誰が日本のテクノハウスシーンをダメにした? 3/3 ~ドラッグ~

誰が日本のテクノハウスシーンをダメにした? 1/3 ~多様性~
誰が日本のテクノハウスシーンをダメにした? 2/3 ~年功序列~

ピエール瀧がコカイン使用容疑で逮捕された。逮捕よりもクラブ関係者のSNSでの反応がショックだった。TLは容疑者擁護と作品回収に対する抗議で溢れた。被害者のいない犯罪である、コカイン摂取くらい、ドイツでは逮捕されない、ドラッグとクラブカルチャーは切っても切れない関係とも。私はクラブで薬物使用の痕跡も見たことがなかったが、今も薬物使用はあるような発言も目にした。もし自分が好きなアーティストが薬物を使用していたら、当分そのアーティストの音楽は聴く気になんてなれない。クラブのトイレで白い粉を鼻から吸っている人がいたり、注射器が落ちていたら絶対嫌だ。Whitney HoustonMac Millerもコカインで命を落とした。DJやクラブには改めてドラッグはダメだとはっきり言ってほしかった。逮捕の次の週末にクラブで電気グルーヴをかけるのは、逮捕や作品回収に対する抗議なのか。テロや政府の隠蔽や不正、レイプ犯の無罪判決、抗議すべきことはたくさんあるのにそんなときだけ張り切ってかっこ悪い。デジタルダーツとシミュレーションゴルフが風営法から外れ、クラブも外れてもよい時期かもと思っていた。今回クラブ界では麻薬容認が多数派を占める様子を目の当たりにして、現在の許可制の維持を強く望むし、幼稚園や学校の傍での営業なんてとんでもないと考えを改めた。全員ではなくとも、コカインくらいという考えの人が多く集まる場所なのだから。(クラブの隠し部屋で麻薬使用や不法行為が行われることがあったため、風営法の特定遊興の申請の際に店の図面の提出が必要。)

今もかもしれないがその昔、芸能界と暴力団の結びつきはあった。興行はヤクザが仕切り、暴力団のパーティに芸能人が呼ばれていた。バブルの頃は土地が値上がりしても住み続ける住民に対して、地上げ屋が脅迫をし追い出そうとした。企業からお金を奪う総会屋もいた。水商売の夜の店は暴力団みかじめ料を払ってきた。一般市民は怯えながら暮らしてきたし、暴力団抗争に巻き込まれて亡くなる人もいた。京都、神戸、九州には暴力団事務所があって、割と身近だったから他人事ではなかった。暴力団が刺青を見せて一般市民を脅してきた歴史があるから、刺青を怖いと思う人がいる。差別しているのではない。オレオレ詐欺だって元締めは暴力団市川海老蔵の灰皿テキーラ事件や、六本木フラワー襲撃事件もあった。暴力団に一度関わったら、関係を絶とうとしても今までの関係をネタに金銭を要求してゆすられる。暴力団との関係を断ち、弱体化するのにどれだけの苦労があり、先人は犠牲を払ってきたか。音楽の系譜を学ぶのもよいと思うけれど、反社会勢力と戦ってきた歴史も知ってほしい。音楽に対して支払われたお金は、1円たりとも市民を脅かし傷つける反社会勢力に渡すべきじゃないと思ってる。
麻薬に寛容な人はメキシコの麻薬戦争のことを知っているのだろうか。知らないなら画像検索してみてほしい。政府も警察も汚職にまみれ機能せず、正しいことをしようとした人が非常に残虐な殺され方をする。誰かが気持ちよくなったり、お金儲けをするために。私がメキシコにいて怯えながら暮らしているなら、マフィアだけではなく快楽のために麻薬を使っている人も恨む。使う人がいなければ麻薬戦争はおきない。
高樹沙耶大麻所持事件のとき、擁護していた人はこんなにいただろうか。自分が音楽を聴きたい映画を観たいから麻薬犯罪に"寛容"と言っているのでは。麻薬に"寛容"でない人を"不寛容"だとか"過剰コンプライアンス"と非難する。フェミニストや禁煙活動家は叩きまくる。
障碍者に限ったDJイベントの開催は称賛されるけれど、喘息患者や肺がんサバイバーが禁煙のクラブを求めると叩かれる。別の場所でやるならいいが、自分たちは受け入れたくはない。何が"寛容"だ。

 クリーンな場所に文化は生まれないのだろうか。Chance the RapperやKendrick Lamarは本物じゃないのか。裕福な家で愛されて育った人々が紡ぎ出すものは文化とは呼べないのか。同じアニメ好きの人が大好きなアニソンで踊る。KPOPアイドルの曲をペンライト持って歌いながら踊る。くそ真面目だって厳しい戒律を守るお坊さんだって、テクノを聴いて楽しくなって踊りたい。テクノは皆のものだ。

ドラッグは本当に必要なのか?依存しているから必要な理由を探してないか?ドラッグで得たものはなんだ?失ったもの、失われた命があることは忘れないでほしい。

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