DJ HASEBE ROOM VACATION おじさんの背中

先日紹介したSIS.LINC『Eye Candy』がDJ HASEBEさんという方のプロデュースだと分かり、ちょうど配信があったので聴いてみた。

ROOM VACATION [5-2] Revenge [第2部]

FNCY - New Days
BASI - 愛のままに feat.唾奇
OLD NICK aka DJ HASEBE Feat.やけのはら - Flash & Light, Magic & Nihgt
露崎春女 - 誰でもなくて(DJ HASEBE remix)
★Folder - Now And Forever (DJ HASEBE REMIX)
織田裕二 - Love Somebody (DJ Hasebe remix)
m-flo - Been So Long
★ORITO Feat.K Dub Shine - Dj.Feelgood
倖田來未 - 今すぐ欲しい (DJ Hasebe edit)
★Can'no - Hikari (DJ HASEBE Remix)
BENI - もう二度と・・・DJ HASEBE REMIX
BONNIE PINK - Take Me In (DJ HASEBE リミックス)
童子-T - Heaven feat.BENI
早見沙織 - yoso
Yogee New Waves - Climax Night
きのこ帝国 - クロノスタシス
PUSHIM×韻シスト - Dear
トレモノ - Orange's Star
illmore - Nonfiction feat. JIVA Nel MONDO & kiki vivi lily
pinoko - after pills
Rickie-G - ラブソウル
唾奇× Sweet William - Made my day
G.RINA- 黄昏のメモリーレーン(feat.やけのはら)
土岐麻子 - ファンタジア
古内東子 - サヨナラアイシテタヒト
藤井風 - もうええわ
SIRUP - LOOP
OLD NICK aka DJ HASEBE - 夕凪 feat.Furukawa Sarah
[第1部]
★DJ HASEBE - Love Can't Wait Feat. LISA
★MIHIRO 〜マイロ〜 - Find My Love
(★今回新しく知って、特に気に入った曲)

古い曲から新しい曲まで、自然な流れで馴染んでいる。別のDJミックスも聴いたが、新しい曲や20代のアーティストの曲もよくご存じ。

気になる曲が次々とかかって、曲検索しまくり。DJ HASEBEさんって、私が好きな曲やアーティストのremixを、こんなに手掛けている人だったのね。「露崎春女、みんな知らんでしょ。」ってブログに書いたばかりなのに、かけてくれるDJおるやん!好きなアーティストの知らない曲をかけるDJ、しかもそれが良かったら、イチコロですわ。いくら一生懸命好きな音楽のことをブログに書いたって、結局聴いてもらうのが一番。かけてくれるDJがいないなら、自分でやるしかないのかなと考えていたところだった。露崎春女をかけるDJなんて、一生出会わないと思っていたのに、こんなにすぐ見つかるなんて。私のブログ読んで下さったのかと思ってしまったわ。

ORITO Feat.K Dub Shine - Dj.Feelgood (1999年)
DJのことを歌ったソウルナンバー。この曲をかけながら、カメラに向かって、こうお話された。
「ORITO君って、もう亡くなっちゃったんですけど、すごい最高なシンガーだったんで、みなさん覚えておいて下さい。たまにかけますね。」
流行っている曲で頼まれたのでもないけれど、良い曲だから聴いてもらいたくてかける。曲への向き合い方、扱い方、視聴者への届け方に、優しさを感じた。「たまにかけますね。」って、「またかけるね。」って意味でしょう。盛り上がる曲、鉄板曲、様々なDJスタイルがあるべきだが、新旧関係なく、愛しみをもって音楽を扱うDJが好きだ。1曲1曲、そこでかける意味がある。

藤井風 - もうええわ
藤井風、嫌いなのに。流れでええ感じに聴こえて、つい検索してしまったじゃないか。これがDJの腕よな。嫌いだと思っていた食材も、おいしいと言わせる。きのこ帝国なんかも、自分では絶対最初から最後まで聴かないもの。

