2018年11月 古民家文化祭 長谷川白紙 弾き語り@東京おかっぱちゃんハウス

長谷川白紙が出演する古民家文化祭、なんとなく内容から10代の方のイベントで、行ったら浮いてしまうのではないか心配で迷っていた。でも結局ライブを諦めきれず、数日前に申し込み。
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会場は、上石神井の「東京おかっぱちゃんハウス」。昔大怪我して運び込まれた病院、名前も忘れたが石神井だったな。用事もなかったが、こっち方面に来るのはずっと避けてきた。上石神井の駅を降りると、小さな商店街。和菓子屋、整形外科、年金相談の文字、早稲田学院生向けなのか塾や英会話。同じ都心から少し離れた町でも、路線や離れる方角で随分と趣が違う。商店街が終わり五叉路+遊歩道に出る。一瞬迷いかけたが運営の方が丁寧な地図を用意して下さっていたので無事到着。
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敷地半分以上が砂利の駐車場になっていて随分と広い。お寺の隣にあって住職さんが住んでいるような立派な瓦屋根の家。暖かい光に吸い込まれるように玄関に入る。靴袋まで用意して下さってた。中は人でいっぱいだ。0歳からかなり上まで年齢幅広く賑わっていて、人のことも見ていないから全然大丈夫だった。

ちょうど佐々木コータさんのライブが始まる前で、空いている場所に体を滑り込ませる。床の間や組子飾りの障子、素敵な和室がライブ会場。生のアコギの音聴くのは久しぶりだな。シンガーソングライターの熱唱とか割と苦手なのだけど、控えめで淡々としたMCにお人柄の良さが感じられて、あっという間に終わってしまった。

 目当ての長谷川白紙のライブ。ライブ直前に観客に音の確認をしてくれたのがよかった。マイクはエコーがかかっていたのでマイク無しの生声で正解。マイク無しのライブなんて今後ないだろう。和室二間の小さな会場とは言え後ろの人は少し聴こえにくかったかもしれないが、観客が耳をそばだてて静かに聴いている空気感がとても良かった。キーボードの音と声のバランスも調整してくれた。

1.Mark Redito - Promise
2.birds birds birds - That’s the way you goes
3.毒
4.草木
5.サカナクション - ワード
6.青葉市子 - うたのけはい
7.tofubeats - 水星
8.SAKANAMON - ミュージックプランクトン
en.横顔 S
(6.と7.は佐々木コータさんと。)
1.と2.は歌詞が英語。日本人が英語で歌うのを聴くのは本当に苦手なんだけど、生声や練習してきたであろう気迫のある歌い方に圧倒された。3.と4.は12月発売のアルバムから。私は「毒」がお気に入り。イントロのプークプクの歌い方が好き。持ち歌の中で一番のびのびと気持ちよく歌えているようにみえる。「草木」はクラシックな印象で、合唱コンクールとかで歌われてそう。アルバム収録バージョンもこれくらいボーカルが前に出てるといいんだけどなぁ。「綿の中」「肌色の川」「横顔 S」「毒」「終わりの季節」「ミュージックプランクトン」の弾き語りアルバムも出してほしい。6.と7.、佐々木コータさんのアコギと長谷川白紙の生声の組み合わせの良いこと!さらに和室という環境とも相性が良い。畳は吸音材のようなものだし、土もしくは和紙の壁や木の柱へ反射する音はやわらかいのでは。「ミュージックプランクトン」は歌ってくれなかったらリクエストしてみようと思っていた。ペリスコのログを録音したのを、もう何百回も聴いてる。生で聴ける日が来るなんて。

サカナクションの「ワード」もSAKANAMONの「ミュージックプランクトン」もアレンジされて、歌い方なんかはオリジナルとだいぶ違う。長谷川白紙の歌を堪能するなら、持ち歌よりもこっちのカバー。私が乳糜湯気とかLouis Coleの速弾きの良さがわからないだけなんだろうけど。歌詞を間違ったとしても歌詞を見ずに言葉に気持ちを寄せ、長谷川白紙の歌に目を輝かせるファンの顔を少しでも見て歌うだけで今より更に聴く人の心に刺さるんじゃないかな。長谷川白紙の歌を聴き始めて2年ちょっと、「横顔 S」を聴いていたら走馬灯のように色んなことが思い出されてボロボロ涙がこぼれた。

 少人数で長谷川白紙ファン率が多いアットホームな雰囲気でライブ、翌日「家だけにYeah」で大きなステージという流れは良かったのでは。こんな少人数制の弾き語りライブはもうないだろうな。きめ細かい配慮に溢れ満喫させてもらえたイベント。避けていた場所が楽しい思い出の地になった。運営の方々に心から感謝。早めに行って、豚汁食べたりレンテラサキさんのライブも聴けばよかった。

 長谷川白紙と初めて話したとき、ウィーン少年合唱団みたいな声で話す人だなと思った。中村佳穂さんのアドリブを聴いていて、長谷川白紙も失敗や他人からの評価や容姿から自由になれたら、もっと才能を発揮できる人だと信じている。だってプレッシャーを感じていないときはあんなに自由で即興もできて面白い人。もうこんなにもたくさん愛されてるんだから好きにやって大丈夫でしょ。たとえライブ前に機材壊れてデータとんで風邪ひいたとしても、ピアニカとハスキーな声だけで十分お客さんを満足させられる。「綿の中」「肌色の川」とかはコンプレックスや怒りがないとできなかった曲だと思うし、そういうところも全部含めて長谷川白紙というアーティストが好きではあるんだけど。「綿の中」から出て「肌色の川」を流れ、土を満たし、「草木萌動」、芽吹きだす。20歳からの人生にたくさんの幸があり、素敵な音楽の実をならし落として下さいますように。

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