DJ クラブ論(ゲスト リスト、外タレ、転換DJ、地蔵、リクエストとか)

DJがSNS上で意見を交わして下さるので、傍観させてもらうことができる。よい時代!よく目にした議論と一般客の私が思うこと。

ゲスト(ディスカウント ) リスト

DJの知り合いはゲストリストに入れてもらうことができて、ディスカウント料金でクラブに入れる。どこまでがゲストか、DJが集客・取りまとめることの賛否。
私はDJでないけれどリストに入れてもらったことがあり、恩恵を受けているので感謝している。友達やDJだったら毎回ディスカウントされる意味がわからないし、それだったら何回も通ってるお客さんや遠方から来る人を割引してあげたら。家電量販店での値段交渉みたいにできる人だけ割り引かれて、値段交渉できると知らない人やできない人が損するとか、メーカー希望小売価格があっても実際はほぼ半額で売られてるみたいな二重価格はやめて、一律にしてくれたら客側も楽。ただよく知らないけれど、DJがリストをとることでどのDJがお客を呼んでくるか人気を測ってたりするんじゃないだろうか。あとは直接コミュニケーションをとることで、どういう顧客層かのマーケティングや営業的な意味もあったのかと。私はあえて出演を続けてほしい人に頼んだりしてたけど、もしかして手間かけちゃっただけだったかな。確実に行くつもりだけど風邪引くかもしれないし、前売りで買ったチケット譲ったりするの面倒だし、Googleフォームとかで予約できて前売り料金で入れてもらえるのは助かる。
会社でも年1回のファミリーセールはよくあるし、たまにくる親族を安くまたはタダで入れてあげるのはわかる。ディスカウント無しでも満足できる内容であればいいけれど、自分以外はDJの友達ばかりでグダグダのDJだとがっかり。「内輪のゆるいパーティだけど、一般の人でどうしても参加したい人は高いエントリー払えば入れてあげますよ。」と言ってくれるか、もしくはわかるようにしてくれるとありがたい。
何人か年配のDJでリスト制度をただ批判するだけの意見を目にした。「SNSで一般客もリストに入れるようになったのが間違い。」とか。でもそうしないと集客して収支が成り立たないから仕方なくやってきたのでは。箱とかオーガナイザーの事情、客入りや収支、宣伝の在り方も踏まえた、建設的な批判や代替案の提案ができるベテランDJはいらっしゃらないのかしら。

外タレ

集客が外タレ頼み
2年目でやっとわかってきたんだけど、確かに毎年同じ外タレが同じ時期に来ている。DOMMUNEのおかげで、週末プレイする外タレと同じパーティで回す若手日本人のDJをたくさん観ることができた。圧倒的に若手日本人のDJの方が良いことが多かった。外タレの紹介文読んでも、成功したのは遠い昔だったり、若手の場合は局所的な場所での成功だったり。自分は日本人DJが目当てで行ってるのに、外タレの移動費や宿泊費にもってかれて、目当ての日本人DJにほとんど渡らないと思うと腹が立つ。外タレと同じイベントに出る日本人DJも、集客しないといけないからだろうけれど、すごい人が来日と煽って宣伝するのは良くないと思う。VISONのtrackmakerとか日本人だけでもあれだけ集客できているイベントはあるし、外タレがいないと客が来ないは言い訳でしょう。

転換DJ

バンドの人はDJがBGMだと思ってる、バンドの間に挟まると転換DJだと思われる、そもそも転換DJは断るべきか否か。
tofubeatsさんがバンドに挟まれたタイムテーブルで、バンドの人がでかい音で音出したのでめっちゃ腹立ったな。世間一般の人に、DJがどれだけ高度なことをしているかを理解してもらうことが必要だと思う。その一方、短い転換DJでも魅力を伝えるチャンスはある。たった15分の転換DJなのに、気なってもっと長く聴いてみたいと思ったことがあるから。DJの価値を一般の人にどう理解してもらうかは、書きたいことがたくさんあるので、また別のエントリーで詳しく。

