マツコの知らない世界 「映画音楽の世界」サントラブラザーズ

12月6日の『マツコの知らない世界』は、映画音楽の特集で、ゲストはDJ Soundtrack Brothersのお三方。2年前、TSUBAKI fmでDJを聴いて感動し、ブログをしたためた、あのDJ Soundtrack Brothers。放送終了後に気が付いたが、TVerで視聴することができた。(TVerで視聴は、12月13日(火)20:56まで)

マツコの知らない世界』11月16日放送のゲストはNight Tempoさんで、地上波テレビのゴールデンタイム1時間をNight Tempoさんのお話に時間を割くって、ある意味音楽番組より凄いなと思っていたのだが、まさか次はDJ Soundtrack Brothersとは。関ジャムも、メジャーやジャニーズの影響を感じられて商業的でつまらなくなり見なくなったので、これからは『マツコの知らない世界』に期待してみようかな。

2年前に書いたブログタイトルが、『あなたの知らないサントラの世界』だったんですよ。『マツコの知らない映画音楽の世界』が実現するとは。

DJ Soundtrack Brothers サントラ・ブラザース (山崎真央、渡辺克己)#tsubakifm あなたの知らないサントラの世界

ブログはトラックリストくらいしか書いていないので、よろしければDJミックスだけでも。

番組内容は、映画音楽の入門編イントロといった感じで、一般視聴者が楽しめるテレビ向けではあるものの、具体的な事例を基に映画音楽の楽しみ方が紹介されており、一気に最後まで視聴した。テレビ番組のBGMとしての使われ方、特に(バラエティ番組における)サンプリングとも言える短い音を切り出し効果音としての使い方が面白かった『月曜から夜ふかし』のAKIRAの曲、M-1グランプリの出囃子に『ムーラン・ルージュ』のサントラFatboy Slim『Because We Can』など)。そして、ホラーにおける音の心理表現や効果なども。

AKIRA soundtrack - Geinoh Yamashirogumi - "Tetsuo"

「映像との相乗効果が凄すぎるベスト3」に『トップガン マーヴェリック』は、「もっと良いのがあるでしょうけれど、そりゃテレビだもの。それくらいはしょうがないよね。」と思った。Spotifyグローバルチャートでは、『トップガン マーヴェリック』のサントラがトップ10にチャートインしていたけれど、日本では全然だった。

OneRepublic - I Ain’t Worried (From “Top Gun: Maverick”)

4,50代がテレビ番組制作の中心になってきているので、マツコさん世代が思春期に聴いていた曲が、最近はテレビでよくかかるようになったと、テレビにしては鋭いことを言っていた。
マツコさんは、DJ Soundtrack Brothersさんたちを踊らせるためのDJだと思ってらっしゃるか、踊るためではないDJ選曲というのをご存じないか、どちらなのか少しだけ気になった。

番組の話ではないが、数日前に見つけて毎日リピートしている曲もサントラだった。Candy DulferとPrinceのライブ共演映像ってあったりするのだろうかと思って探したときに見つけたミュージックビデオ。Prince『Partyman』は、映画『Batman』のサントラ。Michael JacksonよりMichael Jacksonで、こんなにダンスやポップな身体表現もする人だったんだなぁと。「Black and white, red and green」の赤と緑や何だと思ったら、ジョーカーの赤と緑。映像の最後、日本語で「まだ終わり(じゃない)よ」と表示されるのも不思議。このサントラが使われている映画のシーンより、断然ミュージックビデオの方が刺激的。こういう90年代のずば抜けて才能がある黒人アーティストの活躍をたくさん見ていると、あまりにかっこよすぎて差別の対象となっているという実感が持てなかったし、日本で暮らす分には黒人差別の存在が理解しづらかった。

Prince - Partyman (Extended Version) (1989年)

マツコの知らない世界』の話に戻って、Night Tempoさんのときも今回のDJ Soundtrack Brothersさん回も、同業者から「俺のほうが詳しい」みたいなやっかみが目についてしまう。間違いと思うならその内容を指摘すればいいし、より詳しい情報があれば発信すればいいけど、なぜそんなにマウントするのだろうか理解できない。自分も地上波のゴールデンに呼ばれたかっただけとしか思えない。そもそもテレビの一般視聴者向けの内容に構成されていて、そのように編集もされているから、知識の実力を示すものではない。Night Tempoさんは、和モノDJじゃない。2016年当時出演していたのは、本当に小さな小箱のパーティだったし、その時は全く同じ位置かそれ以上の位置にいたはず。Night Tempoさんは、古いDJの方々がDJ配信に今よりも否定的な時代に、日本の古いアイドル曲を何時間もTwitchで海外にDJ配信していて、非日本語話者の人たちを沸かせていた。お金にもならないのに、日本の音楽への愛着がないとできないこと。海外の方が、日本の古いカセットを収集するのは日本より大変だし、歌詞の内容って自動翻訳を使って理解できるものではない。その時代や文化を知らないと、本当の意味が理解できない。私は、スペイン語・ロシア語・中国語であっても、どうしても好きな曲の歌詞が理解したくてチャレンジし、たった1つの単語の解釈、たった一行が文脈から意味がとれず何時間、何日もかかり、結局わからないこともあるもどかしさを体験している。そうい思いを経験し、その大変さを理解されているのだろうか。DJ Soundtrack Brothersさんたちだって、パンク専門じゃないし、DJ Soundtrack Brothersさんたちがどのくらい映画音楽を知っているか、彼らのDJをいくつか聴いてみられたのだろうか。映画音楽は多ジャンルにわたるのだから、そのジャンルの詳しい情報を知っているなら、単にそれを発信すればよいだけなのでは。それと、有名でない時代からNight Tempoさんを日本に呼んでいたhepeはいぽたんさんとか、DJ Soundtrack BrothersをキュレートしDJを放送しているTUBAKI fmのMidori Aoyamaさんとか、そういう地道な文化を育む活動やキュレーション側も認められてほしいものだ。

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