スペイン語圏市場を狙え、メキシコシティを押さえとけ
あえてスペイン語で歌う
最近、英語圏のメジャーアーティストによるスペイン語ソングを立て続けに目にした。単なるスペイン語アーティストとのコラボではなく、Ed Sheeran、The Weeknd、Travis Scottはスペイン語で歌っている。英語圏のチャートにスペイン語ソングが入ってくるようになり、英語圏アーティストもスペイン語圏市場を狙いに行き始めたのでは。
J Balvin & Ed Sheeran - Forever My Love (2022年)
Marshmello, Tokischa - ESTILAZO (2022年)
Natanael Cano x Steve Aoki - NataAoki (2022年)
ROSALÍA - LA FAMA (Official Video) ft. The Weeknd (2021年)
ROSALÍA & Travis Scott - TKN (2020年)
(Travis Scottは、歌詞の半分だけスペイン語)
昨年、Christina Aguileraは、21年ぶりにスペイン語アルバムを出した。
ラテンアメリカ市場の急成長
2022年3月の記事。
ラテンアメリカは「最も可能性のある地域の1つ」である
35%成長した中東と北アフリカに続いて、メキシコとブラジルに牽引されたラテンアメリカが最も利益の増加が見られた地域であり、31.2%増加し、そのうち85.9%がストリーミングによるものでした。
世界市場シェアは3.9%で、ラテンアメリカの収益は12年間増加し、とりわけブラジルが32%増加し、メキシコが27.7%増加したことが調査結果を示しています。
世界の音楽市場は2021年に18.5%成長し、ラテンアメリカが最前線に立った
Mercado musical global creció 18.5% en 2021, con Latinoamérica al frente
ストーミングにおけるメキシコシティ
日本人アーティストの曲がどこで聴かれているか調べたときも、メキシコ・チリ・ジャカルタが多かった。メキシコは、世界と比較して人口が多く、且つ若者の人口比率が高い。Spotifyは、そのメキシコで80%のシェアを占めている。Spotifyの上位を占めるビッグアーティストにとっても、スペイン語圏は無視できない、また魅力的な市場となっている。Spotifyにおいては勝つには、メキシコシティは押さえておきたいところ。
2022年5月30日時点
なぜメキシコシティは、非常に多くのSpotifyのアーティストにとって、No.1市場であるのか?
Mexico City Is the No. 1 Market for Many Artists on Spotify: Why? | Billboard – Billboard
メキシコの人口分布
人口1億2,601万人、平均年齢は29歳に上昇(メキシコ) | 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ
Spotifyはメキシコの音楽ストリーミング市場で80.7%のシェアを占めています。
Study: Spotify has 80.7% of Mexico's music streaming market - Music Ally
メキシコシティは、今、世界の音楽ストリーミングサービスのメッカです。
Mexico City Is Now the World’s Music-Streaming Mecca — Spotify
Rosalíaの戦略
Rosalíaの『Motomami』は、北米よりもこの巨大なラテン市場を狙ったと私は推測している。2019年Latin Grammyで、Rosalíaは5部門を受賞したが、Rosalíaはラティーノではない、ヨーロッパの白人だと批判された。前作アルバム『El Mal Querer』はフラメンコがベースであるのに対し、『Motomami』はレゲトンやバチャータなど、南米音楽を中心としたアルバムとなっている。『Motomami』で日本語を多用したのは、もちろん日本への目くばせでもあるが、それよりも日本文化が好きで歌詞にも日本語をよく取り入れているラテンアメリカ受けを意識したものではないか。狙い通り、ラテンアメリカで多くのリスナーを獲得し、南米アルゼンチンでは、ツアーチケットが即完売、追加公演が決まった。