yukaDD(;´∀`)『Superhero』どうやったら売れるか

ウェブメディア『リアルサウンド』の目次に名前があって、思い出した。2018年にライブを観たきり、しばらくチェックしていなかったが、去年ワーナーと契約したようだ。

yukaDD(;´∀`)は、音楽専門学校生時代に、オーディション企画で作曲家Jin Nakamuraにスカウトされてデビュー。以降、Jin Nakamuraがプロデュースしている。私がライブを観た2018年3月は学校を卒業する時期で、女子高生を売りにし、制服でライブしていた。あまり売れていないようだったが、活動は続けられているようで良かった。

yukaDD(;´∀`)『Superhero』

変わらず、歌がお上手。ダンスも悪くない。

君のためになりたいと
Just say it, I’ll say yes
だらしない服のままで
ベットを出たよ
ケータイゲーム置いといて
ごめん、メイクもしないで
すぐに来たの
頼もしさはゼロだけれど

「ケータイゲーム~」は加藤ミリヤの歌にありそうなメロディ。今、「ケータイ」って言うのかな、スマホでは。呼ばれたらすぐ来る、軽くて「都合のいい女」感。

あー
君だけに 教えておくよ
I’ll be your Supergirl
そう、空も飛べる
Here we go, here we go
Here we go, here we go
呼ばれたら駆け付けるから あぁ

出だしの「あー」が、民謡の合いの手。「あー、ソレソレ」「あー、よいしょ」の「あー」で、何回聴いても噴き出してしまう。中国語バージョンもあって、そっちは「ゥオ」でかっこいい。ラップはできるだけ短い音を詰め込んだ方が上手く聴こえる。Hey! Say! JUMP『狼青年』も、音を伸ばすラップパートで途端にダサく感じる。
「おとぎーばなしーなら いーつかおーちる いーかーずーちー(雷)
 でも思いー上がりーかな つーみ(罪)も罰も白々しいー」
君のために「空も飛べる」は、浜崎あゆみ『Song 4 u』(2012年)のオマージュ?

君より先に 泣いてしまったら
思い切り笑ってもいいよ

RIRI『HONEY』の「All the possibilities, waiting for you and I 信じてくれる そう 強くなれる」部分のメロディにそっくり。思わず、HONEYって歌いそうになる。

無鉄砲なFighter 君のためなら
震える手を 握りしめて、いま
駆けだせるから
I am a wonder woman, super girl
君に降る雨を 光にする
ちっぽけな Fighter 君のためなら
世界中を 敵にまわしてもいい
約束するよ
I am a wonder woman, super girl
君を暗闇から 連れ出すのは
Your super hero.

これは秘密だけど
You’re the light of my life.
私を強くさせる 理由は君だ
部屋の隅で落ち込んで
少しだけは泣いたって
どんな夜もきっと乗り越える 絶対 君なら

 「世界中を 敵にまわしても」は、使い古されてクタクタになった歌詞。どういう層をターゲットにしているのか知らないけれど、男に尽くす、男のために生きがいを感じる女なんて、演歌くらい古臭い。1993年のMariah Carey『Hero』でも、自分の中にヒーローがいるって話。KPOPの強い女性の歌詞は、自分を愛し自分が幸せになるための強さであって、君を守るためではない。中年男性に人気があるのは森七菜『スマイル』だが、そのタイプでもない。

yukaDD(;´∀`) 「Only Have Love For You」

歌は間違いなく上手い。でも歌詞が、これがまたひどい。「もしも1分あれば私 60回好きって言ったよ」、直接的で情緒も何もない。恋愛ソングにこだわってもいいけれど、どれだけ愛しているかを表現する詞が、薄っぺらく安っぽい。

鬼束ちひろを思い出した。鬼束ちひろ『月光』は、歌詞の言葉1つ1つが深い。「こんなもののために 生まれたんじゃなーい」の方が共感できる。

RIRIもそうだけど、グラミー賞を狙えるとか、海外で通用するとか、なぜそれを売りにするんだろう。グラミー賞は、実績に対して与えられる1つの結果であって、それをゴールにしてしまっていいのか。何のために歌い、何を表現したい伝えたいのかが見えない。いくら歌が上手くても。

RIRI(ソニーミュージック
1999年生まれ。ポップ・R&Bシンガー。日本人初のグラミー賞大部4門受賞を目指し、16歳でLAにて数々のプロデューサーとの制作を始める。2018年2月14日、1st Album『RIRI』でメジャーデビュー。

yukaDD(;´∀`) (ワーナーミュージック・ジャパン
1999年4月生まれ、大阪府出身。音楽プロデューサー・Jin Nakamuraが、「グラミー賞を目指せるアーティスト」を発見したいとの想いで開催した全国オーディションで発掘された。

声も歌の表現力も言うことなし、ダンスも十分上手い、メイクは少し古い気がするけど美人、ドン・キホーテでバイトという苦労話でも売り出してみた、英語・中国語バージョンも作ったとなると、あと何をすれば売れるだろう。有名プロデューサーのプロデュースも、最近はそれほど売りにならない。残るは、向井太一やSIRUPなどの人気男性R&B歌手とのデュオくらいかな。私のブログの2000年代Soul/R&Bアーティストのエントリは、なぜかずっとアクセスがあるので、女性実力派R&B歌手のニーズはあると思う。ご本人はこれ以上頑張りようがないと思うので、ワーナーとプロデューサーの方は頑張ってほしい。

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