Perfumeが再びCoachellaに立つために(前編)

PerfumeのCoachella出演の様子を伝える記事、「席巻」「圧倒」「大盛況」の文字が躍る。Coachella配信チャンネル1から3までザッピングや巻き戻しもしながら、他のアーティストの盛り上がりを目の当たりにしていた身としては違和感。歌とダンス以外のプロモーションや演出において、次に生かせる反省点は山ほどあると思うが、そういう議論は目にしない。海外公演が増えると国内の活動が減るから、もしかしてファンは心の底では望んでいなかったりするのだろうか。ご本人達もステージ上でもう一度この場所に帰ってきたいと言っておられたが。

Coachella インタビュー
私はPerfumeのファンではなく、『GAME』『JPN』を借りてきて聴いていた程度。配信とは言えライブを観てみたい、ということでCoachellaでの配信に待機していた。インタビューが始まって、通訳のひどさに驚き。

 インタビューはライブの前の放送されるので、見どころやアーティストの魅力を引き出す質問をインタビュアーがしてくれる。複数いるインタビュアーの中でこの方は優秀。英語もきれいで下調べもして質問してくれる。通訳はどちらが用意したのかわからないが、やり直すか無理なら配信しない方が良かったのではと思う。そもそもAriana GrandeやBillie Eilishに遭遇するかもしれないし、予期せぬトラブルもあるかもしれないのに、プロの通訳が帯同していなかったのだろうか。 質問されたことは答えられず、英語では"Thank you."と「(衣装について)メイドインジャパーン」しか言えず、悪い意味でイノセントな印象を与えてしまったのではと心配。個性的な振り付けなのか、デジタル映像芸術なのか、ライブ前に見どころを伝えられていなくて残念。英語もこれだけ練習して直接伝えたいこともあっただろうに。

Coachella ライブ
1曲目の『Story』、イントロこそ派手だが、初見だとリズムに乗れずじらされている感じ。『Future Pop』も地味かな。『Story』もこの動画を見て、この迫力だったらなと納得。ライブを待ちに待ったファンなら登場だけで気分が盛り上がっているので、同じメロディの繰り返しも長く感じないだろう。


Coachellaでどの層をターゲットに最適化するかにもよるが、知らない人にPerfumeの魅力を知ってもらうのであれば、ベタでも『チョコレイト・ディスコ』や『ポリリズム』等ノリがよくてウケのいいものを連発するのも有りだったんじゃないかと。権利関係やセールスのためにサブスク解禁してる曲を優先したのかもしれないけれど。
『FUSION』は3人の影が大きく投影されるVJで迫力もあり、こういうクールなダンス寄りの方がCoachellaの客層に受け入れられる気がした。例えば中田ヤスタカさんが加わり、ダンスナンバー寄りにエディットしたりBPMを少し上げたりDJのように繋いだらどうだっただろう。

外国の方がPerfumeのダンスはダイナミックではないと言っていたそうで、高いヒールを履いているからとファンは擁護していた。Ariana Grandeは身長153cmで、Perfumeより高いヒールでヒールの高さに加えて厚底。一番大きなステージを端から花道の先まで動き回り、ダンスの動きも大きく、腹から声を出す歌い方。彼女はアスリート級、体力の化け物なので比較するのは酷としても。もしヒールにより動きが制限されているのであれば、ヒールはよく見せるためのものであったのに本末転倒。ヒールは譲れない、MIKIKO先生の独特の振り付けは変えずアピールするなら、大写しとか離れた人にもわかる演出があると。MIKIKO先生はオリンピックの引継ぎ式も演出されているし、今回のステージの大きさ、高低差のない観客フロアにもっと適した空間演出ができたのではないか。
配信での視聴者数を見込み、現地よりエフェクトをかけた配信映像の見栄えを優先したということはあるだろうか。リアルタイムエフェクトは凄いことなのだろうけれど、体の横に波線がついたり下からレーザー光線が出ているようなエフェクトも、初見の素人からするとSNOWと変わりない。技術を披露する場ではなくエンターテイメントの場所なので、現場で見ている人が楽しかったり驚くことが大事だと思う。BLACKPINKの登場シーンはダサいけどわかりやすい。


Ariana Grandeは丸いスクリーンに太陽や月を映し、Billie Eilishは影絵、遠目からでも楽しめる映像だった。

f:id:senotic:20190429200018j:plain

f:id:senotic:20190429200033j:plain

f:id:senotic:20190429200047j:plain

Copyright © 電子計算機舞踏音楽 All Rights Reserved.