サブスクのプレイリスト 大体同じじゃないですか?(独立性とキュレーション力)

サブスク解禁曲も増え、日本でも急速に活用され始めているサブスクのプレイリスト。どのプレイリストも入ってる曲大体同じじゃないですか?似通った感じ多くないですか?私の見ている範囲では質の高いプレイリストがシェアされることはなくて、「自分の曲入れて下さってます。嬉しい。」とか、自分の推しの曲が有名な人のプレイリストに入ってるとかが、SNSでシェアされる。そうやってシェアされたプレイリストは、他にどんな曲が入っているか曲名くらいは見ても、一通り聴いてみることはない。もちろん活用してる人もたくさんいて、自分が聴いている曲を友達に簡単にシェアできるので、口コミの効果は大きいと思う。プレイリストデータを元にしたトレンド分析結果にも影響する。
プレイリストに入っている曲が似たり寄ったりなのは、流行に影響され自分で探していないからだと思う。あとは既に人気のある人の新譜だとか、狭い界隈だと親しい人の曲であるとか、音楽性に関係のない理由で選んでいるから。
PVや部数を稼げる人気アーテイストの特集、既に人気が出始めている新進気鋭アーティストのピックアップ、スポンサーであるレコード会社からのプッシュされているアーティストの持ち上げ、音楽メディアに対するフラストレーションに似たものをプレイリストにも感じている。

最近の興味は、独立性とキュレーション力。

イギリスのラジオ局

Gilles Peterson (WorldWide FM)

実は、DJとして音楽を人々に伝える活動をする上で、私にとっては今がベストな時期だと思っているよ。今の私は、いろいろなプラットフォームを使って、さまざまな手段で音楽を伝えることができている。こうした状況は、音楽をキュレーションするということにおいて、人々の理解がより深まることにつながっていると思う。

ディレクションの上で重要視したのは、古い音楽と新しい音楽のバランス。レガシーや歴史といったものもちろん大事なんだけれど、やはり新しくてエキサイティングでエネルギーにあふれた音楽を紹介したい。

私が大事にしていることがひとつあるとすれば、私のラジオ局でなければ絶対に聴けないものを紹介する

引用元:TimeOut インタビュー ジャイルス・ピーターソン 

Boiler Room

Boiler Roomの創立者である34歳のBlaise Bellvilleは、自分の会社を「独立した音楽プラットフォーム兼文化キュレーター」であると説明する。

「私たちは徹底して自分たちの耳を持っていることに誇りを持っています

「私たちはずっとアンチEDMで、EDMは私たちが支持するものではありません。とても商業的にデザインされたダンスミュージックであり、今では崖から落ちています。その一方で、私たちが10年間支持してきた音楽は、常にその道に留まり続けています。」

Coachella

Coachella創設者であるPaul Tollett氏は、競争力のある国際的なアーティストを求め世界中を旅し、南極大陸以外の全ての大陸のアーティストをブッキングした。ヒットチャートにはいないアーティストも多数含まれる。Coachellaのラインナップは、Paul Tollett氏キュレーションのアウトプットだ。

SORASHIGE BOOK

独立メディアでも何でもないけど、NEWS加藤シゲアキさんの「SORASHIGE BOOK」。加藤さんが自分で聴いて探して選んでいる気がした。パソコン音楽クラブなんてレーベルにも属していないし、気心知れた友達に話すように説明されていて、嘘がないように感じた。ジャニーズのような影響力のある方が、自由に選んだりできるんだと思った。

MUSIC FUN!

メンバー男性ばかりじゃんと批判はしたものの、実はかなり期待していた。関ジャムの蔦谷好位置さんのお話好きだし、テレビよりもっと踏み込んだリアルな話が聞けるんじゃないかと。初回、おじさんプロデューサー方の思い出の曲に興味はないし、同世代の業界の男性が集まって話すあの雰囲気は無理だった。この半年、海外の10代20代の女性音楽プロデューサーの話を読み漁ったこともあり、ギョーカイの人の話はつまらなくてキツい。

 独立性とキュレーション力を、日本の音楽メディア・ライター・批評家にそれを求めることが、そもそもの間違いだった。男性ばかりの音楽業界(決定権を持つポジションにいる女性もいるが、そこにつけるのは男性に評価される女性であることも多い)、もう期待するのはやめよう。時間がもったいない。信頼できるのはこの2つ。
・統計によるリコメンド
・DJの選曲(友達の曲はかけない、ちゃんとdigってる人)
track maker(音楽プロデューサー、作曲家)は音楽作る時間が必要だから、digれる時間は限られている。一方、DJ、あの方達はジャンキー、レコード中毒。ずーーーっと音楽探してられる人たち、音楽バカ。ほとんどのDJがDJで稼げないのに、音楽を買い集め続けないと生きていけない。あとレコード好き過ぎて、レコード屋さんになってしまった人も(大手レコードショップの人とは別)。好きなものだから嘘がつけないし、損得はあまり考えられない。好きだから知識も凄いし、どういう順番でかけたら一番良さが伝わるかまでわかってる。私がプレイリストダメなのも、きっとこれが原因の1つ。DJにより最適化された順番で音楽を聴かせてもらえることに慣れているので、リコメンドを脈絡なく並べたプレイリストを聴くのが苦痛。DJミックスを馬鹿みたいに聴いていたせいで、脳が勝手に並びの文脈を解釈しようとしてしまってる気がする。音楽メディアや新譜を売る大手レコードショップは、ほぼ新譜しか取り上げないが、DJは今聴いても新鮮に聴こえる40年前の音楽と新譜を混ぜて、違和感なく、むしろそれぞれを引き立たせて聴かせてることもできる。クラブに行ったことがない人は知らないかもしれないが、DJが紹介する曲に魅了されたフロアの人々は、必死でShazamしまくってる(スマホに音楽を聴かせて曲名を検索する)。レコードならDJブースに走って行って、レコードジャケットを見せてもらう。そうさせるのがDJの力。

選曲と順番の組み方に優れたDJは、優れたキュレータである。非言語で音楽の魅力を伝える能力がある。DJもさすがにバンドの曲はあまりかけないし、日本はバンドファンが多いからDJの選曲が響かないのかもしれない。でもこういう例もある。Samm Henshaw 『Church』はリリース後すぐヒップホップDJがかけていて、それをSNS繋がりの人がインスタ ストーリーズにあげてくれて、それをスピーカーで鳴らし検索をかけて曲名を知ることができた。古い時代は(おそらくEDMも)別だが、今はレーベルがDJにプロモーションのためにかけさせることはないし、プレイリストに比べ選曲の独立性は非常に高い。DJもオーディエンスも、DJの独立性とキュレーション力について注目し、その価値をもっと幅広く生かすことについて考えるべき時だ。

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