雑記 アルゴリズムに恋する Spotify YouTube

服を買いに行っても、流行ってるものを薦めてくるお店が苦手。他人から褒められるより、自分がかっこいいと思う服を着て、自分の気分が上がる音楽を聴いて、自分がおいしいと思えるものを食べたい。他人から「趣味がいいね」と褒められたら嬉しいけど、それよりも自分の好きが大事。

Spotifyのおすすめは、「女子ってこういうの好きで、流行ってんでしょ。」みたな感じで、そのアーティストの一番人気曲を薦めてくる。一方、YouTubeは、「こんなの好きだったりしない?」と好みにあった知らないアーティストの曲を薦めてくれたり、「こういうの聴いてたんじゃない?」と昔よく聴いてたのに忘れてた曲を薦めてくれる。マジで私のことわかってくれていて、好きになってしまいそう。
二次元に恋をするのは理解できなかったけど、自分もAIに口説かれて恋に落ちてしまう未来、想像できた。
テイジン「ヘルスケアザラシ」

このSpotifyYouTubeの差を考えている。アルゴリズムというより、圧倒的な蓄積されたデータの差ではないかと推測。
・ストリーミング解禁されている曲がまだ少ない
・まだ旧譜や人気曲がストリーミング解禁されていない
・どれが人気曲かのデータが少ない
・この曲を好きな人はあの曲も好きという関連データが少ない
YouTubeは15年分の蓄積データがある。違法アップロードも含めるとアーティストの網羅性が高い。以前のリコメンドはいまいちだったが、最近は公式のフル ミュージックビデオも充実して、精度も高い。自分がヘビーユーザーで、自分の嗜好データを、十分に提供しているのもあるだろうけど。マジョリティではない自分と似た嗜好の人々が何度も通り、踏み固められた山道を歩く感覚。

日本人は「ディスカバリーへの興味が低い」かもしれないが、ディスカバリーで好きな曲が発見できないから使ってない可能性もあるのでは。

高橋:日本人の音楽視聴の傾向として、「好きなアーティストの曲を繰り返し聴く」というものがあります。

日本人は「曲じゃなく“人”につく」。自分が好きなアーティストの曲しか聴かない傾向にあり、ディスカバリーへの興味が低い。

 【西田宗千佳のRandomTracking】日本の音楽サブスク現状、ブレイクへの秘策はあるのか。LINE MUSIC高橋COOに聞く - AV Watch

「好きなアーティストの曲を繰り返し聴く」、長年聴き続けるのは、小銭の積み上げ型ビジネスのストリーミングにとって歓迎すべきこと。前向きに捉えてもいいんじゃない。

YouTubeで、昔好きだった曲をざっと巡ってみたら、ほっこりした。15年以上前の曲に「2019年まだ聴いてる人いる?」とコメントがついていて何十人もlikeしてたり、その曲との出会いや素敵な思い出が書き込まれていたりした。15年以上も前の懐かしい音楽をわざわざ聴きに来て、同窓会みたいな場所で喧嘩売る人は少ないわね。荒れるコメント欄ばっかりでもないですわ。

ストリーミングやディスカバリー機能を使ってもらうには、ラインナップの充実が先じゃないだろうか。日本の、特に過去の曲は、まだまだ少ない。Spotifyに限らずYouTubeでも、日本の曲なのに日本だけ聴けないのは、感じ悪い。自分たちの古くからのファンの、子供世代にも気軽に聴いてほしくないの?(CDはコピーコントロールの時代もあって、取り込むのが面倒。)日本人には「CD買え」、海外には「どうぞ気軽に聴いてみて下さい」なの?とか思っちゃう。

過去に自分の聴いてきた音楽を順番にプレイリストにつっこんでいくのは、音楽視聴の自分史を作ること。自分史を書くより、もっと簡単で楽しい。聴いた瞬間、ふいにその当時の記憶や気持ちも甦ることもある。音楽がどれだけ自分の人生に寄り添っていてくれたかを認識できる。ストリーミングサービスも、そういう使い方の提案をしてみたらいいんじゃないかしら。過去曲探してる過程で、知らなかった音楽をディスカバー(発見)することもあるよ。

Copyright © 電子計算機舞踏音楽 All Rights Reserved.