現場崇拝のDJが配信感じた人の温度(配信のプラス面、現場のマイナス面)

配信嫌いだったDJが挑戦してみた面白ネタかと思って読み始めたんだけど、最後はクラブの在り方を問う話だった。ブログに書いてきた内容とかぶる。以下、和訳。

『社会的に切り離されたDJセットの奇妙な親密さ』DJ LOUIE XIV
The Strange Intimacy of a Socially Isolated DJ Set | Vanity Fair

"「恐ろしいことになりそう。」初めてのバーチャルDJセットをインスタライブでする前に、妹にショートメッセージを送りました。「上手くいけばすぐに終わり、ベッドでパスタを食べることができる。」

過去10年間DJとして働いた後、コロナウイルスの大流行の結果、街のナイトライフが閉鎖されたため、3月12日たった1日で、当面の全ての仕事を失いました。この危機は、私の収入だけでなく、私の仕事の最も好きな部分も盗んだように感じました。音楽を通して、全く知らない人たちと部屋を一体化するという素晴らしい喜びを。DJの仕事にあぶれた仲間への資金を集めるため、私がインスタでDJをすることを最初に友達が私に提案したとき、あざ笑いました。私は常々、DJを、基本的にはライブ体験、群衆のそれぞれ自立した肉体が一つの歌い踊る集団に一体化する魔法の交流体験だと考えています。私のブルックリンの小さなアパートで一人でDJをするという考えは、私の仕事の好きな点全てに反するものだと感じました。

しかし、自己隔離の最初の週で退屈になり、超長期間DJがない見通しに直面したとき、私は自分のアパートからDJをすることのプラス面について知りたいと思いました。私はかけたいものをかけることができます。高いボトルサービスを客に提供する要求の厳しいオーナーや、Roddy Ricchを(かけろと)迫る酔っぱらったブラザーにしばしば苦しめられるのは、プロにとって小さなことではありません。トイレの行列もありません。家までのタクシーを呼ぶ必要もありません。最も心を引き付けられたのは、不安に感じている友人や家族からのショートメールです。彼らは家で行き詰まり、ダンスやポップミュージックの投与が解禁されるのに飢えていました。私はそれを深く理解していました。私は人々や自分を助け、数時間心地よくなれる、そう心に思い描きました。私が失敗したとして、最悪、いつでもコンセントを抜いて、ブースからベッドに飛び込み、しばらく公に顔を見せない言い訳をすることはできます。

スピーカーを掘り出し、コントローラーをセットアップし、古いiPhone用の車載ホルダーを壁にガムテープで留めするのに、午後を使うと、私は不安でした。音楽を与え情報をそこから得る、生の観衆無しに仕事をすることを想定していたので、危険なほど私は期待していませんでした。「クラブの雰囲気」を作り出し、「OnlyFans(クリエイターの動画配信サービス)」ぽさを取り除くため、古いイケアのランプの上にピンクの布きれをかぶせました。将来長くナイトライフを築く場所になるかもしれないという、冷静な予見は働かないままでした。

午後8時57分、私は自分の寝室からパジャマ姿で(インスタ)ライブに行きました。(家で仕事をするつもりなら、ずっとそうしがちです。)胸がドキドキしました。このつまらないものに誰が来るでしょう?ライブラリをスクロールして、最初の曲を選んでみました。大抵、私はこれを、早く来た人がいる部屋を見渡しながら行います。彼らは20代?30代?主に女子?男子?ゲイ?ストレート?今求められているエナジーは何ですか?ヒップホップ?ハウス?ポップ?古い曲か新しいのか?彼らはのんびりする必要がありますか、それとも出来上がっていて踊る準備ができていますか?今、当惑して私を見上げているチワワのミックスと、スウェットの短パンをはいて一人で立っていると、ほとんどアホみたいに感じました。

でも、一瞬で新しい人や親しい人が配信に飛び込んできました。いつもDJに会いに来てくれている人々だけでなく、予想もしなかった人々がたくさん。6年生のときの先生、Grindr(ゲイのマッチングアプリ)の相手、お父さん、ネットで有名な料理本の作者、担当のセラピスト、ニュージーランドや東京のような遠く離れた場所の友達。

最初は、音楽を選択しようとするのは奇妙でした。直感的に、私はiPhoneを数秒毎にちらりと見て、誰が「そこに」コメントしているかを確認し、Kylie Minogue、Doja Cat、90年代のハウスUltra Nateといった私が考え得る最も熱狂的な曲を移動しながら、私の画面に集まって奇妙にごちゃまぜになっている人々に対して何が良いか分析しました。約20分で、私は妹にショートメールを送りました。いつも、私は自分のパーティーが楽しいかどうかをものすごく気にします。

しかし、どういうわけか、上手くいきました。はためくハートが画面を埋め尽くしました。友人のボーイフレンドは、階下のコーヒーショップでアイスアメリカーノを作っていた女の子にコメント欄で自慢し、共にStacie Orricoの 2002年のヒット曲『Stuck』が好きで意気投合しました。私の母は、ベニスの海岸で踊っている自分の映像を、私にメールで送ってくれました。他の人はキッチンで夕食を作ったり、バスタブでつま先をトントンと合わせながら、各自でパーティに参加しました。友人はZoomsとHouseparty(ビデオチャットSNS)をセットアップし、積み重なった枠の中で踊る友人のビデオが、私のDMに殺到しました。

