DJの価値(nutsman、横尾PoLoGod.、Masaki Tamura(DoitJAZZ!))

2018年によく聴いた音楽 第4弾、ようやくDJ編。昨年はハウス・テクノ中心でDJも限られた人しか知らなかったのが、人が音楽を繋いでいくで書いた通り、UenoさんMidori Aoyamaさんのおかげで今年は一気に世界が広がった。感覚的には音楽を聴いている時間の95%はDJミックスを聴いていたかな。よほど繰り返し聴きたい音楽は別に聴くとして、質の良いDJミックスを聴き出したら自分のプレイリストなんて聴けなくなる。

nutsman
2018.1.13 Burrito @FORESTLIMIT 3.5h DJset digest…Bambooman - Static
Leif - Shoulders Back
Laurel Halo - Jelly
Sampa The Great - Inner Voice feat. Mwanje Tembo
Laurence Guuy - Saw You for the First Time
Lone - From a Past Life

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General Levy Ramp Wid Di Riddim
Nikes & Hernan - Take Me Out
Zed Bias- Dissecting Frequencies
Hernan x BSN Posse - Ma Thing (Lokito perdio)

Rootless - It's Right
BSN Posse - About U (Sideswipe Remix)
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Jezellic - Kanakatakon
OL-Jungle TV
?(テクノは曲名がなかなかひっかからなくて断念)
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Prefab Sprout - Carnival 2000

The Delfonics - La-La Means I Love You + ラップ
NERO IMAI - MITETAYO SUCKER
DJ Koze - Das Wort (feat Dirk von Lowtzow)
Milton Nascimento - Ponta de Areia
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映画『茶の味』劇中歌 「山よ」
青谷明日香 - 異端児の城
岐阜県長良川在住で幅広いジャンルをこなすDJ。確かBUDDHAHOUSEと同い年なんだっけ。4つ打ちでないエレクトロニカから始まって、ダブ、ベース、ジャングル、ドラムン、テクノ、ハウス、ポップ、ヒップホップ、コーラス、弾き語りまで、3時間セットのダイジェスト。これだけのジャンルを構成し繋ぎ合わせるのは相当難しいのでは。繋ぎ方も本当にきれい。このミックスを聴いたとき「同じDJばかり聴いていてはもったいない。」とはっきりと実感した。今まで聴いてきた界隈のDJとは選曲が違うと感じたから。
序盤、音数少ない曲から始まって、Lone - From a Past Lifeの次の曲あたりでピークだと思うのだけど、じわじわ丁寧に上げてきているからか、気が付けばいつの間にか上がってる。マリンバ好きとしては序盤のセットはかなり好みだ。テクノパート部分、nutsmanさんはテクノDJのイメージはないけれど、選曲・組み方・かける長さがちょうどよく、しっくりくる。ずっと「えびそかよ」と言ってるみたいなJezellic - Kanakatakonも面白い。最後は「山よ」と「異端児の城」。誰がかけても良い曲は良い。だけど、その人がかけることが、少し特別に感じることがある。山と川と魚を愛し、クラブやレコードショップがあふれる都会からは離れた岐阜で音楽を続けているnutsman。個性的で自分の愛するものに誇りを持ちながら、生きている人のような印象がある。私は人と違うものが好きで、人生の大半を自分の好きなものが周りに理解されずに生きてきた。だから「異端児の城」はとても心に沁みた。これからも何回も聴くだろうし、その度にnutsmanを思い出すだろう。


