読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

写真家 横山純氏

横山純氏を知ったのは、ポコラヂというネットラジオ番組、tofubeatsがゲストの回だった。ポコラヂは本当にいい意味でゆるい感じの番組で、テーマだけが決まっていて、その場で自由な方向に話を発展させていくのがライブ感があるところが良いのだが、ちょっと発散しすぎるような時もあり、そのときにうまくまとめて収束させていくのが横山氏だった。tofubeatsとのかけあいは、まるでベテラン漫才コンビのようで、最近の下手なお笑いよりも面白く、何度も吹き出した。この面白い人は誰なんだろうとすごく気になったのだが、自己紹介もなかったので誰だかわからず、共演者が名前か愛称で呼ぶ声をなんとか拾い、横山純氏の情報を辿り着くことができた。

面白そうな人だとは思っていたが、その経歴は想像を上回っていた。長年の大学での研究、クラブ店長、反原発運動も興味深かったが、下記のエピソードがすごく気に入った。

2005年にロンドンのバスの中で偶然聞いた音楽をもう一度聞くべく、マルボロ2箱と交換でソニーのラジオを入手し1日中バスに乗りながらロンドンの海賊ラジオをくまなく聞いて回った 

2階建ての深夜バスに乗ったときに2階で黒人の若い奴らが、ラジオを聞きながらよくわからん音楽をガンガン大音量で聴きながらラップしているっていうのに遭遇して、あれなんや、あいつらipodじゃなくてラジオを持ってたぞ、ってなって、それで自分もラジオを買って、あの音楽はどこのラジオ局で聴けるんだと探したんですよ。Rinse FMもぼくはそんなに知らなくて、バスに乗りながらダイヤルを0.1ずつ回しながらずっと探してて、やっと見つけたのが多分Rinse FMで。この時間この場所にいると聴ける、みたいな。Rinse FMは当時まだインターネットもやってなくて、ライセンスを取っていない海賊ラジオだったんで、聴ける範囲が限られてて東ロンドンしか聴けなかった。

http://archive.fo/SbpDx#selection-1295.140-1295.464

横山氏のクラブ店長経験談等
http://fnmnl.tv/2016/07/14/3520?articleview=more

新しいインタビュー記事が出たので、早速読んでみた。経歴については既知の内容が多かったが、撮影担当として参加されたデモ「レイシスト団体のEDL(イングランド防衛同盟)」など、日本では想像できない様々なデモがあるのだなと思ったし、明るくどんな人とも仲良くなれるイメージがあったので、鬱っぽい状況だったというのが意外で良かった。やはり一番なのは、私が聞きたかった、反原発運動を含む様々な経験を経て今考えていること、これから何をやりたいかが書かれていたこと。
http://usblahmeblah.online/jp/interviews/jun-yokoyama

アートは人の考え方を変えることが出来ると思っています。5年間、政治的な活動をしてきて、メッセージやロジックだけで、違う考え方、イデオロギーや政治的思想を変えるというのはほとんど不可能であることが分かりました。

この部分は非常に共感できた。(横山氏の意図とは異なるかもしれないが。)私個人のキャリアの中で、業務のプロセスやビジネスの考え方の変化を推進するという役割にあり、人がベストな方法であると信じているものを、説明をし考え方を変えてもらう難しさとずっと戦ってきた。人の常識は様々だ。一方にとって善でも、もう一方にとっては悪であることがたくさんある。真正面に真摯に、時間をかけて向き合うことで解決できることもあるが、本当に時間も労力もかかる。最近音楽を再び聴き始め、SNSも使うようになって実感していることは、人は楽しいところに自然に集まるし、楽しいことだとすごいスピードで動くということだ。音楽やイベントなんて、ビジネスでも何でもないから、楽しそうで応援したいと思えば人はたくさん来るし、そうでなければ来ない、はっきりしている。また、私個人は、音楽関連のSNSを通して、実生活では絶対に会うことのない方々やその方の考えを知ることができた。実生活で対面していれば、先入観から向き合おうとせず、考えを理解できなかったかもしれないと思うこともある。音楽という共通があったから、他の違いを乗り越えて理解できた音楽の力の例だと思っている。

政治的状況に介入しようと、そして人々の力というものを開いていくために、クリエイティビティを使いたいと思っています。

エバンジェリストみたいな活動はFNMNLというメディアの方でやっています。

エバンジェリスト;海外のIT企業において、「自社の製品やサービスについて分かりやすく説明(伝道)する人」

横山氏の考えるアートやクリエイティビティがどんなものか、またどのように作用させるのかを文章から推測することは難しいが、そこは今後の氏の活動を見ながら紐づけてみたいと思う。横山氏に興味を持ったのが、ファシリテーション、キュレーション力だったので、エバンジェリストとしてきっと活躍されると思う。グライムに限らず、音楽に限らず、人々にわかりやすく興味を持ってもらうきっかけを人々に与えて頂きたいと思う。