ベルリンのナイトクラブ Else 違法レイヴに代わる安全なパーティは可能だ

RAの特集記事、ベルリンのクラブElseの取り組みが、具体的で面白かったので、一部和訳してシェア。

シーンからの視点:Sebastian Voigt、ベルリン Elseのブッキング担当
RA: Perspectives From The Scene: Sebastian Voigt, Booker At Else In Berlin

安全なパーティが可能だと証明する理由

私たちがそれを実行することに決めた理由の1つは、たとえこんなクソみたいなことが起こっている間でも、世界危機と世界的パンデミックの間であってさえも、適切なラインナップで規制を遵守しながらハイクオリティなダンスミュージックイベントを行い、全ての違法野外(イベント)に代わる安全を提供することが、まだ可能であると主張することが、正に我々の使命だと思ったからです。いくつかの違法イベントは、我々のシーンに本当に悪い光を当てています。それらのイベントは、全く違法で、マスク無しで、登録も無しで、もし症例があっても、そこに誰がいたか誰も知りません。ですから、Elseで起きるようなことは、ベルリン当局にとって得策であるはずだと考えました。

コロナ感染症対策

・屋内のべニューは閉鎖、屋外のみ
・人数制限
・深夜までに終了
・マスク着用必須、着席時のみ外せる
・マスク着用時のソーシャルディスタンシングは無し
・手指消毒剤の設置
・マスク着用を注意する4人のレンジャー(警備・取り締まり隊)がパトロール

[入場時の手順]
QRコードをスキャン
②フォームに名前・住所・電子メール・連絡先詳細を入力
③入力した電子メールアドレスにメールが送信される
④入り口で送られてきたメールを見せる
※偽名や、嘘のメールアドレス対策

(例)最近Elseで行われたパーティの案内にある注意書き
RA Tickets: Else Rave w. Helena Hauff, Dj Stingray, D.Tiffany & More at Else, Berlin
- 常にマスクをする必要があります(そうです、ダンスフロアでも)。テーブルに座り、あなたのグループと一緒にいるときにだけ外してください。
- ダンスフロアは禁煙です。
- バーまたはトイレで待機する場合は、1.5mの距離をとって下さい。
- できるだけこまめに手を洗ってください。
- 入り口で、QRコードとメールを介した登録が必要です(スマートフォンをご持参下さい)。
- 入り口で体温をチェックされます。
- 体調が悪い又は熱がある場合は、家にいて下さい。

ダンスもクラブも悪くない

ダンスやクラブが悪くないことは、ほとんどの人は理解している。課題は、どこの国の事例でも、深夜酔いが回るとマスクの着用やその他対策が取れなくなることで、クラブ関係者は頭をかかえている。

セキュリティが注意したって聞かないんだから、こればっかりはどうしようもないなと私も諦めていた。Elseでは、マスクの着用を促すレンジャーを配備。先日日本でもマスクを着用拒否する人がいて飛行機が臨時着陸していたけれど、やっぱりそういう人はいて、時間をかけて説得し、3回リマインドしても聞かない場合は出て行ってもらうとのこと。パーティも後半になると、気が緩んで、酔っ払ってハイになり、常にマスクを着用できなくなってしまうため、最初は2人だったレンジャーを4人に増員。4人に増やしてからは上手くいっている。

おかしかったのですが、先週末警察官が来ました。 我々には、ウイルス予防コンセプトを詳しく説明したこの32ページのドキュメントがありますが、彼らはそれを読み、「ああ、うーん、OK、良さそうです。」と言いました。 それから彼らは会場の中に入りました。 Blawanがプレイするテクノパーティーで、本当に激しく雨が降っていました。 誰もが夢中になっていて、ザーザー降りの中、本当にハードレイヴィングしていました。...しかし、誰もがマスクを着用しています! 警察官は周りを見回してこう言いました。「ワォ、OK、本当にありがとう、素敵な良い夜を。」

BlawanとDasha Rushとのパーティーは、5時間ずっと完全に土砂降りで、(雨が)叩きつけていました。天気予報を見たときはとても心配しましたが、そこに着くと、みんな明日がないみたいに本当にハードになって踊っていて、何人かは半裸やトップレスでしたがマスクをしていて、驚きました。すっかりずぶぬれになりましたが、皆本当に夢中でした。

私たちは非常に厳格で、人々はそれに気が付いています。 昨日、マスクを10秒ほど外してドリンクを一口飲み、すぐに(マスクを)着けるのを忘れてしまっていたら、レンジャーの一人が歩いてきて、「ヘイ、(マスクを)着け直して。」と言いました。 彼らは、対処の達人でした。

我々は図々しくなりたくないのです。わかるでしょう、例えば「おっと、誰も見ていない、悪いことをしよう。」みたいなことです。他のクラブでは、見たことがあります。 私は名前を挙げませんが、別のクラブで警察官のチェックがあったと聞きました。実際警察官が来ていると聞き、DJは音楽を止め「警察が来ている、皆マスクを着けて!」と叫びました。警察が来て、チェックし、万事良し、警察官は去り、皆マスクを外しました。すると、警察官が2分後に再び来て、皆がふざけていたことがわかり、警察官は本当に怒っていました。

Elseのお客さんは、本当にこの場所とダンスを守りたいんだな。土砂降りの中、マスクの有効性がどれだけあるかわからないが、何をおいても絶対に守りたいという強い意志の表れだと思う。あと、クラブの外の人にも理解してもらいたいという気持ち。自由を勝ち取るには、色んな方法がある。

日本のクラブのイメージアップ

日本のクラブも、多くの箱がきっちり対策をとって、イベントをやっているんでしょう。日本のナイトクラブは、ここまでの感染症対策やってるんですよ、海外渡航できるようになったら是非日本のクラブへ遊びに来てくださいねと、海外にアピールできるチャンス。Elseのこういう記事は、すごくプロモーションになると思うんだよね。単に設備や出演者のラインナップではなく、どういう考えの人がやっているクラブなのか伝わって、クラブ選びの判断材料になる。日本から海外に向けて英語で発信しているのは、日本の政府はクラブカルチャーに理解がなくて、補助金も少なくて廃業してますとか、愚痴みたいなネガティブな内容で、何のためにやっているのかよくわからない。この前、渋谷区のクラファンの批判で、配信の仕組み作りがサポートになるのかと書いたけど、箱物ではなくコンテンツだと思うの。韓国は、クラブで大規模感染クラスターが発生したけれど、その後の対応が評価されてCDC(米国疾病予防管理センター)のジャーナルにまとまっている。万が一発生しても、こういう対処が取れる国や首都なら、旅行に行くのも安心。海外からの観光客を呼び戻すために、観光庁がやるべきことって、こういうことなんじゃない?イメージアップのやり方。

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