日本外国特派員協会会見 東京都医師会会長 尾﨑治夫(第三波、医療の逼迫状況、ワクチン、オリンピック、現場の疲弊)

台湾・韓国・シンガポールなんかは、新型コロナ陽性者数が上がったときは、ほぼ毎日政府の専門家や責任者が会見をしていた。韓国の事例で紹介したように、データに基づいて、現状はどうで、政府は何をやるから、国民にはどう協力してほしいかを明確に伝えいている。

日本の状況は、第一波、第二波と違って、陽性者数や重症者数が増えても、GoToを継続できるくらい余裕があるのか、本当のことが知りたいのによくわからない。政府は、お願いばかりで、具体的な対策が打ち出されない。

東京都医師会会長 尾﨑治夫氏の日本外国特派員協会での会見。医師会も色々問題はあるし、全部が正しいと思って鵜呑みにはしないが、ほぼ納得のいく状況説明だった。政府もこれくらいの説明をしてほしい。

以下、部分書き起こし。

東京都医師会会長 尾﨑治夫 日本外国特派員協会 会見 

国、政府の問題

私の感想ですが、我が国の政府というのは、バランス的には経済を非常に重視してきたということで、特に感染症対策についてはですね、あまり積極的に、私から見て正しいと思われる政策を打っては来なかったような印象を持っています。
例えばですね、全国一斉に休校にしたとか、あるいは緊急事態宣言を出しましたが、時期が少し遅かったとか、「アベノマスク」というのを皆さんご存じだと思いますが、そうしたあまり飛沫を防げそうもない小さなマスクとかですね、打ち出した政策がですね、そういう意味では、有効な政策であったとは思えない政策が多かったという印象を持っています。
そして何よりもですね、COVID-19の流行が始まる前にですね、実は、日本でも新型インフルエンザ、そういうのを経験した訳ですが、やはりその経験を生かして、例えば疾病対策センター、そうした国のきちっとした感染症対策の組織を作って来なかった。それからPCR検査の体制も、きちっと充実して作って来なかったということがあります。
例えば、SARSやMARSと言った経験を生かした韓国や台湾のような準備ができてなかった訳です。各分野でのIT化の遅れも、皆さんのご存じの如くだと思います。

第三波

第二波が収まらないままに、第三波に突入してきているということがわかります。f:id:senotic:20201206163127j:plain

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f:id:senotic:20201206163211j:plain第三波の状況を見てみますと、左のグラフでもわかるように、ブルーの部分ですね。これは家庭内感染を示しています。イエローのところは、職場の感染を示しています。従いまして、第一波、第二波と違いまして、既に夜の街とかですね、それからスポラディックなところを通り越して、家庭内感染が主流になっている。つまり、第三波の特徴は、かなり感染がどんどん広がっている状態というのがこれでわかると思います。

f:id:senotic:20201206163231j:plain最近の傾向を見ますと、40代、50代、60代が半分以上を占めてきた。つまり中高年に感染者が広がってきたということもわかります。

東京全体、市中感染

f:id:senotic:20201206163335j:plain(都心だけではなく東京都の)全てのところに感染が広がっている。多摩地区のエリアにも広がっている。東京中に感染が広がっている。
従いまして、感染源を特定して、どこかを重点的に追跡していくというようなクラスター対策では、既に限界が来ているということと、中高年に感染がどんどん広がっているということで、このまま感染増加が止めないと、恐らく重症例がどんどん増えていくことが予測されます。

リスクを減らした飲み会参加

CDCもですね、10日間空ければ感染力はなくなるという話をされていましたが、飲み会というのはリスクが高い訳ですが、10日間空けてその間はどこにも行かずに、また10日後に飲みに行くことにすれば感染の危険は減ってきますので、安全に飲みに行けるのではないかという提案をしております。f:id:senotic:20201206163355j:plain

北海道の感染者が多い理由

北海道は、寒さでですね、かなり暖房をしっかりする、密閉して暖房するような地域ですので、それが要素となって、どんどん広がっていったということが考えられると思います。ですから、今後、東京とか大阪とか寒くなるわけですから、今の状況に寒さが加わりますと、更に、皆さんが注意しないと感染は広がっていく可能性はあると思っています。

GoTo一時中断を求める理由

家庭内感染とか職場で感染が起きているのは、主にですね、家庭の中に持ち込む方がいる訳ですね。(略)職場も同じような原因だと思っています。

旅行とか食べに行くということを推奨する、お得ですよと推奨することによって、他のGoToキャンペーン以外でも、移動とか飲食がですね、活発になってきている訳です。
GoToが全て悪いとか、そういうことを申し上げているのではなくて、それを引き金に、そいういった行動が広がって、なおかつ、第一波、第二波のときにですね、また今度も収まるなというような、国民都民の間にコンプライアンスが緩んできた。こういうものが重なって、今感染がどんどん広がってきているので、そういった意味で、一度流れを止めようよ、ということを、国民都民に警告する意味でも、その象徴として一時GoToをストップする、という政策が有効ではないかと私は考えています。

