LOUNGE NEO

限られた回数しか行ったことないのに、LOUNGE NEO、Glad、VUENOSの閉店を聞いて落ち込んだ。固定費がかかるから、戦略的に一旦廃業するのかと思ったが、みんな思い出を語り出したりして、そういうことでもないっぽい。

一番最初に行ったクラブイベントが、この3店舗で開催された『家だけにYeah』だった。引きこもり体質で風紀委員みたいな私が、一人ぼっちで初めて行って、差別されることもなく、「なんて楽しいんだ。毎週通いたい。」と思えた。私でも心から楽しめたんだから、行ったことない人にも行ってみてもらいたい。ブログを書く大きな原動力となった。最初が六本木のクラブなら、たぶん今ブログは書いていない。

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海外の小箱が、自分たちはメジャーになる前のアーティストを育てる繁殖地だと言っていた。箱によく遊びに来て、友達連れてたくさん飲んでくれる、そういう関係のブッキングは多いように思うが、スーさんは自ら他の箱にも足を運んで実際にライブを観たり、地方の若手もブッキングされていた。年功序列で、若手がメインに立てないなんてこともない。実力・人気・可能性でブッキングし、タイムテーブルもお客さん目線でよく練られていた。

2018年。今や大活躍してるSIRUPくん、Shin Sakiura、okadada、pavillion xoolを呼んで主催したBOUNCE UP。ラウンジではyxki(当時ryuzk)にオーガナイズを経験させたりと実験的なことをしたりした。

LOUNGE NEO、Glad、VUENOS閉店を受けての想い(has)|has|note

率直に批判する辛口の私が、LOUNGE NEOのこと、スーさんのことは、このブログでどれだけ褒めてきたことか。(昔のブログは今読むと恥ずかしいから貼らないけど。)

『家だけにYeah』の由来
スー:(Trekkie Traxが、集客力ができるくらい人気が出ると)全然思ってなかったすね。そもそも10代だったから、深夜でやる場所がなくて、うちに辿り着いたというか。その前に、Seimeiとも会ってて、それで辿り着いて。である時期、そのデイも夜も、Trekkie Traxの連中が出入りするというか、家に帰ってんのか(LOUNGE) NEOに帰って来てんのかわかんない状況になってる時期があって、それで「家みたいだなぁ。」とSeimeiが言って、うちに元いたタマっていうのが「クラブは家じゃねぇんだよ。」っていう、まぁそれが。
has:名言。
スー:そういうところから、周年やるときに「じゃぁ、『家』でいいか。でも『家』だけだとアレだから。」Yeahって付けたっていう、
has:ダジャレ。
スー:あんな5年も続くと思わなかった。特にそういう、先を見込んでというよりかは、別に、LOUNGE NEOなんて、誰も知らなかったし。一緒に遊び場を作っていったって言った方が正しいかな。
has:一緒にパーティを作って、それが結果、大きくなっていった。
Inner Room | block.fm

いつまでも2000年当時の繁栄が忘れられず、新しい客が増えないのを風営法のせいにしている小箱のオーナーと違い、スーさん達はやるべきことをやってきた。ナイトタイムエコノミーでも小箱の魅力とか言ってるけれど、お手本にすべきはこういうやり方だと思う。外タレや女性で集客して、ただ単に消費するだけではなく、日本のクラブカルチャーを作り上げていくために。
・外タレに依存しない、日本人アーティストが主役のイベント
・実力や人気によるフェアで顧客目線のブッキング
(予約の際に、目当てのアーティストを記入させる)
・まだ無名の日本人アーティストの育成枠
(若手アーティストの育成)
・10代も入れるデイイベント
・リーズナブルに多数のアーティストが観れる10代の財布にも優しいイベント
(将来のクラバーの育成)
・ライブとクラブイベントの融合
(ライブ好きからクラバーへの取り込み)
・男女同一料金、VIPもなく皆平等

 スーさんがclubasiaに移った後のLOUNGE NEO、Glad、VUENOSがどうだったかは知らない。clubasiaは規模も大きいし、LOUNGE NEOでのような、新しい試みといった賭けや、可能性が未知数のアーティストのブッキングも容易ではないだろう。泡パやアイドルイベントのような、元々のclubasiaのカラーもある。もめるような人でない方が、clubasiaのバーカンの人に「表に出ろ」と言われた話もSNSで見かけた。今回、クラウドファンディングに出資したいけど、バーカンの対応はなんとかならないかと言っている人がいた。Lounge Neo、Glad、VUENOSとclubasiaは違うし、これからどうなるのかわからない。でも、スーさんがLOUNGE NEOでやってきたことは、人に関することであって、LOUNGE NEOのあのドーム天井やGladの傾斜客席は、他にはない魅力であるけれど、人が死なずに生きてさえすれば、また素晴らしいイベントはできる。守らなきゃいけないのは、アーティストの才能を見極め、チャンスを与えて磨き、育てるカルチャーだと思う。箱という器ではなく、人。

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