Rina Sawayama - Bad Friend 日本人の見た目と西洋人の脳みそ

歌い方とミュージックビデオが苦手で聴いてこなかったRina Sawayama。Coachellaのライブがとても良かったので、その後よく聴いている。

『Bad Friend』は、喧嘩別れした子供の頃からの親友に赤ちゃんが生まれたことをFacebookで知り、あれほど仲が良かったにも拘わらず、近況や大事なライフイベントを知らなかったことに動揺したことがきっかけで作られた。歌詞は、その親友と行った東京への卒業旅行の思い出に始まり、自分は「悪い友達」であったという反省が述べられている。

Rina Sawayama - Bad Friend 和訳

通常、歌詞の内容を理解するのに、ミュージックビデオの映像やストーリーを参考にしている。この『Bad Friend』については、ミュージックビデオが妨げになった。

Rina Sawayama - Bad Friend

Rina Sawayamaが演じている大人しそうなサラリーマン側の心情を歌っていると思うじゃないですか。堪忍袋の緒が切れて逆上したことを、「私は悪い友達」と言っているのか、だとすると「こういうのが苦手だったら、手を挙げて」ってどういう意味なんだろう?と混乱していた。実は、Rina Sawayamaが演じている方ではなく、空気を読まず遠慮のない隣の男性の立場で、歌詞が書かれている。わかりにくいよ。『STFU!』でも、内心ははらわたが煮えくり返りながらも、言い返せない日本人を演じていたから、そうだと思うじゃない。

イギリス人からすると、日本人ぽいのかもしれないが、日本人からするとやはり西洋人。歌詞には、卒業旅行に来た東京で、Sophia Coppola監督『Lost in Translation』に出てくるカラオケボックスに行き、酔っぱらって大騒ぎし店を追い出された思い出が書かれている。

彼女は『Tokyo Love Hotel』(アルバム『SAWAYAMA』収録曲で、東京のラブホテルについて書かれている)を、そこに住む人々を平等に扱うことなく、個人的な自己発見の手段として、日本を勝手に利用する西洋人観光客に対する批評として書きました。 しかし、それは彼女自身と彼女に染み付いた西洋人の視線に対する非常に微妙な批評でもあります。レコードの別の歌『Bad Friend』では、どうしようもないほど失敗した東京旅行について歌っています。この歌の焦点は悪化する(友人)関係ですが、酔っぱらって街の至る所でバーから追い出されたことを言及しています。「西洋人が東京に来てすばらしい時間を過ごす方法と、しかしながら、それが大変無礼になり得ることについて書きましたが、『Bad Friend』に戻ってみると、私はその人でした。私は西洋人の脳みそでそこへ行き、カラオケブースで泥酔し、裸になり、うっかり物を壊しても大丈夫だと考えていました。」と彼女は話します。

この記事の写真、西洋人がよくする"ゲイシャ"風白塗りに、おでこには扇子のペイントというのは、日本人にはかなり抵抗がある。日本文化を馬鹿にされている気がする。会って日本人だとわかると、空手やカンフーのしぐさをされたときのような嫌な感じ。これを受け入れられたということは、やっぱり完全に西洋人の視点なんだなと思った。日本文化好きを自称するRosalíaも、『CANDY』のミュージックビデオで、Sophia Coppola監督『Lost in Translation』をオマージュしていたけれど、日本人からするとどこに憧れるのかさっぱりわからない。
『Comme Des Garçons』の歌詞に、「Take you down like judo(柔道のようにお前を倒す)」とある。海外の人は「Rinaは日本人だから柔道なのね。」と解釈するのだろうけれど、正直に言うと、日本文化を都合よく使われているように感じる。例えば、ベルギー生まれ育ちのStromaeがアフリカ要素を取り入れていると、ルーツを大事に思ってフィーチャーしているんだなと好意的に受け止めてきたが、ルワンダの人はどう感じているのだろうと今回初めて考えた。私は様々な国の言語や固有の文化に興味があって、音楽を通して消費しているけれど、知って理解を深めることに問題はないが、期待したり消費するやり方は気を付けようと思った。
海外のミュージックビデオに日本要素が取り入れられていると、微笑ましいときと、馬鹿にされたような嫌な気持ちになるときと両方ある。その基準は、どれだけ日本文化が好きか、愛があるかだと思う。多少間違っていても、大好きでかっこいいと思って取り入れているのが伝わると許せるし、アニメなど日本人の私より詳しいオタク語りは、微笑ましい。

批判していた西洋人的意識であったことに自ら気付き、受け止めることができるのがRina Sawayama。彼女の歌詞はメッセージ性がしっかりしていて面白いし、メロディが良いので順番に聴いているところだ。

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