女性が選んだ女性日本語ラップ female Japanese rap
思うところがあって、女性アーティストによる日本語ラップ(が入っている)曲のプレイリストを作った。
今回プレイリストを作ってみて感じたのは、他人を引き合いに出して比較したりせず、日常や心の機微など自分たちのことをラップしていること。韻の踏み方やラップスキルを見せつけてどや顔するようなことはなく、ゆったりラップしたり歌ったりして自由。女性としてリリックに共感できる(男性が書いたアイドルのラップは除く)。男性価値基準のHIPHOPとは別のところで、既に長いこと女性たちは楽しくラップしてきたんだと思った。
- 方言
- 脱力、ささやき
- アイドル、グループ
- 女性ラッパー
- 2000年代ソウル系デュオ
- その他
- 26. Daoko - ダイスキ(2016年)
- 27. ポップしなないで - エレ樫(2016年)
- 28. Crystal Kay - What Time Is It?(2003年)
- 29. m-flo - MARS DRIVE(2019年)
- 30. G.RINA - close2u(2017年)
- 31. 鈴木真海子 - 金木犀(2017年)
- 32. chelmico - Love Is Over(2016年)
- 33. hitomi - CANDY GIRL(2007年)
- 内田有紀 - Only You(1995年)
- バイリンガールちか - THE英語RAP! 基本5文型 SV〜SVOC(2014年)
方言
1. 大門弥生 - まけんな(2020年)
京都や兵庫とは違う、大阪のイントネーション。「お前のやりたいようにやれ、行くで」じゃなくて「行くど」。巻き舌ラップ。大阪独特のリズミカルな言葉とイントネーションの活かし方が素晴らしい。ライバルの話は出てくるけど、全体を通してのメッセージは自分との戦いに「負けんな」で、他人を貶めたり比較していない。
2. Laugh & Peace - ちょっときいてな(1999年)
小学生あるあるを小学生目線でラップしている。今の時代、先生が教科書でバシッと叩いたら大変な騒ぎになるだろうし、背中に「あほ」の文字を書くとか、今の小学生はしなさそう。『ちょっときいてな』は京都弁で、藤田陽子さんは奈良出身の方だそうだが自然。京都と奈良は隣の県だし、県境を超えたら言葉が変わるものではないし、親せきがいることも多いから。
この曲を知ったきっかけは、interfmで流れたパソコン音楽クラブのDJ mix。今回ミュージックビデオを見つけて、初めて観た。団地ロケで、ベランダで藤田さんが揺れながらラップしている。改めて、パ音らしい選曲だった。撮影はドローンを使ってるようにみえるが、1999年当時ドローンって使えたのだろうか。
3. WEST END × YUKI - SO.YA.NA(1994年)
『DA.YO.NE』の大阪版で、今田耕司,、東野幸治、大阪パフォーマンスドールの武内由紀子のラップ。「そやな」って言うかな、「せやな」ちゃうの?と気になる。リリックも、全国から見た大阪を意識し過ぎでつまらないが、「喜連瓜破(きりうりわり)」「(桂)文珍の飛行機」などのローカルネタには、にやりとしてしまった。
4. 美空ひばり - お祭りマンボ(1952年)
吉幾三『俺ら東京さ行ぐだ』の女性版みたいなのがないかなと考えていて、とりあえず思いついたのはこちら。江戸っ子ラップで歌が始まる。
"私の隣のおじさんは
神田の生まれてちゃきちゃき江戸っ子
お祭り騒ぎが大好きで"
もうちょっと長生きして、m-flo feat.とかでラップしてみてほしかった。
残念ながら女性ではなかったが、方言やご当地ラップを調べる中で、津軽弁ラップを見つけた。東北弁に限らず日常の話し言葉は略語が多いから、短い言葉で音に乗せることができてラップと相性がよいのかも。
【津軽弁ラップ】TOKYODRIFT FREESTYLE LYRIC VIDEO
脱力、ささやき
5. HALCALI - ストロベリーチップス(2003年)
2003年当時、15歳と16歳の女子高校生コンビ。デジタル化・効率化が加速して物事のスピードが上がり、就職難の厳しい時代に、やる気がなさそうな脱力系ラップとダンスが斬新に映った。テレビにも出演し、ラップと認識されないままに、幅広くラップを浸透させた先駆者だと思う。
MC ukudada & MC i know - morning down(2015年)
彼女たちのラップを見つけたときは、第二のHALCALIだと思って興奮した。歯医者やダイエットなど、おしゃべりするようにラップする。 morning downは、制服を着て一般人として働く日常とマイクを握り代わりのない主役として出演するクラブイベントとの対比、クラブイベント明けの余韻が表現されている。
6. Urban Drive Family - Never Ever Summer(2017年)
毎年夏になると必ず聴きたくなる気だるさ漂うラップ。遠い昔の夏を思い出して胸がきゅんとする。
"15歳の夏に戻りたいね
嘘をついて髪に触りたいね
キャンメイクのグロス
慣れてないパンプス
行けなかった海までもなぜか懐かしい
三愛水着のビキニ着たガールズ"