私のセットの約1時間で、私はそれがそこにあることに気づきました。それは、生きているかのようにどこからともなく現れる魔法の交流です。Brandyの『Sittin'Up in My Room』や将来を暗示するDua Lipaのヒット曲『Don’t Start Now』 (歌詞の例:「姿を現さないで、出てこないで!」)のような孤独な女たちを回収しながら、私は次に行くべき場所がわかっていました。私は妹にショートメールをしました「クレイジー!私は部屋(の様子)を読んでいますが、誰も部屋にいません!」

私のスマホが死に始めたとき、私は一呼吸し、長時間のDJをしたというよりも満腹感を覚えました。Madison BackとDJ CFLOという友達がいただけでなく、経済的に困窮しているDJのために$1,000以上集めましたが、この混乱が始まって以来初めて、解雇・病気・死、そして「コロナウイルス」という言葉を、3時間忘れていました。(そして、参加した全員もそうだとよいのですが。)

私のスマートフォンのバッテリーは午前12時30分頃に2%に届き、この仮想パーティーの場所という文脈では新たな意味を持つRobynの『Dancing on My Own』をかけました。次のようなコメントが押し寄せました。「この(パーティ)を本当にありがとう」「泣いています。何でなの!」私も泣き始めました。その配信で、人々に深い親密さを、物理的な距離があっても音楽体験を共有する親密な空気を感じました。

その週末以降、Instagramを開くと、週のうちほぼ毎晩、全国のDJが仮想ダンスパーティーを開催しています。3月下旬のDJ D-Niceのセットには、元ファーストレディーのMichelle Obamaと民主党の大統領候補Joe Bidenを含む、10万人以上が参加しました。Diploのようなスーパープロデューサーから地元のヒーローまで、誰もがインスタライブに飛び込んで、国内の行き詰まりに対し、音楽を聴いたり踊ったりして、この危機において私たちの日常生活に内在する不安と恐怖から抜け出す機会を与えてくれています。

ニューヨークを拠点とし、毎日午後4時から6時までインスタでライブプレイをしているDJ Zeke Thomasは、私に語りました。「私の妹は、コロナに感染しています。インスタでのDJは、私の家族にとって、実際には一緒にいれないので、彼女の周りを繋ぎ、一緒に踊ることだと気付きました。DJは常に人々に幸せをもたらさなければならない、その力を思い出しました。多くの人が惨めです。DJは私の幸せな場所であり、人を選ばず喜びをもたらす手段です。それが私たちの仕事です。

ロサンゼルスを拠点とするDJ MOSも、定期的にインスタでセットを行っており、現在のインスタDJブームは、このパンデミックをはるかに超えた影響を与える可能性があることを示唆しています。彼は説明します。「DJは家から聴き手を築く機会を得ており、それがパワーシフトを生み出しています。ゲートキーパーや、ナイトクラブへの待ち行列もありません。もしDJを聴きたいなら、彼らのページに直接アクセスできます。このことは我々に大きな力を与えます。」

過酷な労働時間と、あまり評判の良くない現場環境に加え、クラブでのDJは時々創造性が失われる場所になり得ます。多くの会場、特にニューヨークのような賃貸料の高い都市では、DJはお金をたくさん使う顧客や、既成の音楽プログラムを期待している顧客に合わせて音楽を調整することが要求されます。

伝統的なナイトクラブの環境では、多くのDJはクラブの雰囲気と収入の両方を生み出す私たちの役割を過小評価されていると感じています。ブルックリンを拠点とするDJ K Stylesは語ります。「ナイトクラブのDJとしての、私たちの主な存在意義は、音楽の知識を働かせることだとは限りません。私たちは仕事をし、エネルギーを生み出し、人々に飲み物を購入させ、できるだけ長く滞在させるためにそこにいます。この新しい仮想ナイトライフの空間が、創造的な自由と、ナイトクラブの典型的な制約に縛られることなく、現金を稼ぎ、フォロワーを獲得できることをDJに与え続けるなら、業界はDJをクラブに復帰させるために、そのモデルを根本的に変える必要があるかもしれません。

私自身、この3週間で過去3年間よりも多くのInstagramフォロワーを獲得し、VenmoのTipsで大金を稼ぎ、他の手段では私に接することのない世界中の人々のために、私の大好きな音楽をかけられるようになりました。Thomasも同じ意見で、「ロンドン、ブラジル、ノバスコシアトリニダードなど、これまでに会ったことのない人を毎日迎えています。クラブでDJをしている時よりも幸せになれるようになりました。誰かがこれをディズニープラスのナイトライフ版にしてくれるといいのですが。」と続けました。

全てが終わったとき、ナイトライフの基盤である大規模な人々の集まりは、最後に戻ってくるものの一つになるでしょう。選ぼうが選ぶまいが、クラブでの通常のDJに戻るにはかなりの時間がかかるでしょう。私はまだ、最初のギグが戻ってきて、笑顔で汗をかいている顔の海と一緒に『Formation』の歌詞を叫ぶことを、毎日夢見ています。それが、そもそもこの職業に就いた理由です。しかし、少なくとも今のところは、これが私の新しい通常です。毎週金曜の夜、私は寝室に足を踏み入れ、iPhoneを古いiPhoneの車載ホルダーにはめ込み、仕事に行く準備をします。このウイルスは私の音楽愛を共有する能力を奪ったわけではなく、それを広めています。

Louieは毎週金曜日の夜、Instagram Liveで東部標準時午後10時に回しています。"

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