DJ Mayu Amano、bungo(Rhythm Affair) 選曲による表現の可能性

以前にも紹介したMayu Amanoさんとbungo(Rhythm Affair)さんのTSUBAKI FMでのミックス。


Mayu Amano
DJの既成概念を打ち破ってくれる素晴らしいミックスだった。映画のサウンドトラック、というより聴く映画。過去に拝聴したミックスは、先輩DJに挟まれて流れを崩さぬよう、その中で遠慮がちに個性を出す感じだったが、今回は一から自分の世界を思いきり表現されている印象を受けた。
00:00:00 Frank Harris & Maria Marquez - Tonada De Ordeno
00:05:33 Oregon The Rapids ジャズ
00:11:03 Laraaji - Hare Jaya Jaya Rama II
00:15:15 Leon Vynehall - 'Envelopes (Chapter VI)
00:19:22 John Ellis - Unidentical Twin ジャズ
00:24:30 Francesco Tristano - Pakuchi (feat. U-zhaan)
00:28:22 Jon Balke - Circular ジャズ
00:32:03 Laura Jurd - Ishtar ジャズ
00:41:35 Bachar Mar-Khalife - Distance
00:46:45 Portico Quartet - Signals in the Dusk 
00:51:00 Niels Petter Molvaer - Ligotage (Teebee Remix) ジャズ
自分がジャズと認識している範囲、また世間で多くの人がジャズと認識し広く聴かれている範囲も狭い。少しは広げたつもりであったけれど、あれもこれもジャズなのかと驚きの連続。自分のジャズに対する浅はかな理解に対峙する。AmanoさんのDJを聴かなければ一生出会うことがなかったに違いない、Amanoさんならではの選曲。自分の求める音楽により多く出会うために、自分の感覚に近いDJを見つけることがいかに重要か、改めて強く実感する。4つ打ちの対極で現代音楽のような不規則な音楽にも関わらず、音色が近い音できれいにマッシュアップもされている。例えば00:46:45あたり。1曲まるごととミックス全体構成が頭に入っていていなければできない繋ぎ方。(ジャズの場合、フェードアウト、フェードインで繋がないDJも多い。)全曲紹介したいが、特に印象に残ったものに絞って。
Leon Vynehall - 'Envelopes (Chapter VI)
映画のような音楽だと思っていたら、映像とセットの作品だった。Leon VynehallはDeep HouseのDJ兼プロデューサー。この作品は1960年代に彼の祖父母がイギリスからNew Yorkに移住したときの話から着想を得て作られたもの。音楽のみから沸き起こる悲しみやせつなさを感じ取っていたが、シンプルに得たその感情を壊さず寄り添ってくれるような美しい映像。

Laura Jurd - Ishtar 
夏に幽霊が出てくるときのような音楽。古い和モノかとも思ったくらいだが、ミックス録音の9日前7月19日リリースされたばかりのイギリスの女性プロデューサー兼トランペット奏者の新譜だった。ご本人が新譜を解説している動画があった。使っている楽器が見れて最高。様々な楽器奏者を招き融合し編曲する、蓮沼執太さん的な感じなのかな。作品は年を重ねた巨匠が作っていそうな芸術的な印象だが、Laura Jurdさんは1990年生まれの29歳で、楽しそうにでも熱く平易な言葉で説明してくれているのが良い。(動画10:15~)Ishtarはジャズと現代音楽に影響を受けたElliot Galvinと制作した作品。


Amanoさんは9日前にリリースされたこの曲を把握されているのも凄いし、ラウンジセットとは言えこれをかける度胸と、違和感なく組み込めるセンスが素晴らしい。音楽を演奏するのではなく、DJという行為で表現できる範囲の枠を押し広げたミックスだと思う。既成概念に捉われることなく、Amanoさんが自由に表現する世界をたくさん聴きたい。

bungo(Rhythm Affair)
青山 蜂でレギュラーパーティを開催されている21歳。
00:55:45 Nubya Garcia - Hold
01:02:45 Walking In the Sun - B.B.King
01:06:17 Roy Ayers Ubiquity - Together ジャズ
01:09:17 London Funk Allstars - Junkies Bad Trip
01:15:20 audio acttive - Back From the Black Hole
01:18:33 The Juju Orchestra - This is not a tango
01:23:23 Weather Report - Punk Jazz
01:28:20 Soulphiction - Prison Song feat. Marcin Öz
01:32:35 DJ Milo - Possessions (DJ Nature Remix)
01:36:09 Theo Parrish - Serengeti Echoes
01:39:36 Righteous - Midnight Muse
01:44:39 Bugge Wesseltoft- Existence (Chilluminati Remix)
01:48:30 Kyle Hall - Feel Us More
01:51:33 String theory - Mr Tiger
01:55:06 Metropolitan Jazz Affair - Singe (Nu-Skool mix)
02:01:15 Reginald Omas Mamode IV - In Search Of Balance
02:04:21 Nina Simone - Forbidden Fruit
02:08:00 Wes Montgomery - When a Men Loves a Woman
直前のAmanoさんのセットはかなりくせが強いが、雰囲気を壊さないスローなジャズ・ファンクDJ。ソウルやファンクは元々好きだったはずが、男性DJのかける曲は荒々しく男臭くて、自分はファンクは好きだかどうだかわからなくなっていた。それが、London Funk Allstars - Junkies Bad Tripを聴いた途端、眠っていた血が一気に騒ぎ出した。ミックスの折り返し真ん中にアクセントとして効いている、Soulphiction - Prison Song feat. Marcin Öz。タイプライターかドアノブを回す音にも聞こえる。吐息とマラカスとベースのシンプルな音だけで、徐々にベースのキーが上がっていく。たまらん好き。ジャンルにしばられず、幅広く好きな曲を自分の意志で選んでいることが感じられる選曲で楽しかった。私が好きなDJもbungoさんを評価されてるようなので、また聴ける機会を楽しみに。

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