新しいリリースも出ていないようなので、社会人になって忙しくなってやめちゃうパターンかと諦めていたが、Spotifyでも配信されていたし、来月10月にはサーキットイベントにも出演するらしい。
ez do dan子は、ソロでも活動されていた。こういうくせの強い感じ好き。
ez do dan子 - 異物
7. 重盛さと美 - FRIEND(2022年)
8. Yackle - OrionCider Feat. あゆ巫女 (the oto factory Remix)(2017年)
8. Chappie - Welcoming Morning(1999年)
アイドル、グループ
10. lyrical school - FRESH!!!(2014年)
音とリリックのあちこちから滲み出るtofubeats色。先日こっそり作ったtofubeatマイベストの5位に入れるほど好きな曲。「あったらしい(新しい)服着て」と言葉を飛び跳ねさせたり、「あざやかに↓満開↑」と音の高低で抑揚をつけたり、tofubeatsさんの陰湿さを裏返したような陽気さであふれている。イントロの「ラップをするのは楽しいです」も、言葉の通り素直に受け取れず、tofubeatsの開き直りに聞こえてくる。
11. TEMPURA KIDZ - ミライキラー
12. ももいろクローバーZ - The Diamond Four(2019年)
13. ヒプノシスマイク 東方天乙統女/勘解由小路無花果/碧棺合歓 - Femme Fatale(2021年)
14. 禁断の多数決 - ちゅうとはんぱはやめて feat.泉まくら(Tomggg remix)(2014年)
15. NiziU - Sweet Bomb! (2020年)
「きぶーん(気分)」と「Bomb!」など韻の踏み方。KPOPの音楽に日本語を乗せたことで、跳ねる音とリズムが韓国語のように聞こえる。
女性ラッパー
ラップもするのではなく、ラッパーとして活躍する女性アーティスト。
16. Awich - 洗脳(2020年)
17. ちゃんみな - Picky (2021年)
"カフェラテ1つ 氷は無しで
周りの水も拭いて持ってこいよ
あれ嫌いなんだよ"
とりあえずビールの代わりに一人だけウーロン茶氷無し頼んで怒られたり、スタバかタリーズで氷無しカフェラテを頼んだら、「量が少なくて生ぬるくなりますよ。」と怪訝な顔をされたりしてきたので、こんなマイナーなこだわりをちゃんみながラップしてくれたのが嬉しかった。
18. Raska - Pree Me feat. なかむらみなみ(2020年)
19. The Chemical Brothers, AURORA, NENE(ゆるふわギャング) - Eve Of Destruction(2019年)
2000年代ソウル系デュオ
90年代のブラックミュージックに影響を受けたソウルバラード担当とラップ担当の女性デュオ
20. BENNIE K - サンライズ(2004年)
並べて聴いてみても、やっぱり抜群にでラップが上手い。流れるようなラップは高速でありながら、その余裕から速さを感じさせない。あたりの柔らかな低めの声と、アクセント的に入る巻き舌、そして英語の発音の良さ。
21. SOULHEAD - STEP TO THE NEW WORLD(2004年)
22. YA-KYIM - Feel The Sky(2007年)
23. twenty4-7 - Fly Out(2008年)
24. Heartsdales, SOUL'd OUT - CANDY POP(2003年)
25. 加藤ミリヤ - ディア ロンリーガール(2004年)
その他
26. Daoko - ダイスキ(2016年)
27. ポップしなないで - エレ樫(2016年)
歌いだし「ネットも無い/ゲームも無い/ 車もそれほど走ってない」は、吉幾三『俺ら東京さ行ぐだ』のオマージュ。
28. Crystal Kay - What Time Is It?(2003年)
29. m-flo - MARS DRIVE(2019年)
LISAがソロラップががっつり入って、明るい曲。
30. G.RINA - close2u(2017年)
31. 鈴木真海子 - 金木犀(2017年)
32. chelmico - Love Is Over(2016年)
33. hitomi - CANDY GIRL(2007年)
内田有紀 - Only You(1995年)
隠し切れない小室哲哉色。小室哲哉のウォウウォウコーラスに、H Jungle with t 『WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~』を彷彿とさせるジャングルアレンジ、高音で歌うサビ。内田有紀は、芸能人のかくし芸でサーカスの空中ブランコを成功させるくらい多才な人だが、『Only You』のラップは酷いこと。きっと忙しかったからで、今リベンジしたら絶対上手くできるはず。
バイリンガールちか - THE英語RAP! 基本5文型 SV〜SVOC(2014年)
V6のテレビ番組「学校へ行こう」のコーナー「B-RAPハイスクール」で有名になったCo.慶応と英語YouTuberのバイリンガールちかとのコラボで、教育系ラップ。