アニクラ カルチャー( #VJ概論 AFTER HOURS INDiVISUALISM)

#VJ概論 AFTER HOURSにすっかりハマってる。DJがクラブやDJプレイのことを話すのが見たいのに無いから、技術や志の高いVJの方々がクラブのことを語ってくれてとても楽しい。#VJ概論の良いところは、(熱い思いがあって)自分から話したい人が出演し、スタイルが異なるVJをリスペクトし合いながら、幅広い視聴者層に合わせ質問も拾いながら進行してくれるところ。

今回は矢向さんが司会進行を務め、通常のVJ概論よりVJの主義や美学にフォーカスして掘り下げるINDiVISUALISMの1回目。INDiVISUALISMとは、INDIVIDUALISM(個人主義)とVISUAL(視覚の)を掛け合わせた造語。VJはDJよりも個人個人でスタイルが違い、主義主張が強く、我が強い人が多いからとのこと。ゲストはVJ KITUNEさんとVJ すーすけさん。

 VJ概論 AFTER HOURS vol.04 INDiVISUALISM

この日はDOMMUNEとポコラヂが被っていて、#VJ概論はアーカイブを残してくれるのはわかっていたが、迷わず#VJ概論を選んだ。早く聞きたいし、ライブだと質問ができるから。内容が面白すぎて大量にメモを取ったので、自分の理解のためにメモの内容を再構成してまとめてみた。

アニクラとは
アニメを好きな人が集まり、アニメの映像を見ながらアニメソングで踊るイベント。DJが目当てというより、アニメを好きな人とコスプレイヤーさんが集まるオフ会の要素が強い。(最近はアニソンプロデューサーが出演することもあり、その場合は出演者が目当て。)行けば趣味が同じ人に出会える。合いの手など一体感が強い。知っている曲がかかる。お客さんの入りが早く、ピークタイムは深夜ではなく最後の明け方5時。アニメという映像作品が基に集まってるクラブなので、映像の重要度が高い。

アニソンDJ
アニソンDJはワンコーラス(1番だけ、1サビまで)流し、次の曲に繋いでる。ワンコーラスは凡そ90秒。1時間で40曲。セトリは決まっていない。選曲にかけられる時間は長くて20秒。前のDJがかけたアニソンはかけてはいけないので(一晩を通して被り不可)、既にかかった曲を把握しておく必要がある。トイレに行っている間にかかった曲はフロアにいた人に確認する。選曲は、音の繋がりや流れに加え、歌詞のワード/タイトル/アニメ制作会社繋がりなど。何繋がりかわかることがお客さんのステイタス。DJはお客さんのコスプレやTシャツを見て、そのアニメをかけてあげる。一番最後のDJはアンセムを回収する(と言ってたが私は意味がわからなかった)。

アニソンVJ
アニクラでは流れているアニソンのアニメ映像を映す。間違ったアニメの映像を流すとブーイングが起きる。アニメの1期と2期、OP(オープニング)とED(エンディング)間違いでも客から指摘が入る。歌う映像の場合、DJが流す歌と映像の唇の動きを合わせる(リップシンク)。MOGRA 秋葉原の場合、映像スクリーンが複数面あり、それぞれ異なった映像を流す。OP映像の方が動きや疾走感があることが多く、アニメタイトルが大きく表示されるので、EDソングでもOPの映像を流すか一部差し込むことがある。(アニメ知らない、又はタイトルを思い出せないお客さんに教えてあげるため。)
完全にアニソンと一致したアニメ映像を映す必要があるVJは、次の曲をどのように把握しているのか?方法は2つ。DJがヘッドフォンで聴いている音をVJも聴き、音からアニメを特定する。もう1つはDJのCDJやPCを横から覗く。(MOGRA 秋葉原のVJブースがDJの横にあるのはこのため。)瞬時に音からアニメを特定できるよう、シャッフル再生でタイトルを当てるイントロドン(イントロクイズ)で訓練する。アニメの数が膨大、しかも1アニメでOP/ED/ライブと複数あるので、ジョグダイヤルやスクロールで探していては間に合わない。文字で検索する。
リップシンクさせる方法は、DJの音とアニメ映像素材に入っている音をソフトでsyncさせるか、手動。DJのように素材にCUEを打ち、イベント前に仕込みをすることもある。DJがBPMを変えると、VJも映像のBPMを変えなければいけないので大変。

