track maker @VISION 2017年5月

年末以来のVISION、やはりVISIONはいいなと。スタッフの方が多くてセキュリティがしっかりしてるし、ライブハウスとは違う重厚感と華やかさ、音響。色々行ってみることで、それぞれの良さがわかる。

f:id:senotic:20170510153728j:plain

STUTS
できる限り、たくさん見るぞという気合が足りず、遅めに入ったので、STUTSさんから。まずはちょっと、GAIAを覗こうかなくらいの気持ちで入っていったのに、しっとりとした大人っぽいのが流れてきて、そのまま聞き入ってしまった。歌入っている曲が多かったけど、歌わずにパーカッションだけ、MPC?で叩いてたように見えた。「夜を使いはたして」が、そこまで熱狂されるのかは、まだよくわからないのだけど、曲が始まったとたん、フロアのテンションが一気に上がるのを見て、人気の程を体感することができ、面白かった。GAIAに、こういうゆったりとした音楽が流れるのも、あってよいのでは。ALPS0409で見逃していたので、見れて満足。

TORIENA
香港で夜中ライブして、次の日東京のデイイベとか出てたり、ライブパフォーマンスだけではなくて、パワフルな方。Maltine SEEDでのパフォーマンスも良かったし、中銀カプセルタワー保存のためのライブ配信トークで彼女の考え方を垣間見たり、作曲する姿を見て、すっかり魅了されてしまった。
STUTSとTORIENAでは、ファン層がほとんどかぶらないようで、すごい入れ替わり様。最初は「大江戸コントローラー」から。もちろん、大合唱が起こる。合唱というより、叫びの方が多かったけど。表現が適切かわからないけれど、手拍子とか掛け声が、アキバっぽくて、STUTSさんのときとのギャップが激しすぎて笑っちゃう。でも、こういうノリ嫌いじゃない。TORIENAさんは、体はかなり小さいと思うけど、毎回、そのうち頭がどっかに飛んで行ってしまうのではと心配になるくらい激しい動きをする。今回も、ステージ前でもかなり広く動きまわっていて、最後重そうな巨大なライト振り回して歌ってたし、ライブの度にパワフルさが増している気がする。映像もファミコンがかわいかったし、激しくレーザーも、音楽と合っていた。レインボーの多色使いのところは光量が強すぎて、まぶしくてステージが見ることができなかったけど、単色の低めで上下に広がるレーザーは、奥行きが出ていて、とても豪華な演出だった。

seiho
引き続きGAIAに残る。また、人が大きく入れ替わる。今回、いろんなアーティストに触れてもらうという趣旨なのか、人気に応じた時間割での偶然なのかわからないけれど、ジャンルが違う感じのアーティストが並んでいるタイムテーブルは面白い。静かに演奏が始まる中、「何だよ、これ。眠くなるじゃねーか。上げるのかけろよ。」のヤジ。正直いい気持ちはしなかったけど、聴くジャンルが違えば、seihoさんのことを知らなくて仕方ないし、私も好きじゃない音楽あるしと、理解しようと努める。逆に、seihoさんファンに囲まれてのあのヤジは、なかなか大胆で、かわいいなと思うことで、心を落ち着けた。I Feel Rave等の誰もが知っていて激しい曲から、新曲UNREALのように静かな曲まで、緩急があって、物語の様。前もあったか覚えていないけれど、ステージ中央と右端の低い位置にあるミラーボール、ミラーボールに当てる光、ミラーボールからの光の筋を見え易くするためのスモークの演出が、とても美しかった。白色や紫の光がミラーボールから放射状にいくつも出ていて、seihoさんの神々しい雰囲気ととてもよくあっていた。seihoさんと活動しているSincereさんが登場してバラードっぽいのを3曲ほど。GAIAでこの時間に、しっとりバラードを聴くのもなかなか貴重な体験だったのでは。seihoさんの静かな曲からSincereさんが歌っている間で、また別の人がヤジ。時間が押していたし、tofubeatsさんのファンで早く聴きたいのはよくわかるし、100人のうち1人の"声の大きな独り言"だとしても、たくさんの人の楽しい気持ちを、台無しにしてしまうんだよな。時間が押している中での、Sincereさんのあまり知られていない曲、3曲は、たしかにちょっと長く感じたけど。

f:id:senotic:20170510151942j:plain


仮谷せいら
tofubeatsさんの動画を見まくっているので、数年前の仮谷せいらさんもたくさん見ているが、実物は本当にかわいかった。本物のアイドルとは、こういうものなのかと。あんなキラキラの笑顔と声で、「せーの」とか言われたら、手拍子でも何でもしてしまうのわかる。

tofubeats
年末の時は、中田ヤスタカやTeddy Loidファンが多かったからか、tofubeatsさんのこと知っているか、自ら聞いていた気がするけれど、今回はtofubeatsさんファンでぎっしりなことを知ってか知らずか、そのままスタート。SHOPPING MALLから。ヤジ軍団が暴れだして、私は弾き飛ばされて散々。まともに観るどころじゃなかった。がたいがいい男性には突っ込んでいかないし、酔っぱらっている風だけど、人を選んでる。どんな歌も全部の歌詞歌える熱いtofubeatsファンが大勢いらして、温かい気持ちになれたのが救いだった。今回、なんとなく関西人が多い気がしたけど、2013年当時学生で、関西でtofuさんのファンで、就職で上京して来た人が多かったりしたんだろうか、単なる推測だけど。時間が押していたので、長谷川白紙を観るために、Deep Spaceに移動。WHAT YOU GOTも水星見たかった。

