Crystal Waters『Gypsy Woman』ブチ切れて「She's Homeless」のラベルをつけさせた

okadadaさんが、今朝、Gypsy Woman日本語カバーとサンプリング曲の両方かけはったそうで、塩蔵していたネタをこの機会に。

CAT BOYS feat. asuka ando - GypsyWoman (2018)

Riky Rick - Stay Shining ft. Cassper Nyovest, Professor, Major League, Alie-Keyz (2017)

オリジナルCrystal Waters『Gypsy Woman (She's Homeless)』は、1991年リリース。Crystal Watersが実際に見かけた、あるホームレスの女性のことを歌ったもの。大ヒットしたが、人々はホームレスについて歌った歌詞を聞かなかったので、Crystal Watersはブチ切れて、ジャケに『She's Homeless』のラベルをつけさせた。

以下、2016年に、Crystal Watersが過去を振り返るVICEのインタビュー記事の和訳。カバーやサンプリングを含め『Gypsy Woman』を耳にしたことがある人に、この話を知ってもらえたら嬉しい。Crystal Watersもそれを望んでいるはず。

幼い頃からクラブのことを知っていました。家族は、とても音楽的でした。私の偉大な叔母Ethel Watersは、1940年代とても有名な俳優兼歌手で、父は生涯ジャズミュージシャンでした。私の叔父は、覚えていますか?、MSFBのリードサックス奏者でした。私はそういった人達の中で育ち、家でリハーサルがあり、夏には父親と一緒にツアーに行ったものです。ですから、ミュージシャンのライフスタイルは、正に私の人生の一部でした。

20年早送りし、私はワシントンDC政府の逮捕状を発行するコンピューター部門で働いていました。 「ダメ、これは私のためにならない。」と自分自身に言っていました。幸いなことに、いとこがレコーディングスタジオを所有している同僚がいて、彼らがバックシンガーを必要としていることがわかり、私は認められ仕事を得ました。一瞬でわかりました。これだと。ちゃんとやるなら、自分自身のことを書かないといけないだろうことがわかったのです。地元の新聞に広告を載せ、キーボード奏者に会いました。あなた方がそうするように、私たちはいくつかの曲を、一緒に書き始めました。私はワシントンDCの会議に行き、the Basement Boysと会いました。当時、私は次のSadeになりたく、ポニーテールで満を持して、ジャジーな素材も作っていました。しかし、the Basement Boysはハウスを作っていました。彼らは私にたくさん送ってくれ、私がやってきたスタイルで曲を書き続けてほしいと思ってくれていました。私が彼らのために書いた最初の2曲は、『Makin 'Happy』と『Gypsy Woman』でした。

さて、当時ハウスは、ニューヨークとニュージャージーでは有名でしたが、ボルチモアとここワシントンDCではややアンダーグラウンドでした。しかし、実際それほど離れていません。1つの東海岸ファミリーのようなものです。クラブにおいては、音楽の方針がハウスのレコードに移行していく時期だったのを覚えています。そしてあなたは、深夜のラジオを聴いて、「この同じビートがドンドンと打ち続けるのは何?」と思ったでしょう。それは間違いなくここにありましたが、暗いクラブだけでしか本当には聴こえないものでした。ちなみに、当時こっそりクラブに潜入していたんです!私たちが最初に成功したとき、ブーイングされ、本物の音楽を作っていないと言われました。そこを脱するための戦いでした。

私とthe Basement Boysがこの曲を思いついたとき、それをハウスの音源だと考えていませんでした。単なるダンスミュージックと呼んでいて、808(の音)がある何かと呼ぶものでした。ボーカルが書かれる前に、曲はある程度ありました。別の方法で作るのが好きな人もいますが、私は常に曲がある程度あってから(歌を)書くのが好きです。

歌そのものに関して言えば、歌詞は現実からストレートに出てきたものです。ワシントンDCのコネチカットアベニューにある、Mayflowerホテルの前に立っていたある女性についてです。私の妹はそのホテルで働いており、週1回ほどその女性のそばを通り過ぎていましたが、彼女は大丈夫そうでした。彼女はホームレスのようには見えませんでした。彼女はいつもしっかりお化粧をして黒い服を着て、ゴスペルを歌っていました。 「うーん、お金をせがむのではなく、求職して仕事に就きませんか?」とよく思っていました。

その後、彼女の記事が新聞にありました!それによると、彼女は小売業で仕事を失ったばかりで、お金をせがもうとするなら、最低限見苦しくないようにすべきだと思ったと、彼女は語ったとのことでした。そして、そのことは、私はホームレスに対する考えを変えました。それは誰にでも起こり得ます。先に、フックに落とす必要がありました。それを読み、歌詞が浮かびました。彼女がそれを歌っているように。

The Story of Crystal Waters' "Gypsy Woman (She's Homeless)"

曲はダンスの特大ヒットでしたが、Crystal Watersは人々にホームレスについての歌詞を聞いて欲しかったです。 彼女は歌詞が聞かれないことに、本当に怒っていました。彼女が催促し、レコード会社はジャケットに、追加で「She's Homeless(彼女はホームレス)」のラベルを貼りました。

Gypsy Woman (Crystal Waters song) - Wikipedia

以上が和訳。

コロナ禍に関わらず、自分には起こり得ないと思っていても、事故や事件、政治や災害で、どんな人も仕事を失う可能性はある。30年前にこの曲に込められたメッセージは、今の時代にも響く。

Copyright © 電子計算機舞踏音楽 All Rights Reserved.