MONATIK «То, от чего без ума» レコードとカンフー

前の記事で経歴を紹介したウクライナのミュージシャンMONATIK、これからアルバムが出るみたいな書き方をしてしまったのだが、既にリリースされてた。ウクライナ語は翻訳にかけないと読めないから、情報拾うのが難しい。Spotifyに過去曲は上がっているが、最新のアルバムはなかったのでまだかと思っていた。MONATIKはどの国で聴かれているのかSpotifyで調べてみたら、ウクライナが無い。ウクライナではSpotifyのサービス始まってなかった。ウクライナ知識が増えていく。Spotifyにはないが、YouTubeにアルバムがフルで上がっていた。
MONATIK - LOVE IT ритм (альбом 2019)

既に紹介した2曲の他に、ヒップホップの曲とMVが良かったのでピックアップ。
MONATIK - «То, от чего без ума»(夢中にさせるもの)

ポリシー

レコードとカンフーアクションをモチーフとしたMV。ヨーロッパに限らずだけどヒップホップMVは大体、治安の悪い街で、タトゥーとピアスごりごり、酒とドラッグ、セクシーな女、暴力、爬虫類や虫などが出てくるのが定番。このMVも、険しい表情でラップし怒りを表すような振り付け、一見ギャング風なのだが。
・襲撃を企てる作戦会議かと思いきや、みんなでレコードを聴く
・レコードを絶対割らない ←大事
・店を破壊しない
・「何気にしてるねん。踊ろうや。」とリフレイン
・タバコが出てこない

(タバコを吸うのがあってもいいけど、吸わないラッパーのMVがあってもいいと思う。)

歌詞

”待て、ダウンロードしたのは何だ?
シッ、黙れ。イントロを聴き逃したくない。
メロディを捕まえる方法、まるで愛するかのように。”
”幸せに静かに兄弟になる方法を知っている。
喧嘩なしのチキタンダンスだけだ。
さあ、踊ろう。何を気にしてる?
我慢するな。うー、踊ろう!
これはあなたを夢中にさせるものだ。”
”体の優れた部分を動かそう。頻繁に、頻繁に!もっと。”

音楽とダンス愛に溢れたリリックでめっちゃいい。「シッ、黙れ。イントロを聴き逃したくない。」は音楽好きじゃないと出てこない。

アクション

ジャッキーチェンのカンフー映画の要素を入れたかったようで、指導者を招いて練習。練習を重ね、撮り直ししているにしても、MONATIKは器用で運動神経が良い。カウンターから半分宙返りのようにクルッと回って飛び降りて着地。アジアブームらしく、空手やカンフーの動きを真似たMVも多いが、ほぼパッチもん。太極拳を少しだけ習っていたから多少見方もわかるんだけど、このMVの男性のアクションはちゃんとしてる。

演出・映像

隠し部屋の床は、レコードになっていて回転する。人に青のライトを当てていて、青と赤のコントラストがきれい。実写に、影絵のようなツートンの映像が挟まれていく。人の頭にレコードが落ちてきて、レコード人間になるのが面白い。実写だと滑稽になったりインパクトにかけるシーンを、ツートンのイラストっぽくすることで印象的に見せるアイディア。007とか70年代をイメージしているのかな。最後、中心を除き周りが黒なのはレコードでしょう。MONATIKのMVは芸術的でこだわりが強いから見ごたえがある。

関わっている人の数からすると、相当費用もかけているのだろう。海外でのロケや豪華な場所を貸切るなど分かり易いところにお金を使うのではなく、アイディアの実現や目に見えにくいクオリティのために使うのはかっこいいし、数を見て繰り返し観るとその差がわかってくる。

MONATIKの国民的人気を伝える方法がないか考えていたところ、2017年10月20日キエフ・スポーツ宮殿 (київському Палаці спорту、コンサートの場合1万人)で行ったフルのライブ映像を見つけた。ウクライナの日本の人口の1/3くらいなので、その中で1万人コンサートはなかなかの人気なのでは。

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