大麻使用罰則化、ハームリダクション、風営法改正経緯
大麻使用に対する罰則化のニュースとそれに反対する署名活動の内容を読んでみた。
大麻取締法 新たな罰則検討へ 近く有識者会議立ち上げ 厚労省 | NHKニュース
大麻取締り強化を議論へ 厚労省が初の検討会 | NHKニュース
キャンペーン · 厳罰化は誰も幸せにしない。薬物政策をハームリダクションへ転換を!大麻等の薬物取り締まり強化と『大麻使用罪』創設に反対します! · Change.org
国際社会では、薬物問題はもはや「犯罪」ではなく、「健康問題」「社会問題」としてとらえられ、健康被害や社会生活での悪影響を少しでも減らすための解決策を探る政策(ハームリダクション)がとられるようになっています。
マレーシアでは、注射による薬物使用などが原因でHIVの感染者が2002年に7千人に達しましたが、2006年にハームリダクションに転換すると、09年には3千人に減少しました。
お隣の台湾でも、2005年からハームリダクションが導入され、2008年まで5万5千人を超えていたヘロイン使用者が、2014年には2万4千人に減ったと推定されています。キャンペーン · 厳罰化は誰も幸せにしない。薬物政策をハームリダクションへ転換を!大麻等の薬物取り締まり強化と『大麻使用罪』創設に反対します! · Change.org
マレーシアが行ったハームリダクションは、注射器の交換や乱用されにくいメサドン等の薬物への代替治療。現在、大麻を合法ではない。
大麻を200g以上を所持していた場合、違法売買の目的があったと見なされ死刑
在マレーシア日本国大使館
クアラルンプールで、THC(大麻に含まれる成分)の使用により懲役8か月の刑。
Son of Malaysia's ex-minister Mohamad Sabu jailed for drug abuse, SE Asia News & Top Stories - The Straits Times
台湾のハームリダクションもほぼ同じで、教育とスクリーニング、針の交換、メサドン等の代替薬物の提供。現法では、大麻の使用や所持で有罪になり得る。
カテゴリー2:ケシ、コカ、大麻、アンフェタミン、ペチジン、ペンタゾシン、およびそれらの誘導体製品
カテゴリー2の麻薬の使用で有罪判決を受けた者は、最大3年の懲役に処せられる。
カテゴリー2の麻薬を所持しているとして有罪判決を受けた者は、最大2年間の懲役、拘留、または20万ニュー台湾ドル以下の罰金に処せられます。
マレーシアと台湾のハームリダクションは、注射器や針の交換も同時に行われたことから、HIV感染拡大を抑止する目的が大きかったのでは。ヘロインと大麻では、依存性とリスクの大きさが違う。依存性の高いヘロインから低い薬物への代替療法はハーム(害)をリダクション(低減)しているが、大麻使用と無罪にしておくことのどこがハームリダクションなのかわからない。
台湾の当時のヘロイン使用者が5万5千人とあるが、2017年の日本のヘロインの検挙人数は9人、急増している大麻でも5千人程度。台湾の人口は日本の約1/5程度。依存性の高い違法薬物乱用が既にまん延してしまっている場合、すぐにやめることはできないので、地下に潜ってでも薬物乱用を続けてしまう可能性があるのはわかる。薬物をやったことのない人は、どれだけ気持ちよくなれるのか知らないので、やりたいと思わない。(若者が、規制されているからこそ、好奇心で手を出すのはあるとして。)日本は違法薬物未経験者が多数派で、その多数派に手を出させない施策には全体数を減らす効果があると思う。違法薬物所持・使用に対して死刑にする国もあるが、日常的に薬物をやっているDJであっても、その国に遠征している間は我慢しているはず。
むしろ、薬物の取り締まりを強化すれば、よけいにアンダーグラウンドへ潜り込み、使用者をより危険な薬物へ近づけてしまうことにもなりかねません。
取り締まりを強化して、警察、裁判所、刑務所などに莫大な税金を投入するよりも、非罰化の方向に政策を転換し、薬物の使用による健康被害や社会的な悪影響を減らすことのほうが、はるかに費用対効果が優れています。キャンペーン · 厳罰化は誰も幸せにしない。薬物政策をハームリダクションへ転換を!大麻等の薬物取り締まり強化と『大麻使用罪』創設に反対します! · Change.org
大麻の健康被害や社会的な悪影響を認め、使用を減らすことを目的にしているが、署名している人は内容を理解しているのかしら。大麻は依存性が少なくアルコールよりも安全だから、嗜好品として大麻を解禁しろと言ってきた人が賛同しているようだけれど。
大麻使用が罰則化されたとして、ヘロインや覚せい剤を使うかな。若者に大麻が広まっているのは、健康リスクが低くカジュアルなイメージがあるからで、大麻の取り締まりが厳しくなったとして、同じく取り締まりが厳しいヘロインや覚せい剤に手を出す理由が見当たらない。
大麻に限らず、依存症治療プログラムにもコストはかかる。イギリスの場合、そのコストが財政を大きく圧迫している。病気等で生活が困難になっている人への支援が削減される中、薬物依存者支援のコストが増加している。
亀石倫子弁護士が参議院議員選挙に出馬したとき、風営法改正の実現に貢献した方だと誤解している人も多くいたが、亀石氏はあえて訂正しなかった。そもそも、亀石氏はクラブは改正前風営法の適用外という解釈で争い、無罪を勝ち取った方。タトゥーについても、医療行為ではないので法律の適用外という立場で争い、無罪を勝ち取った。大麻使用も合法という姿勢でいくのかと思っていたので、健康被害や社会への悪影響を認めて、違法薬物使用を減らすことを目的に掲げ署名を立ち上げられたのは意外。
風営法改正議論の際、地元の人から、早朝に六本木のクラブから追い出された客が西口公園で大麻を吸っているなど、クラブ近隣での薬物使用について苦情があがった。クラブ側は、警察とも連携し自主的に安全な場所にするからと言って、風営法改正を実現させた。ヒップホップや20代のDJは、その辺りの経緯を恐らく知らないのだろうけど、風営法改正に関わった地元の方は、話が違うと感じているのでは。
未だ多くの国で、大麻は違法。
Legality of cannabis - Wikipedia
昨年10月ニュージーランドの国民投票でも嗜好品としての大麻合法化は否決された。
NZ、大麻合法化「反対」多数で否決 国民投票: 日本経済新聞
日本でCBDオイルを添加物として食品に用いているのを見かけるが、アメリカでは、食品添加物や健康食品として販売することは違法。医学的な効果を謳って販売されていたり、十分な成分が含まれていなかったり、農薬や重金属で汚染されたものが販売されていてFDAが警告している。
What You Need to Know (And What We’re Working to Find Out) About Products Containing Cannabis or Cannabis-derived Compounds, Including CBD | FDA
私は嗜好品大麻の合法化には反対。でも、もし大麻を合法化したい立場だったら、先に医療大麻の合法化を実現して大麻のイメージを良くし、未成年が大麻に手を出さないような教育プログラムを普及させ、最初はライセンスのあるお店だけで吸えるようにするかな。自宅だと、特に脳への影響が懸念される子どもの受動喫煙が防げなくなってしまうから。