DJを観るな

客がDJを観ることの賛否。DJの方を観ずに踊るべきとか。
イケメンDJやおっぱい大きいDJの前に人だかりができてもいいと思うけどなぁ。最初はそれ目当てで来ても、音楽やダンスにはまるかもしれないし。okadadaさんみたいな派手な動きは、見ていて楽しいし盛り上がる。英語だとDJプレイをshowとよく言ってるし、VJや照明は目を引いて楽しませるためにやってるんだから、ステージを見るよ。めちゃくちゃ好きな曲がかかったら、反射的に音の出てる方を向く。最前に走っていって踊る人もいるよね。私はDJ機材の操作やレコードを選んでるのを見るのが楽しい。繋ぎは特にワクワクする。1曲だと思ってたのが2枚繋いでたりするし、レコードだと一旦置いたのを別のに置き換えたりするのも見える。そんなに見ないで踊りに集中してほしいなら、規制に抵触しない程度に照明をぐっと下げるか、フロアの様子をモニターで見ながら隠れてDJしたらいいのでは。

地蔵

DJに限らず動かずじっとしている観客。次の演者を最前で見るために最前列を確保しているが、目当てでないためスマホを見たり踊らない。もしくはDJで踊らない客。
熱心なファンが最前で見れないのがかわいそう、アーティストに失礼という気持ちはわかるけれど、自由だと思う。DJをBGMだと思ってうるさくされたり、trackmakerがソフトシンセで演奏してるのを理解せず顔に向けてフラッシュ炊いて撮影されたときは腹が立ったが、そういう邪魔をされない限り他人がどう鑑賞しようと自由だと思っている。MARBLEというイベントで、okadadaさんのDJが心に沁みすぎて、泣きそうになって立ち尽くしたことがある。怖いときにギャーと悲鳴を上げられる人もいれば、声が出なくなる人もいる。地蔵に見える人も実は感極まって動けなくなってるだけかもしれない。
外国人のお客さんは人が少なくても踊ってくれるけど、日本人のお客さんは踊ってくれないから苦手というDJがいた。たまたま来ていた外国人の反応でしかなくとも、海外にも通用した気がして嬉しいのだろうし、それを糧に頑張るのは良いことだと思う。子供の頃から踊ること/感情を表現すること/人を褒めることに慣れている外国人と日本人は違う。目に見える反応だけが評価じゃない。
私は一人で明るいラウンジに居辛いのでずっとフロアにいるんだけど、さすがに6時間踊り続けられないし、フロアの隅で休むくらい許してくれよと思う。

リクエス

客はDJにリクエストをすべきでない/してもよい。
個人的にはDJが選ぶ曲をDJがベストだと思う順でかけてほしいので、リクエストは受けないでほしい。ただ、パーティやDJのスタイルによっては有りなんだろうなという認識。日本人がリクエストしてきたら「BGM係じゃねえ。」と怒って性別や年齢さらしてSNSで悪口言うのに、ノリのいい外人のリクエストはかけてあげて喜んだと自慢するDJっていたりしませんか。

BtoB

イベント終わりや朝方のBtoB賛否。
客としては、好きなDJ同士が仲良くDJしているのを見るのはシンプルに幸せ。応援している若手DJが憧れの往年のDJとBtoBできた瞬間、同じ場にいれることも嬉しい。自分とは好みの合わないDJや格下から、BtoBの手合わせをもちかけられるのは失礼だと思うベテランDJもいるみたい。テクノ・ハウスのイベントでいきなりJ-POPかけるような突拍子もないDJは私も嫌だ。相手が予想外の展開をしたときに、どう返すかがDJの腕の見せ所。BtoBに応じる義務があるのかDJの契約や責任範囲は知らないし、考え方も色々なんだろう。自分の2時間のDJだけではなく、お客さんがパーティ全体を楽しめてるかを考えるDJは、プロ意識を感じるしかっこいい。

