Rosalía Motomami World Tour 地元スペインで始まる

RosalíaのMotomamiツアーが、地元スペインから始まっている。

Rosalíaの地元バルセロナでのセットリストを見てみると、30曲＋アンコール3曲。ハードな振り付けのダンス曲が何曲もあって、もちろん口パクではなく、当たり前のように歌も上手い。体力も気力も化け物。

Motomami World Tour　Palau Sant Jordi, Barcelona
ROSALÍA Concert Setlist at Palau Sant Jordi, Barcelona on July 24, 2022 | setlist.fm
1曲目は、ニーハオ！！！！の『MATSURI-SHAKE』

『HENTAI』はピアノ弾き語り、『Dolerme』はギターを弾きながらだが、主にRosalíaの歌とダンサーを含めたダンスパフォーマンスが堪能できるショーとなっている。バンドの生演奏がないのでライブではないと言う人もいたようだが、そもそも打ち込みで作っているし、ボーカルにエフェクトが入りまくっているアルバムのツアーなのだから、そうやって作ったものを生歌と生の身体表現でやってみせていることで、十分ライブである。

DE AQUÍ NO SALES / BULERÍAS

『Motomami』収録の『BULERÍAS』を、前作アルバム『El Mal Querer』の『DE AQUÍ NO SALES』でサンドイッチしている。『DE AQUÍ NO SALES』はバイクのエンジンをふかす音ががっつり入っているフラメンコ曲で、ミュージックビデオでも大型バイクに乗ったり、大きなエンジンの傍らで真っ黒なガソリン（に似せた液体）に浸かっている。『Motomami』の鍵となるモチーフ「バイク」要素が、既に前作でふんだんに盛り込まれている。『Motomami』は革新的で、ネオフラメンコが中心ではないが、フラメンコ曲『BULERÍAS』の歌の中では、「ベルサーチのジャージを着ていたって自分はフラメンコ歌手である」と宣言している。自分のフラメンコ曲を、まるでDJのように繋げるやり方、そして、個人的に両アルバムの中でもっとも好きな曲が1つの演目に仕上がっていることに感動して震えた。

Linda

Tokischaとのコラボ曲。とにかく振り付けが良い。フラメンコでもレゲトンでもHIPHOPでもK-POPでもなく、Rosalíaにあっている。Rosalíaが歌わないTokischaのパートは、ダンスをしっかりと見せてくれる。激しい動きで、三つ編みがムチのようにしなる。コロナ前よりダンスもスキルアップしているのでは。この曲の見せ場の1つ、ラップパートもばっちりきめてる。

Perdóname

La Factoria, Eddy Lover『Perdoname』（2009年）のカバー。この原曲は、男性が高めのバラードを歌い、女性が低めの声でラップするという少し珍しい曲。Rosalíaは、男性パートをカバーしている。Rosalíaの声質や歌い方にとてもよく合っていて、オルガン風のシンセアレンジも彼女の歌を上手く引き立てている。配信リリースしてほしい。

HENTAI

口笛から始まり、ピアノ弾き語り。他の曲もだが、観客は歌詞を覚えていて、『HENTAI』を大合唱。『HENTAI』という言葉が浄化されていくよう。

Milionària

地元バルセロナで、カタルーニャ語で書かれた『Milionària』をアカペラで披露。SNSで政治批判的なことを書いたことを機に、彼女自身が大金持ちであるとか、歌詞にカタルーニャ語ではなくスペイン語が混ざっているとか、色々批判を受けた経緯がある曲。パンデミックもあり、ようやくこの曲を地元のファンと一緒に歌えた姿に胸を打たれる。

DINERO Y LIBERTAD（お金と自由）

リリース前の新曲とのこと。コラボも新しい試みもいいのだけど、こういうRosalíaの歌をしっかり堪能できる曲が好きだ。最後、両膝をつき海老反り状態でこれだけ声が出せるって、Rosalíaの体は一体どうなっているんだ。

G3N15

歌が上手いのは当然として、パイプオルガンの音に、Rosalíaの体が十字架になるイントロの演出、Rosalíaを彫像のように見せるフォーメーションと上からの照明、神々しく美しい。

Rosalíaはこれからも進化し続けること間違いないと思うけれど、体力面では今がピークの気がするし、これだけ日本要素を盛り込んだアルバムのツアーが日本でないなんてね。世界ツアーはまだ序盤で、コンサートの中身も毎回少しずつ変えているようなので、ファンやコラボ相手もたくさんいる南米のツアーで何をやるのか楽しみ。