音楽業界のジェンダーバランス 2019-2020

最近、音楽業界のジェンダーバランスや多様性について書いたが、単に「男女半々にしろ。」という意味だと解釈する人がいて困惑する。私はとても現実的で合理主義者なので、自由競争を支持している。倫理や福祉観点で男女比率を半々にしろなんて、全く思っていない。ジェンダーのみならず偏りがあり、それが認識されていない状況は、ビジネスつまりお金儲けの観点で、損してると思っている。休耕地や未開拓の土地があるのもったいなくないですか?見たこともないきれいな花が咲いているのに、図鑑に載せないんですか?みたいなこと。
選ぶ側を評論家を男女半々にしたら、選ばれる側のアーティストも男女半々になって平等になるという話ではなく、選ばれるアーティストが違ってくるだろうという仮説。The Guardianのデータを集計した結果は、驚くほど仮説通りだった。

女性が評価する女性アーティストと、男性が評価する女性アーティストに差異が出た。ビジュアルではなく、男性に人気のある女性アーティストはいるし、女性に人気の男性アーティストもいる。評価者が男性に偏っていることで、<過小評価されている男性アーティスト>がいると感じている。いくら年間ベストで選ばれるアーティストを男女半々にしても、左円の男女バランスが変わるだけで、評価者側が変わらなければ、右円のアーティストは選ばれることはない。

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50歳の評論家が、10代に人気のあるポップミュージックを理解するのは簡単ではない。逆も然り。日本人が南米で流行っている音楽を評価するのは難しい。雅楽を聴く人が少ないからと言って、雅楽を批評できる人がいなくなれば、価値を評価できなくなってしまう。

東京都受動喫煙防止条例による4月1日からの屋内原則禁煙化。ボケカス条例とか嫌煙ファシストと大騒ぎしているのは、「クラブはそういうところ」「嫌なら来るな。」と非喫煙者を排除してきた店ばかり。非喫煙者を目の敵にしてるお店は、怖くて行く気がしない。喫煙者と非喫煙者の両方(多様性)に配慮し、両方の客をいち早く取り込んできたCIRCUS Tokyoや頭バーはこういう時に強い。

昨年、海外の女性アーティスト、特にSSWやプロデューサーでもある女性の記事をたくさん読んだが、音楽業界は中年白人男性社会で、その弊害についての話がよく出てきた。せっかくなので、ジェンダーバランスや多様性関連のニュースをまとめておく。

2020年2月13日

Glastonburyのオーガナイザー Emily Eavisは、このフェスはできるだけ早く性別のバランスの取れたラインナップを達成する必要があると言います。
Emily Eavis: Glastonbury festival 'has to achieve 50/50 gender-balance' - BBC News

2020年2月12日

The 1975のMatty Healyは男性優位のフェスでは演奏しないだろうと言います。
The 1975's Matty Healy says they won't play male-dominated festivals - BBC News

ローラ・スネイプスはマット・ヒーリーに「女性やノンバイナリーなアーティストが出演者のX%(50%が理想的!)以上を占めるフェスティバルにしか出演しない、っていう条件を追加して」とリクエストしており、マット・ヒーリーは次のように応じている。「この条項にサインするものとして自分は受け止めるよ。これに該当しないフェスティバルへの出演に既に同意してしまっているし、既にチケットを購入してくれているファンを悲しませることはできないけどさ」
「だけど、これからはそうするよ。それが男性アーティストが本当の意味でアライ(同性愛支持者)になることだと思うからね」

ザ・1975のマット・ヒーリー、ジェンダーの均衡が取れてないフェスに出演しないことを示唆 | NME Japan

Laura SnapesはThe Guardianの編集者。女性編集者が働きかけて、人気アーティストを動かすなんてすごいな。もちろん女性の提案を素直に受け入れられるMatty Healyは器がでかいし、その覚悟も相当なものだけど。

Healyは、女性・ノンバイナリー・トランスジェンダーのミュージシャンから確実に等しく選ばれるようにするため、他の男性ミュージシャンも、同様の対応を取ることを望んでいると述べた。彼は言いました。「行動がすべてです。大きな社会政治的問題に関しては、政府が関与している場合、行動や抗議は無視されることがあります。しかし、音楽業界に関して言えば、私たちはそれを変えることができます。これは地政学的な悪夢ではありません:音楽産業であり、もし皆が参加すれば、私たちはそれを解決できます。」

The 1975 commit to playing only gender-balanced music festivals | Music | The Guardian

要するに、もっと女性がいるReading and Leedsは、バイブスのある真の世界一のフェスになるだろう。批判せず、(人の話に)耳を傾け始めた人々を好意的に解釈しよう。

benefit of the doubt :疑わしきは罰せず。疑わしい点を被告に有利[善意・好意的]に解釈すること。

他のアーティストも追随したら、日本のフェスに出てもらえるアーティストが減るけど、日本の音楽関係者はどの程度危機感を持ってこのニュースを受け止めているのだろう。女性アイドルを増やして、女性比率上げるとか?何年もかかる話だから、今から女性やノンバイナリーアーティストを発掘し、育てる必要があると思う。

2020年2月5日

Women in music:ジェンダーバランスは本当に達成できないものですか?

