クラブカルチャー音楽メディア 公平性と独立性

Resident Advisorへのオープンレターの件で考えたこと、最近考えていることをつらつらと。

 歴史や記録に刻まれない懸念は、よくわかる。私がこんなに感動したクラブイベントもDJプレイも、メディアには取り上げられず、記録が残らないということは、歴史上なかったことになるんだなと。それを何とかしたくて、足を運んだクラブイベントのことをブログに記録していた。

RA: RAのエディターからのアップデート

Resident Advisorって、インディペンデント メディアだよね。公共性が高いとしても、どこまで求めていいんだろう。例えば、「アニクラも取り上げてくれや。」と言えるかどうか。私からすると、以下の日本のメディアなんてもっと狭くて偏ってるし、ピックされるのも執筆するのも知り合いばっかりやなと思ってる。名前が出てくる人は、だいたい同じで。
Resident Advisor Japan / Mixmag Japan / clubberia / Qetic / iFLYER / PARTY CHANNEL / ele-king / BARKS / Mastered / Pointed / Spincoaster / AVYSS magazine / block.fm / DOMMUNE / TOKYO M.A.A.D SPIN / Tokyo Community Radio 
DOMMUNEはいつ覗いても、おじさんが昔話で盛り上がってるからな。

自分でメディアやれ

「文句あるんやったら、自分でメディアやれ。」はある意味正しいと思う。歴史に刻まれない懸念があるなら、自分で書いて残すしかない。実際ブログを3年半やってみて、そう思う。アフィリエイト無しで、完全インディペンデントでやってるのは、自分の好きなこと書くため。何をどう書こうと、私の自由。そのために作った場所だから。「電算機さんのブログは多様性がないですね。ハッピーハードコアのことも書いてくださいよ。」と言われても困る。自分が興味があって、評価できるものについてしか書けない。セレクトショップのように、何を選ぶかのキュレーションも含めて、ブログの存在価値だから。私のブログ以上に、DJやトラックメーカーの界隈に囚われず、幅広く横串で網羅できているメディアはないと思う。そこは自信がある。独立性と多様性は両立できる。

逆張り

私のブログを読んで、意見を下さる方がいらっしゃるんだけど、その方が私のブログは逆張りばっかりだと。確かにその通り。だってYahooニュースや大手メディアに書いてあることを、こんな弱小ブログで同じこと書いても意味ないもん。マジョリティと意見が違うときに、他に書く人がいないから、自分が書いている。女性アーティストやポップミュージックは、男性批評家やライターからの評価が低くて、なかなか取り上げてもらえないから、私が書く。どうしても私のブログには、女性アーティストのエントリが増えてしまう。結果、マジョリティとは逆の「逆張りばっかり」になるよね。

メディアに取り上げられないと何が問題か

Resident Advisorへのオープンレターにもある、マイナーアーティストは、メディアに掲載されずチャンスを失い、メジャーとマイナーの格差が開くばかりというのはもちろんそう。私なんかは、メディアが取り上げるのは、どうせ大手所属でプロモーション費があるか、仲が良い人だと思ってるから、信用も参考にもしていない。でも、ファッション誌に載っているスタイルが、イケてると思う人がいるように、音楽もメディアに紹介されているものが流行っていてかっこいいと思ってしまう人は、意外と多いみたい。メディアも大事だけど、その前に、自分が好きな音楽を自分で選び取れるようになるための教育が必要だと思う。

音楽を選び取る教育

ポッドキャストPOP LIFEの反応を時々チェックしていると、snoozerの信者だった人が多いようで、音楽を楽しむ指南をしてくれる本当に影響力のある雑誌だったんだろうなと推測する。きっと、音楽の聴き方や楽しみ方の教育の場だったんだろうなと。気になるのは、snoozerで音楽の聴き方楽しみ方を学んだ人が、その後、自力で探せるようになったかどうかということ。全てではないが、どうも、受け身で与えられるのを待つままの人も少なくように見える。それほど熱心に音楽を理解し吸収してきた方たちが、自分で探求し解釈する方向にはいかないのは、自分にとっては不思議。私なんかは、人に薦められたものは大抵気に入らず自分で探すしかないので、他人のリコメンドを素直に愉しめる人は、決して嫌味ではなく、ちょっと羨ましかったりもする。

K-POP以外の洋楽離れ

先日、国内の上半期売り上げチャートや、Spotifyの再生回数チャートなどをじっくり見ていて、こりゃダメだと諦めがついた。K-POP以外の洋楽がほとんど見当たらない。いくら頑張って洋楽の情報は日本語に訳して布教しようとしても、これはもう無理だと悟った。ましてや、私の好きなコンセプチュアルだったり、メッセージ性が強い作品なんて。フェスの洋楽アーティストのフロアががら空きだったり、日本のレコード会社が来日予定がないアーティストのプロモを一切やらない状況に、やっと実感が持てた。逆に、クラブは、DJは歌のないインスト流すだけなのに、よく維持できてるなと。

やっぱりブログ

現時点の結論としては、自由度のあるブログは一番な気がする。SNSより息が長い(読んで下さる皆さんのお陰。)。書いた当時読まれなくても、アーティストの人気が上がって、後になって読まれたりするパターンも多い。何より、自分が本当に自信をもってお薦めできるアーティストだけを選び抜いて、好きなスタイルで紹介できる。紹介すべき、記録に残すべきと思うことを、自分個人の判断で掲載できる。小回りが利いて、制約がない。日本の人にはあまりその価値理解してもらえないんだけど、アフィリエイトも無しで、アクセス数も全く気にしない、完全なインディペンデントでいる意味は、海外の人からは評価してもらってる。
Powderさんのエントリの検索数が上がっているので、何かなと思ったら、imaiさんが紹介されてた。タイトルもお薦めポイントも記載がない。超シンプル。バズらせようとか、宣伝しようと意図していない。4000いいねなんて大したことないと思うでしょう。でも、そこから私のブログにアクセスまでして、この曲のことを知ろうとした人が数十人いらっしゃる。確度が高いというのかな。数だけでなく、質が重要だと示す好事例。あと、ブログにメリットは、流行の実態を手元の数字で把握できること。某アーティストは人気が途絶えないなとか、すっかり検索されなくなったなとか、数字にくっきり表れて面白い。

ラジオで紹介された音楽をブログ記事で毎日シェアされているradiomusicさんのブログは、強い。750人ほどブログのフォロワーさんがいらして、スターの数から推測するに、毎日更新する新しい記事が数百人に読まれている。邦楽やアイドルでなくても、新しい音楽を探している人は、これだけいらっしゃる。紹介の仕方も丁寧で誠実で、毎日続けていらしてすごい。

アクセス数や評価は今まで以上に気にせず、本当に良いと思えるものだけを書くのが正解だと確信を得つつあるので、このまま突き進みたいと思います。

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