Sir 横尾 PoLØ God. (PAYME)
Day of 45's 2018 -Japanese 45's Diary-


01. Sadao Watanabe - Here to love 
02. 西城秀樹 - アゲイン
03. Chrysty - Love Love Love 
04. Yutaka Ishio - Mature 
05. Hizume Shoichiro - Room No.909 
06. NASA - Sexy spicy bady
07. Bread & Butter - Japanese Woman
08. 杏里 - Fly by day
09. 彩恵津子 - 狼ガール
10. Kowichi Kawamura - Funny
11. Mao Daichi - Free asphalt 
12. Casiopea - I Love New York
13. 笠井紀美子 - I Thought It Was You
14. Midnight Fox - Tonight
15. Miho - Next Move
16. 久保田利伸 - Indigo Waltz
Vinyl DJのミックスを聴き出したからか、SoundCloudがこういうのもお薦めしてくれるようになった。和モノの7inchのみのミックス。45回転の45かと思ったら、45分ミックスだった。久保田利伸はアリとして、まさか西城秀樹の入ったミックスにはまるとは思わなかった。邦楽の歌詞なんて酒・煙草・女とか世俗的で、男は強く女は弱いか悪女、邦楽なんてダサいと思い続けていた。そういう歌詞ばかりではないことがわかったし、心情や情景描写の日本語表現が豊か。女性の色気も今は写真や絵で表現する幅が広がっているけれど、逆に言葉でしか表現できない心理描写はあるのかも。70年代80年代の曲のバックバンドの音はきっと生音だから、耳を傾けてみたり楽しんだ。1曲1曲を個別に繰り返し聴きたいほど好きではないが、フォトブックや色やテイストが統一されたインスタのように、センス良く集めると個々の魅力も伝わり易い。それがDJミックスの魅力だよね。Vinylの歌ものなのに繋ぎがきれいなのも良かった。

Masaki Tamura(DoitJAZZ!)
田村正樹さんは建築家でもありVinyl生音にこだわって続けてきた京都在住のDJ。SoundCloudに上げて下さっているDoitJAZZ!ミックスを毎日毎日聴き倒した。自分がずっと求めていた音楽は正にコレ。Jazzって偉そうで鼻につくし眠くなるはずなんだけど、田村さんのDJミックスだとこんなに魅力的に感じるのはどういうことなんだろう、Jazzの種類なのか何なのか。沖野修也さんのDJは私がJazzだと思ってた音楽、田村さんの選曲は少し違う。どうしても気になって、とりあえず田村さんのDJで特に気に入った曲を洗い出してみた。1975年前後が多く、Jazzというよりディスコ寄りですやん。後日、ご本人の「脱DISCO」宣言により答え合わせができて良かった。めちゃくちゃ腑に落ちると同時に、ディスコ好きのつもりがこんなにも素敵な音楽の数々を知らなかったことに愕然とした。
自分を振り返ると、FM802で昔ディスコ通いをしていたディスクジョッキーが70年代のディスコ・ファンク・ソウル、その流れを汲むR&BAORを紹介してくれる番組を聞いていたのが始まりで、CDレンタルで借りれるものを片っ端から借りたり、中古レコード店ジャケ買いしたけれど(レコード店の人と仲良くなるとか試聴したりはできなかった)、ネットで無限にディグれる現在から考えるとものすごく狭い範囲の音楽しか聴けていなかった。バーも行ってみたことがあったけど見た目における自分の場違い感がひどく、酒も煙草もダメなのに音楽だけのために通うのは難しかった。
偶然が重なって、もっと先にならず今出会えて良かった。自分一人でディグってても一生見つけられない音楽にたくさん出会えた。ワインも自分で探すよりソムリエに相談した方が好みのワインに出会えるし、自分で海に潜って銛で魚突くより漁場を知り尽くした漁師に捕まえてもらう方がうまい魚をたくさん食べられる。もちろん自分で掘る楽しみもあるんだけど。音楽を探すと同時に、自分と好みの近い音楽のソムリエや漁師を捕まえることで、好きな音楽に出会える確率が格段に上がる。

DJの価値は世間にあまりにも理解されていない。音楽業界内でさえ十分理解されていないから転換DJの問題がなくならないんだと思う。DJも価値を伝えようと努力していないようにみえる。DJがやってることの奥深さを知ってもらいたくて、私は懐石料理に例えてみたりしたんだけど一人が書いててもね。DJ論なんていくらでも深い議論ができるのに、人のDJやパーティを見下したり、好みの合わないDJとBtoBしたくないから逃げるとか、ベルクハインにたまたま入れたくらいでマウントしたり、ベテランDJがそんなことでしか盛り上がってなくて悲しくなる。

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