男性幹部は、女性の才能を無視している
評論家は、フェスティバル キュレーターが、獲得できる明らかに豊富な女性の才能を無視するように煽っている。
現状を維持し続け、女性に平等な分相応のプラットフォームを与えていないのは、権力の座にある男性優位の地位による、旧態依然とした"ボーイズ クラブ"メンタリティの蔓延だ。

Women in music: Is the gender balance truly unattainable? – Flux Magazine

2020年1月23日

まだ、ボーイズ クラブ:音楽業界が変わったという誇大広告にだまされてはいけない
今年のグラミー賞ノミネートは女性が多数を占めていますが、業界の男女平等はまだまだ先の話です。
Still a boys' club: don't fall for the hype that the music industry has changed | Music | The Guardian

2020年1月22日

グラミー賞のノミネートと賞の決定に参加する12,000人の投票メンバーの構成は、圧倒的に白人と男性である

Every Allegation in Former Grammy Chief Deborah Dugan’s Recording Academy Complaint | Pitchfork

2020年1月10日

若い女の子の歌が、どれほど40歳の男性によって作られているか気が付いたなら、それは信じられないことです。

2019年12月6日

サカナクション、Chara、フジファブリック、女王蜂、米津玄師らを手がける土岐彩香の仕事術(前編) | エンジニアが明かすあのサウンドの正体 第9回 - 音楽ナタリー

2019年11月30日

PRS Foundationだが、あるときの調査で、女性アーティストへのサポート比率が13%と極端に低いことが判明した。そこでジェンダーの格差をなくし、女性がプロアクティブに活躍できる場を提供すべく、新たなファンド「Woman Make Music」が2011年に設立される。

さらにKeychangeでは、2022年までに音楽業界のジェンダーバランスを50:50にすることを目標に掲げ、その“誓約”に世界中の音楽団体が300近くも署名している。

イギリスでは10年前くらい前から、小さい子供とかを対象にかなり早い段階で女性が楽器に触る機会を増やすとか、女性の演奏家自体を増やすための施策を地道に推し進めていた。

「日本は遅れすぎ」あらゆる格差と闘い、誰もが得をするロンドンの音楽家サポート方法論|New School of Music | 新しい音楽の学校
でも結局、NSOM_HRの日本側登壇者もほぼ男性で、カンファレンスの後も他人事のよう。話聞くだけで「日本では無理ですね。」で終わりなの?

2019年11月28日

2019年7月31日

Billie Eilishが彼女の最初のレコーディング契約にサインしたとき、レーベルは本物のスタジオに移し、ベテランのソングライターやプロデューサーとコラボさせようとした。「私はとても嫌だった。"大ヒットソング"を書いていたのは、いつも50歳の男性だった。恐ろしい。 『へぇ、あなたはこれを百年前に作ったんですね。』 私は14歳の少女だったので、誰も私に耳を傾けなかった。 そして、私たちは誰も関与させずOcean Eyesを作った。」

Billie Eilish and the Triumph of the Weird: Rolling Stone Cover Story - Rolling Stone

2019年7月9日

以前音楽はレコード業界のゲートキーパーによってキュレーションされていた。彼らは大抵中流階級の中年の白人男性だった。今は一般大衆によってキュレーションされている。

YouTube users can't stop streaming Latin Pop - BBC News

2019年6月28日

2019年6月24日

2人の女性サウンドエンジニアが、男性優位の業界でキャリアを選んだ理由と、差別への対処方法について説明します
‘You lift with your mind, not with your muscles’: female sound engineers on working in audio | Guardian Careers | The Guardian

Women in engineering

2019年5月3日

なぜ性別がまだフェスのトップ記事なのか?
フェスのフライヤーに男女の平等を表現することはどれほど難しいでしょうか?Primavera が証明しているように、まったく難しくない
Girls to the front: why gender is still a headline issue at festivals | Music | The Guardian

2019年2月19日

コラボレーション時代に明らかになったポップミュージックの男女格差

ゲートキーパーを変更する必要があります」
ストリーミングプラットフォーム、ラジオ、フェスティバルで何を宣伝するかを決める人たちです。 

Pop music's growing gender gap revealed in the collaboration age - BBC News

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