動画、写真

パーティの写真や動画を撮ること、それをSNS等のネットにあげることの賛否。
私は動画を撮ってSNSに上げるのが当たり前のイベントから入った。トレンド入りすれば宣伝になるので、主催もハッシュタグをつけてどんどん上げてくれと言うし、SNSにあげた動画や写真に対しアーティストもファボったりリツイートするのが当たり前だった。実際、どんな宣伝文句よりも、楽しそうなパーティの様子を見れば行きたくなる。メディアは良いことしか書かないし、過去にどんな成功を収めた重鎮なのか知らないけれど、箱やメディアの紹介文が参考になったことなんてほとんどない。動画を撮ってSNSでシェアする目的の1つに、遠方や用事で来れなかったファンに対して、おすそ分けをして分かち合いたいというのもある。不思議なのは、500人くらいのフロアの人が一斉にスマホを掲げて撮り出すと、撮るのが面倒臭くなる。みんな撮ってるし、別に私が撮らなくてもいいかなみたいな。あと、震えるくらい感動したりくらったりすると、撮るのを忘れたり、撮ってる場合じゃない目に焼き付けなきゃと必死になる。神々しくて撮れないこともあったな。
宣伝費をかけられないイベントに訴求力のある動画シェア、口コミは必要。お客さんが動画やセルフィに夢中になっていたら、それはそこまで感動させるDJできてないってことじゃないかしら。

DJミックス公開

DJミックスを公開、ネットに上げることの賛否。
いくら優れた文章でDJを表現しても、読まない人もいれば感じ方も違う、各国の言語への翻訳は実質不可能。百読は一聴にしかず。DJミックスがネットに上がっていて、どこの国からも聴いてもらえる状態にあるのが一番。人にも薦め易い。DJミックスをたくさん公開している人は上手いし、なんやかんや理屈をこねて公開していない人は上手くないことが多い。ミックスには容姿も雰囲気も関係ないから公平。実力のあるDJはたくさん他人のミックスを聴いているから、実力あるDJにDJの中身を評価されたい/評価してもらえる自信のある人はネットにあげるメリットは大きいかと。数は少なくとも、知名度や地域関係なく才能あるDJを探して楽しんでる私みたいな人もいるし。

DJレベルチェック

DJブースにはレベルチェックをクリアした人だけが立つべきという意見。
私は幸いにも下手な人はほとんど見たことがないなぁ。1回だけDOMMUNEで、あっちゃこっちゃから音が出ちゃってアワワワとなってる人を見たけれど、普段涼しい顔で失敗せずにこれだけのことを制御してるんだからDJって凄いよなと思った。失敗しないし、繋ぎも丁寧な人だらけ。だから、SNSで下手な人をブースに立たせるなというような意見を見てもピンと来ない。そんな下手なDJを聴かされるお客さんを想うならオーガナイザーか箱に言えばいいし、本人に「もうちょっと頑張って練習しようね。」って直接言ったのかな。どんな下手だったか知らないけれど、SNS上で公開批判されるのはかわいそう。そもそもこんなにDJ上手い人であふれてるのに、下手な人をアサインしなければいけなかったのは何故。どんなベテランも最初は初心者なんだし、ブースに立って人前でDJしないとうまくならない。単に締め出して、新人が入ってきにくい状況も固定化してつまらない。DJもVJも新人が段階的に立てる場があって、ベテランDJもこき下ろすだけではなくどうやったらレベルアップできるか考えて手を差し伸べればいいのでは。DJは個人プレーだから自分で頑張れという思考だろうけれど、パーティやシーン全体のことを考えて動く大御所がたくさんいてほしい。
風営法の絡みで、DJをライセンス制にしようとした人がいた話が去年出てきて面白かった。受験対策本や学校といったライセンス取得支援ビジネス、検定費用、ライセンス更新費用、継続的にお金を吸い上げられるものね。既得権益になるし、実現しなくて良かった。

今年もSNS上でどんどんDJ論パーティ論を議論して頂いて、悪い慣習はなくし、クラブは時代に即した楽しい場所になってほしい。

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