アニソンイベントの種類
ANISON MATRIX!!とアニソンインデックス!!は同じアニソンイベントでありながら、性質は正反対。
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Xi-liumというイベントは、サイリウムを無料配布。好きなアニメがかかったら折る。サイリウムの光でフロアが明るい。

アニクラの歴史
velfarreヴェルファーレ)でダンパと呼ばれていた時代から、アニソンでも踊っていたらしい。アニクラはMOGRA 秋葉原ができる前が、盛り上がりのピーク。4時間並んでも入れないほど。TwitterUstream等外部に発信するツールができたことで、ネットで見た人がアニクラに遊びに来るようになり、爆発的にアニクライベントが増え、VJが足りなくなった。今はアニソンVJから始める人が多いが、当時は違うジャンルからアニソンVJになる人が多かった。関東は元々アニソン原曲イベントが多かったが、最近はクラブっぽいリミックスイベントが増えている。
2006年11月 月あかり夢てらす オープン
2007年8月 DENPA!!!『第壱夜 電刃襲来』
2009年8月 『電刃/DENPA!!!』活動休止、MOGRA 秋葉原 オープン
DENPA!!!『第壱夜 電刃襲来』
コンセプトはANIME×FASHION×NOISY ELECTRO

ヲタ特有の排他性(ある種の聖域)こそ排他し、アニメというジャンルを解放区にするための電子音楽革命運動DENPA!!! ヲタ=ダサい/キモいという偏見を無くし、むしろヲタ文化を愚弄することで崇拝を実現しようという、電刃(ヲタ革命派)による「NO WAR」なエキセントリックパーティーである。 東京を拠点とする、この運動を通じてアニメに市民権を付与し、日本の最高文化として世界に発信することに貢献する。 また、原宿(Cボーイ)⇔秋葉(Aボーイ)のような対立構造を除去し、互いが相手を別な可能性として認めあい、理解することの重要性を訴える社会派な一面もある。

以上が、#VJ概論のまとめ。アニクラ カルチャーがこんなに個性的で奥深いとは知らなかった。アンダーグラウンドカルチャーで記録に残せないこともあるだろうし、2008年頃のアニクラ世代は子育てで忙しいだろうけれど、『電刃/DENPA!!!』のようにしっかりとしたコンセプトがあるパーティがあったり日本独自のカルチャーなので、記憶が風化する前に何かしら残さないともったいない気がした。(MaltineBookにも少しくらい書いてないかなとパラっと見返したけど、2009年からのネットレーベルの内容なんだよね。)
【2019年8月17日 MOGRA10周年の2記事へのリンクを追加】

矢向さんはアニクラVJをリスペクトし興味があるから、質問が上手い。(アニクライベントで感極まってロッカーで泣くくらい)オタクでありながらアニクラを全く知らない視聴者にも気を配り、説明や補足をして下さる。今回KAZOEさんの司会進行はサポート的だったが、毎回ゲストとの調整、事前の打ち合わせや準備、1回1回にかける気合が凄い。司会進行は落ち着いたトーンで、時に自分の経験や意見も述べてゲストの話を上手く引き出す。1人のゲストに比重が偏らないよう、またトピックのバランスも考えながら、時間内に収める。ファシリテーションが上手い。

 ストイックなKAZOEさんに対し、全くものおじせず明るく前向きななるみさんがしっかりサポート。(なるみさん、時々ちょっと訛るのがかわいらしい。)お二人のコンビネーションが良い。どうしても若い女性はマスコット的な役割を担わされがち、お茶やお菓子を配り気を利かせないといけない雰囲気がある。#VJ概論は「なるみちゃん」ではなく「なるみさん」と呼ばれているし、未来のVJ界を担う人材として尊重されているのが感じられて、見ていて安心できる。次回も楽しみだなー。

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