DJ HASEBE - Love Can't Wait Feat. LISA(2001年)
LISAのこんな曲あったの!? m-floの未発表曲を聴いた気分。初期のm-floらしいメロディだし、SUGARSOUL色があると言えばそう。中古のCD安く売ってるから買ってもいいけど、国内外で聴かれてほしいからストリーミング配信もしてほしい。

興味を持ったので、いくつかインタビューも読んでみた。

今、パッと浮かぶのはNE-YOとか。今振り返ってみると、90年代の終わりから2000年代に掛けて、デズリーやTLCとか、チャート的にもR&Bがすごく強かった時代だなと思う。ヒップホップのクラブって、最初は本当にヒップホップしか掛かってなくて、そこでR&Bとかをアリにしたのが、HASEBEさんですよね。

HASEBE:「HONEY DIP」はアメリカのヒップホップ・カルチャー寄りになりすぎないバランス感を意識してたから。女の子も楽しめるイベント、という感じで、歌モノを多く掛けたりもして。

例えばエターナルとか、普通にR&Bの良曲なのに、ヒップホップのクラブでは掛からない。でも、そこまでが掛けるのが「Apple Pie」だったと思います。

−−「Apple Pie」を始めた頃の手応えはどうでしたか?

KOMORI:ヒップホップのDJたちからは賛否両論あったみたい。

HASEBE:へー!

−−確かに2000年くらいって、一番ヒップホップDJの人たちもこだわりを持っていたというか、メイン・タイムでR&Bの曲を掛けること自体に抵抗を感じていたような人が多かったような…。

KOMORI:なんでR&B掛けるんだよ、みたいな(笑)。

 DJ HASEBE × DJ KOMORI スペシャル対談 ~平成のDJ、クラブ、音楽を語り尽くす | Special | Billboard JAPAN

やっぱりなー。ヒップホップ界隈、昔からそんな感じか。歌モノは女の聴く音楽っていう風潮があるよね。

『そう。受けていた仕事もほとんどお断りさせてもらって。「EDMはかけません、自分の好きな癖の強い曲しかかけない面倒くさいDJです」って開き直ってみたんですよ。もう一度、自分の個性を真剣に探すことにしたんです。自分はどんな音楽を好きなのか、なんで好きなのか、どんなサウンドなら自分らしいのか。一度、全部壊して、再構築しなきゃって。あの時期は、本当に仕事がなかったですよ(笑)』

『色々やってきたけど、今思うのは、過去を全部捨てて新しく生まれ変わるなんてできないってことです。過去の自分も認めながら、今の自分をアップデートしていくこと。今の自分が持っているものを活かしながら、次の一手を考えたほうがいい』

Dare the Unknown × DJ HASEBE Style | PALLADIUM

今ある仕事を断るのって勇気が要る。でも過去の栄光や安定した現状を捨て、変化しないと前には進めない。DJ HASEBEさんは、配信もチャレンジされているし、若い日本のアーティストの曲を見つけ出して、DJで魅力的にかけ、コラボもされている。

 DJがそんなこと言っちゃうの?全然いなくはないでしょ。それを探して見つけて、良さが幅広く伝わるよう魅力的にかけるのがDJなんじゃないの?音楽より、お酒飲んで仲間と騒ぐ系のパーティの方なんだろうけれど。

 同世代のDJ AKiさんは、横須賀のご実家、木造の2階建一軒家の押入れから、グリーンバックでVJ、3カメを切り替えながら、お一人でDJ配信されている。

 コロナ禍、日頃偉そうなこと言ってる人に限って、変わろうともしないし、頼りにならない。何でも風営法のせいにしてきた人たちは、コロナのせいにするんだろうなと思っていたけれど、その通りだった。逆に、現場がなくなって配信が増えて、コロナ流行がなければ出会えなかったDJを見つけることもできた。結果が必ずしも伴わなかったとしても、過去の栄光に囚われず、一から新しいことを始め、進んでいくおじさんDJはかっこいい。

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