 
Deep Spaceの方も、押していたみたいで、JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUBが歌っていて、混んでいた。STAY GOLD,LIFE GOES ONは、メロディがあってのりやすいし、人気あるのも納得。天井が低いDeepで、さらにステージに上がっていたので、天井に頭すれすれで歌っていたのが、アンダーグラウンド感が出ていて、熱い歌との相性がよかった。track makerというイベントで、ここまでジャンルが幅広いと思わなかったけど、それぞれのジャンルで評価されているアーティストを知るきっかけになるので良いし、単純にいろいろ聴けるのは楽しい。

長谷川白紙
Deep SpaceのDJブースは、フロアと同じ高さで奥まっていて、全然見えないから心配だったけど、ブース前の小ステージでの演奏だったので、よく見えた。パジャマと言われた上下白い衣装で、『Top Of The World』とTOWA TEIの『RADIO』をアレンジした曲と、パソコン音楽クラブ柴田さんの『やめて』のオマージュ?等を、歌いながら演奏。『Top Of The World』はCarpentersの歌声が頭の中で鮮明に再生されてしまうので、比較してしまい、どうしてもカラオケっぽく聴こえてしまった。しかし、独特の声は美しく、歌唱力という物差しで測るものではなく、音として捉えるとよいのかもしれない。たくさんのファンがいる自分の曲は一切やらず、新曲しかしないというのはどうなんだろうと思っていたけれど、アレンジといっても、かなりオリジナリティがある曲に仕上がっていたし、私はライブ感を求めて足を運んでいるところがあるので、生歌、生演奏ということで、結果満足した。私だけではなく、場はとても盛り上がっていたし、GAIAが最高潮に達する裏とは思えぬ、観客数と盛り上がりだった。track makerという大きなイベントで、売り出し始めのアーティストが、自分の持ち歌を一切やらないというのは、かなり大胆だ。いつも思うけれど、彼はメンタル弱いのか、強いのか、本当に謎。(その不確実さが、人を魅了するのかもしれないけど。)正直なところ、『綿の中」『肌色の川』を生で聴いてみたい気持ちはある。持ち歌をやらない理由は、わからない。深い意図があるのか、それとも自分の曲をライブでやることに実は自信がない、又は向き合えないのか。あそこまでアレンジするならば、自分の曲にするか、自分の曲をアレンジすればいいのにと、勝手に思ったりもする。誰一人ヤジや文句を言う人はおらず、観客を満足させることができた理由一つは、演奏の技術力ではないかと思う。ピカソが卓越したデッサン力を持っていたように、技術力があっての自由なのでは。もう一つは、自由を受け入れてくれるファンとの関係を、まぎれもなく彼自身が築き上げてきたこと。例えば今回、tofubeatsさんが、GAIAでみんなが知らない曲ばかりかけるなんてことは、まず難しいだろうし、今の長谷川白紙のファンの規模だからできることなのかもしれない。自由を受け入れてくれるファンを得たことで、いろんなチャレンジができる。例えば、seihoさんの音楽、牛乳や生け花のパフォーマンス、個性的な衣装も、今ではseihoさんの世界として受け入れられているけれど、もしかすると最初は違和感があった人がいたかもしれない。既存の概念とは異なるものも受け入れる環境が、新たなものを世に出す力になる。天才か、ただの狂人かわからないけれど、自分が築き上げた自由を受け入れてくれる環境を作ったのだから、思い切りチャレンジして、才能が開花する様子を見ていたい。白紙さんの映像作品を見たことがあるが、寝室をテーマとしたものだった。あのパジャマみたいな衣装も、そこに繋がっていて、彼は既に着々と彼の世界観を具現化し始めているのかも。

okadada
動画やストリーミングを観過ぎていて、何度も観ている気になっていたけれど、生のDJは初めて。さすがokadadaさん、始発が動き出す時間になっても、まだまだたくさんの人が踊っている。身動きが取れないという程混んでおらず、ちょうどよい。割とメジャーな選曲だったと思う。一人の女の子が、友達に「すごく人気がある人。」とokadadaさんのことを説明している。ちょうど好きな曲がかかったようで、友達の手を引いてフロアの真ん中に飛び出して行った。とても素敵な光景だった。okadadaさんのことを教えてくれた友達、一緒に踊った曲、ミラーボールの光、ずーっと後になって、ふと思い出したりするんじゃないだろうか。Jess GlynneのAin't Got Far To Goもかかった。隣で踊っていた人が、曲名検索し出す。会話するでもなく、自分が大好きな曲を、全く知らない人も、いいなと思って検索してる。たったそれだけで、幸せな気持ちになれた。ならないでほしいけど、もし戦争にでもなったら、今日のこの光景を思い出す気がした。


最初にクラブに行った感動も少しずつ薄れ始め、自分はどんな場を求めているんだろうと思って、考えていた。知らない人たちも一緒に、同じ曲で楽しく踊る。深く考えず、楽しそうなものに行ってみればいいんだよな。最後okadadaさんで良かった。いい夜だった。

Copyright © 電子計算機舞踏音楽 All Rights Reserved.