Coachella コーチェラ 2019 Day1 配信視聴 雑感

昨年Beyonceを生配信で観ていて、アメリカのショーとはこういうものだと見せつけられ感動した。今年はNina Kravizも出るし、何か月も前から楽しみにしていた。私はRapが好きじゃないしAriana Grandeでさえ聴かないのだけど、せっかく家に居ながら無料で見れるんだし、色々見てみた。チリで人気のMon Laferte、トリニダード・トバゴの国民的歌手Calypso Rose、フランスのChristine and the Queensなど、Coachellaは単にヒットチャートを上からではなく、国籍(言語)や音楽ジャンルのバランスがとられていて多様性が豊か。年齢も幅広い。

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King Princess
ステージ上で感極まって「泣きそう」って言ったり、飾らない19歳らしい初々しさ。Coachellaであってもわき毛を剃らないKing Princessを見て、スカッとして思わずツイート。電車車内に必ずと言ってよいほどある脱毛広告、女優の指の毛が映ったくらいでざわつく、そんなことにうんざりしてたので。良いなと思った曲が『Pussy Is God(女性器は神)』。彼女がレズビアンや性的マイノリティのことを歌う歌手であることさえ知らなかったので、PitchForkのレビューを読んでほぉーと少しばかり驚いたが、歌詞わからずとも愛に溢れた感じは伝わってたし、パートナーのこと大好きなラブい気持ち全開で素敵。

“Pussy Is God” by King Princess Review | Pitchfork

Mon Laferte
Spotifyで一番聴かれているチリ人歌手だそうで、大御所演歌歌手のような貫禄・声量・派手目な衣装。英語で歌うときにスマホで歌詞を見てたことに対して日本人が嫌味言ってたけど、英語できれいに歌えてたし、歌と語学は別だから、頑張っても覚えられなくて失敗したり英語で歌わないくらいなら歌詞を見たっていいと思う。MCの英語を聞いた感じ、すごく苦手なのわかったし。日本の演歌歌手だってきれいな英語で歌うのだけで大変でしょう。

Gorgon City
こんな踊れるバンドがあったんだと思ったら、普通にThe LabでDJしてたりするダンスミュージックの音楽プロデューサーだった。Coachellaでは例え世界のトップDJのプレイでも、実力派の生歌や生バンドと並ぶと物足りなさを感じてしまうから、バンドセットなのは良かった。ボーカルは歌唱力もあって、パフォーマンスも上手かったし。90年代っぽいなと思ったらその通りで、90年代のUK underground、garage、grimeに影響を受けたそう。

Calypso Rose
アー写がおばあちゃんみたいだなぁと思っていたら、御年78歳でいらした。最前列の男性に「私と結婚する?」みたいな冗談言ってた。配信も人気順だけでない多様性があっていいよね。地元の人は嬉しいだろうね。

Tierra Whack
音楽はポップだしVJも衣装もかわいいんだけど、大舞台で舞い上がっちゃってる様子だった。曲と曲の間の繋ぎがイマイチでお客さんの熱狂を維持できてなかったような。MVが凝ってて、ライブ演出のアイディアも持ってそう。

ANDERSON .PAAK & THE FREE NATIONALS
感動して、巻き戻しと再放送で計4回見ちゃった。生トランペット・生ドラム・コーラスを効かせたsoulfulなファンク。めっちゃ好きなやつ。ステージの端から端までスキップしながら歌い、階段を駆け上がった後、ドラムを激しく叩きながらもラップ。全く息が切れない。余裕の笑顔でニューアルバムの宣伝もちゃっかり。暗転や無音も使って、メリハリ付けが上手い。暗転の際「まだそこにいるか~?」と冗談言ったり。途中衣装替えも。Mac MillerとNipsey Hussleの写真と追悼の言葉の後、Macとの曲『Dang!』で締め。身体的にも負荷が高く、頭もフル回転のはずなのに、余裕をもってライブを楽しんでるようにみえる。準備しつくされたプロのエンターテイメントだった。
顔を客側に向けてラップしたまま、手元は一切見ずに速いドラム叩いていて上手いなぁと思ったら、ドラマーとして音楽キャリアを始めた方だった。マリファナ農園で働いてたけど解雇されて妻子持ちでホームレスになったとか、経歴もなかなか興味深い。他の人も言ってたけど、音源よりライブの方が格段に良い。また見れるといいな。

Rosalía
口の動きと声がずれてたり口からマイクを遠ざけても声が出てたりで、口パクじゃないかと気になって途中で見るのを止めた。MVを見てみたら、すっかりとりこに。フラメンコを踊るときの歌cante(カンテ)の独特の発声と節回し、スペイン語の響き、キレキレのダンスにすっかり魅了されてしまった。小柄でカタランぽいなと思ったら、やはりカタルーニャ地方出身だった。「キレキレのダンスを踊りながら、民謡の歌い方は忠実にポップに仕上げた曲を歌う。」みたいなものでしょう。それがこんなかっこよくまとまっている。フラメンコはロマ(ジプシー)の音楽だから、カタランの彼女は本物でないと認めない人がいるようで、どこの国でもそういうのあるのね大変ねと思ったし、それを知って応援したくなった。canteを歌ってる動画もあって、本当に歌が上手い。

フラメンコを現代に蘇らせたラテン・ポップの歌姫ロザリア | 世界が熱狂! スペインの新生スターをまだ知らない? | クーリエ・ジャポン

今をときめくカタルーニャの女の子① フラメンコのRosalía | ジモモバルセロナ

新感覚フラメンコ、カタルーニャの「カンタオーラ」ロザリア

Ella Mai
90's R&Bテイストだし曲もいいし歌もうまい。だけど、お嬢さん育ち優等生のつまらなさを感じてしまう。悦びに溢れるKing Princessの歌、生きていることが音楽のようなANDERSON .PAAK、canteへの情熱が燃え滾るRosaliaを聴いた後だと、ELLA MAIは上手に失敗せずにステージを勤め上げるように見えてしまう。人生と音楽は分けて受け取りたいんだけど。前半は声があまり出てなかったが、後半は声も出てご本人も楽しそうだった。

Janelle Monáe
肩パット入ってそうなカチっとした制服のような衣装とバチっとそろったダンスは、古いけどJanet Jackson『Rhythm Nation』の辺りを想起させる。PYNKの衣装がかわいいなと思ってたら、なるほどそれのカタチを模してたんだ。Janelle Monaeさんは、pansexual(全性愛)だそうで、人気のある人が告白することで救われる人がいるんだろうな。日本もカミングアウトが視聴率稼ぎのネタで終わってしまう状況は変わってほしい。

Nina Kraviz
前日になって配信対象に追加されており歓喜。ステージ上に机やソファ、鏡を置き、絨毯が敷かれた部屋のセット。Ninaは机の上のコーヒーを飲んだりソファに座ったり、鏡を覗き込んだり。黒皮のコートを脱いだ下は、ニットか何かの体にフィットした素材の黒の上下。絨毯の上で踊る。メモを読み上げたり、歌詞のない歌を歌ったり。テクノDJとしてDJ以外にチャレンジしたことは評価できるけど、巨大フェス向きの内容ではなかったのでは。世界中の歌とダンスを極めた人が出演する中で、あの歌と身体表現は厳しい。seihoさんの靉靆(あいたい)のように初回は少人数の舞台で試みるとか、映像作品にした方が良かったと思う。

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