理念は、私が理想とするものだった。多様性を守るために、あえて基準を設けない。確かに、基準があればその基準を満たす同じような人が集まってしまう。その日のバウンサーの主観、言ってみれば好み、運みたいなものだ。服装や年齢、音楽知識で有利不利がないから、平等だ。多様性を重んじて偏らないようにするから、様々な人が中に入る。多様な人が集まるから摩擦も起きる。同質の人が集まれば、考え方も価値観も同じだから摩擦は起きない。摩擦は多様性があることの証拠であり、悪いことではない。ゲイコミュニティから始まったので、元からいたゲイの方も居られるようには配慮する。排除はしない。
多様性のことは積極的に知ろうとして、様々な事例や考え方に触れてきたつもりだが、こんなにしっくりくる事例は初めてだ。クラブカルチャーから学ぶこと、本当に多い。

 

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