病院や医療の逼迫度

病院や医療の逼迫度の話ですけれども、例えば東京都には625の病院があります。そして、大きな病院もありますけれども、7割は200床以下の中小病院です。ベット数だけ足せば相当数ありますが、実はコロナを受け入れる病棟というのは、やはり救急病院が主ですし、その救急病院というのは二次救急病院というのは250ありますが、そのうちの110くらいの病院がコロナを受け入れています。しかしながらいずれも単位数100、200という数を受けているのではなくて、10とか20とか30という数で、いろんな分散して受けている訳です。従いまして、重症者が60、70と増えてきますと、150が重症者のベットのと言っていますが、実は、現実な限界は100ぐらいだろうと思われてまして、それの過半数を超えてきて、60、70という数になってきてますので、だいぶそういう意味では逼迫している、これが1つです。

ベットの数というのはある程度確保できるのですが、そこにいる熟練したスタッフが、どこからどう持ってくるか、用意するかというところで、各病院とも苦労しています。今までぎりぎりの体制で、日本の病院というのは、利益とか診療報酬とか、ぎりぎりの体制でやってきてますので、なかなかそういう意味で余裕のない体制でやってきた。したがって、スタッフの充実がなかなか思うようにいかないということがあります。

一例を挙げますと、心臓病を専門に診ている病院があります。そこで、肺から出血、肺胞出血というのですが、そういう病気の人が入ってきました。普段ですと呼吸器を専門に、肺を専門に診てくれる病院に転送依頼をします。ところが、6か所の病院に連絡をしても、全部コロナ関係で埋まっているからダメだと断られました。こういう事実がどんどん広がりつつあります。従いまして、なかなか(コロナ以外の)一般の患者さんを診ることができない、通常医療に支障がきていることが、起きてきていると。

大阪の感染拡大

東京の方よりも、大阪の方がですね、高齢者が一緒に住まれている、そういうご家庭が多いと聞いています。したがって、家庭内感染が広がったときに、東京はやはり核家族とかですね、お一人、お二人住まいがたくさんいらっしゃいますので、そういった意味で、大阪の方がそういう影響を受けているのではないかと私は考えておりますが、その他に科学的分析とかなされていないので、はっきりしたことは言えません。

ワクチン

例えば、ファイザー社のワクチンであると、マイナス70℃以下に保存して、そして輸送して、そのままの温度を保ちながら、一回に970人分くらいを一度に打っていくということになりますので、やはりどこでどう接種するかというのが、今問題になっています。

(以下の図は、以下のBBCの記事から

Covid vaccine update: When will others be ready? - BBC News
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オリンピック

今の中国とか韓国とか水際対策・検疫対策に比べると、やはりやや緩い部分がある。ちょっとその辺は、私は心配をしているところであります。それからワクチン無しに安全にオリンピックが開催できるかというと、やはりかなり厳しい状況にあるのは間違いありませんが、多くのアスリートの皆さんが、オリンピックに向けて今も毎日努力をしておる状況を見ますと、なんらかの形で、開催ができないかということを、皆さんの知恵を絞って考えていくことは非常に大事なことだと思っていますが、従来のような形で、本当に地球の北側南側の国々が全部集まって、観客も入れてオリンピックをやるということは、ワクチンの普及無しに、うまくいくのかなということについては、なかなか難しい、困難ではないかという風に考えております。

医療従事者の疲弊、助かる命も

もう第二波が十分収まりきらないままに、100人200人という感染者が毎日出ているような状況が、もう4か月5か月目に入っています。ですから現場でコロナ患者さんを受け入れている医療機関は、もう5か月目に入りますから、だいぶいろんな意味で、精神的にも肉体的にも疲労度が高まっています。そして、今重症者が増える段階になっておりますので、ここをなんとか、感染者を抑えて頂かないと、これから冬に向かって、所謂通常医療の中の救急患者さんもどんどん増えます。日本は超高齢化社会ですので、心臓の悪い方、肺の悪い方、持病を抱える方がたくさんいらっしゃいます。そういう中で、この感染症を抑えないと、やはり私は、我々医療界はですね、厳しい状態に陥ると、普通に日本は保険制度の中で助かる人も助けられなくなりますので、是非この感染を本当に抑えるための有効な対策を、迅速に打ってほしいという願いを、しつこいようですが申し上げて、私の講演を終わりたいと思います。

以上が書き起こし。

大阪は、クラスター追跡とか大阪と兵庫の移動規制とか、初期対応は良かったのに、PCR検査抑制派に頼って、K値とかイソジンとか、雨合羽、大阪都構想やってる間に悪化してしまったように見える。台湾は外タレを呼んでUltraが開催できるまでになったし、シンガポール外国人労働者の寮で感染爆発が起きたけれど、隔離と検査をしまくって、結局今抑えられている。せめて夏からでも、上手くいっている国の真似していれば、今頃は・・・、と思うのだけど、

山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

感染者が多い、東京、大阪、北海道について、人口当たりの感染者数や、検査の陽性率を比較してみました(図1)。
これを見ると、大阪府大阪市が、全国の中でも人口当たりの感染者数や、PCR検査の陽性率において突出していることが判ります。
参考として私の第2の活動拠点である米国カリフォルニア州の指標を示していますが、感染者数の多いアメリカの基準からみても、大阪の状況は深刻です。
また、人工呼吸器が必要な重症者数の数を見ても、大阪府が突出しています(図2)。
大阪府、特に大阪市では、報告されている以上に感染が拡大し、結果として重症者の増大につながっていると考えられます。

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