テクノはつかみで差別化 Fur:ther Sessions DJ E L A、Vero Annkath

テクノのDJセットは、ヴォーカル曲に比べると、地味で時間が長く他との差別化が難しい。出だし1曲目のつかみは、セット全体の印象を左右する。

Fur:ther Sessions DJ E L A

以前ブログで紹介したSave Your Atollがrepostしてくれていたミックス。海外のレーベルやコレクティブは、他人のミックスをしっかりdigり聴きこんでいて、選び抜いたものをちょうどよいペースとボリュームでシェアしてくれる。(気が向いたときに、大量にシェアされると聴ききれない。)世界中のDJの数は膨大でレベルも様々、個人で一から探すのは難しいから、こればかりは、海外のレーベルやコレクティブのキュレーションに頼りにしている。好みのキュレーターさえ見つけることができれば、お気に入りに出合える可能性は高い。

ビリアードの玉突きのような音が聞こえたり、静かだが様々な音が聞こえてきて、何が起こるのか気になって耳をそばだてる。全体的に近いトーンでまとめられているが、長めのストロークで、意識しないとわからないくらい、じっくりと緩急がつけてある。前半は抑え目で、24分あたりから遮断機のような音で上げていく。33分以降しばらく、日本の車内や地下鉄構内アナウンスが薄っすら聞こえる。茅場町人形町浅草線乗り換え、「広く開いているところがありますので、足元にご注意下さい」。サンプリングされて、こんなかっこよくなっちまって。40分あたりからじわじわ上げて、「来るぞ、来るぞ」と煽る感じで、45分からのDonato Dozzy『Parola』へ繋ぐ。持っていき方が上手い。
「E L A (Argentina / Italy)」とあるので、イタリアにいるアルゼンチン人の方のようだ。Valentino Moraさんもフォローしている。(Valentino Moraさんは、130人しかフォローしていないのに、その中の1人。)
かましくも、コンタクトしてみたところ、快く質問に答えて下さった。

Q1. このDJミックスにコンセプトはありますか?何かをイメージしてミックスしましたか?
A1. 選曲がベースです。それらのバイブスに身を委ねます。

Q2. 私は日本人なので、地下鉄のサンプリングが面白かったです。日本語だとわかっていましたか?
A2. はい、気が付いていました。

Q3. 私はDonato Dozzyの『Parola』も好きです。とても有名な曲なので、かけるのが難しいと思いますが、どうですか?
A3. 私は自分のポッドキャストに入れ込むタイミングを逃さなかったと思います。:)

Q4. あなたの紹介文によると、イタリアにいるアルゼンチン人でいらっしゃいます。私はラテンアメリカのアーティストの音楽をよく聴きます。よろしければ、アルゼンチンについて伺ってもよろしいですか?
A2. アルゼンチンには、Forest On Stasys、Kyntral、Seph、Alderaan、Vanoniなど素晴らしいアーティストがいて、アーティストとして尊敬しています。私は自分の国を代表できて幸せです。

Q5. 日本のDJやクラバーに、メッセージはありますか?
A5. 日本のDJやクラバーは、素晴らしい人々だと思います。私のようにエネルギッシュで、偉大な音楽カルチャーがあります。私が好きなアーティストは、Wata IgarashiさんとNorihiro Yukimasaさんです。

Fur:ther Sessions DJ Vero Annkath

ろうそくの配置、ろうそくの火とランプで照らし出す部屋、とても雰囲気がある。1曲目、これはズルい。怒りと恐怖の声に意識が向く。インパクトがあるから、頻繁には使えなさそうだが、正にこの雰囲気で使うべき、ぴったりの曲。
Grandbrothers - Prologue (Djrum Remix)
Andrea - Timed
DJ Rum - Mountains Pt.1
Andrea - Queue A
最初の30分しか聴けないが、最初に引き付けた注意を離さず、グイグイと引き込んでいく。繋ぎはそんな丁寧じゃないんだけどね。

ヴォーカル曲が豊作で聴くのに忙しいが、ミックスもそこそこ聴き続けている。ミックスは長くて歌詞がなくてインタビューもないから、紹介するのに手間がかかる。その割にあんまり読まれない。面倒で、たったこれだけの文章を書くにも、時間をとって再度しっかり聴きこまないといけない。でも、なんとなく聴くより、より深く吸収できて、良さがわかる。楽しみ方を広げたいから、細々とでも続けていきたい。

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