音楽を発掘し広めるのは誰だ

隠れた逸材の紹介は、音楽メディアの役割?

 音楽誌が丁寧に紹介しても見向きもしないのに、好きなバンドマンやアイドルが説明もなくツイートしただけで、めっちゃ聴かれる。「すてきな曲ですね。」とかリプされたりしてね。そりゃ、音楽誌の人はやってられんと思うわ。

GrammyのBest New Artistにノミネートされて、パフォーマンスまでしてるのに、Rosalíaに興味持ってる日本人なんてほぼいない。日本はフラメンコ愛好者は多いのに。紹介するだけでは聴かれなくて、誰がお薦めしているか。

ブログ3年やってよくわかったけど、アクセス数だって結局、誰がシェアしてくれたか次第だもん。もちろん内容を頑張っていたから、それを評価して頂いたとは思うけど。当たり前のことしか言ってない有名人のポエムみたいなツイートが、有難がられてたりするでしょう。何を言ってるかではなく、誰が言ってるか。どんな曲かではなく誰の曲か。「音楽誌編集者が選ぶ」だと弱くて、「人気ミュージシャンが選ぶ生涯の愛聴盤」くらいじゃないとダメなんでしょう。大変だわ。

例の件でエゴサーしてたとき、音楽はアジカンしか聴かないっていう人がいた。冗談かと思ったら、本当にそうみたいで。逆に、音楽聴かない人をファンにするアジカンはすごいけど。

だからこそ、影響力のある人気アーティストがフックアップすべきなんですよ。

音楽メディアに、無名アーティストを発掘しろとは思わないし、無理だと思ってるけど、火が付き始めてるのに特集しなかったり、トレンドの後追いはカッコ悪いと思う。月刊誌の意味ないし、単なる当時のトレンドの記録本になっちゃう。

音楽メディアは人気アーティストを特集するだけでなく、時代を先取りトレンドやアーティストを紹介してきたと思う。パソコン音楽クラブと長谷川白紙、ちょうど売れていく3年を見ていたが、人気が安定するまで、メディアは取り上げてくれなかった。シティポップやVaporwave、Billie EilishやNight Tempoも取り上げるのが遅くて、だいたいいつも今更感。

日本の音楽メディア、電算機が見ている景色 - 電子計算機舞踏音楽

曲じゃなく“人”につく

高橋:日本人の音楽視聴の傾向として、「好きなアーティストの曲を繰り返し聴く」というものがあります。

日本人は「曲じゃなく“人”につく」。自分が好きなアーティストの曲しか聴かない傾向にあり、ディスカバリーへの興味が低い。

【西田宗千佳のRandomTracking】日本の音楽サブスク現状、ブレイクへの秘策はあるのか。LINE MUSIC高橋COOに聞く - AV Watch

日本人だけじゃないけどね。海外のチャート見たってそうだよ。既に知名度のあるアーティストの新譜がチャートに並んでる。
某DJが深読みして絶賛してたけど、Floating Pointsでなく日本人が同じDJしても、ほんまにそんなに褒める?「僕の大好きなレコード、全部かけちゃお。」みたいな感じで、そんなに構成とかこだわってないと思うけどな。
Floating Points Live From #DJMagHQ ADE Special at Claire

Floating Points - Live At Kewl, Tokyo - 23rd December 2019

Motor City Drum Ensembleも、ディスコっぽいのかける昔のvinyl DJはいいけど、Worldwide FMでのDanilo Plessowの選曲はなんてことなくて、つまらなくて聞くのやめた。Danilo Plessowだって、やっぱりあのドキュメンタリーの影響が大きいんじゃない?
Motor City Drum Ensemble Boiler Room x Dekmantel Festival DJ Set

音楽好きが多いと思われるDJだって、誰がプレイするかが大事で、中身なんてほとんど誰も評価してない。名前で聴いてる。作った本人が自分の曲かけるところで盛り上がる。つまんないよ。

ラジオ

少なくとも3曲に1曲は、みんながよく知っている曲をかけなければいけないというのが鉄則なんです。そうでなければリスナーに逃げられてしまう

まだラジオは音楽の媒介者であり続けられるのか? - otocoto

 ご苦労や葛藤は察するに余りあるけれど、でもそこはロンドンまで行って、ご自分の目でロンドンのラジオを視察されたんだから、ご自分の責任範囲に留めず、スポンサーはいても独立性を確保してやってるラジオのことも、忘れず伝え続けて頂きたいな。

ラジオ局とプログラムがいかに自由で独立してるかを大切にしていて、そこにレーベルとかからの手は入る余地がない。だからこそ信頼されてる。
一方でクオリティは求められて熾烈な競争もあって、だからこそシーンから必要とされると
ってところも含めて、広告出稿的なものをベースにするやり方とか、レコード会社や事務所との馴れ合いとかじゃなくて、選曲もして、話もできるラジオDJがこだわりを持って自由に、でも数字は意識しつつ、強い意志でやれる環境があるのは大きいなと。なんだかんだで日本だと既存のシステムが障害になるね
単純にラジオみたいなメディアとレコード会社を含めた資本との関係がとても良くて「買ってコントロールしようとしない」ことと「買われてコントロールされない」ことがあるけど、自由と主体性を守ることがシーンのためにプラスなことがお互いにわかってて、いい共犯関係があることが美しかった。

オーディション番組

最近、しつこく書いてる話。海外には人気の音楽オーディション番組があって、人気アーティストは大体そこを通ってる。国によっては、賄賂で審査員を買収できたりするらしいけど。勝ち上がったアーティストのパフォーマンスと、審査員の講評が聞ける。テレビやネットで放送されているので、審査員もあまり偏った不公平なことはできない。一般の視聴者も音楽の評価の仕方や、審査員というプロの音楽の聴き方を知れる。番組を見た人がファンになるし、若い子がオーディションを目指して頑張ることができる。日本はアイドルグループのオーディションが多かったように思う。ファン投票だと、異性を意識したような上目遣いのセルフィーをネットに上げないといけなくなるでしょう。

ネットレーベル

長谷川白紙はMaltine Recordsより先にFOGPAKから、Mom(マム)はAno(t)raksから出している。新人発掘をできていたのは、ネットレーベルじゃないかと。個人が直接ストリーミングに出せるようになったのは利点だけど、ネットレーベルというキュレーションやブランディングができなくなってしまったんだなと最近感じている。

カニカやKiddishを知ったきっかけである、Ano(t)raksの最新のプレイリストが良かった。まだこんな可能性を感じさせる音楽が、SoundCloudにあるんだな。私が求めているのは、こういうこと。でもさ、誰も注目してないんだよ。新しい音楽知りたいんじゃなくて、単に自分らのこと取り上げろってことかと思っちゃう。

槇原敬之かと思ったわ。

Ano(t)raksのDai Ogasawaraさんの新人発掘能力は、マネタライズしないともったいないなと思っていたら、何か始まっているようで良かった。得意な人がその才能を発揮できて、仕事にできるのは理想。

音楽レーベルAno(t)raksが、次世代型レーベル・エージェントとして再始動。サブミッションメディア「tone」を運営するグリッジ株式会社に参画。|グリッジ株式会社のプレスリリース

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