実家が太いアーティスト 生まれ持った格差
生まれ持った格差
どの家に生まれるかを選ぶことはできない。単に金銭的な格差により、楽器や機材を買ってもらえるかどうかだけでなく、様々な文化的な機会において差がつく。
すべての人に見て貰いたいんだけど、実家が太いとは「これ」なんですよ。
— まっつん2 (@mazda2desu) 2018年9月16日
これが埋められない生まれからくる文化格差。https://t.co/Wxovfjphfo
Billie Eilishは学校へ通わず、両親から教育を受けた。親に教養があって成り立つ。
MaggieとPatrickは、子供たちをホームスクーリング(家庭内教育)するため、自分たちのキャリアを中断している(彼の言葉によると)「ほぼ失業中の」俳優でした。彼らには正式な(教育)カリキュラムはありませんでした。その代わりに、彼らはEilishとFinneasに、その日や週に興味のあるものは何でも探求させました。アートクラス・美術館・カリフォルニア工科大学の科学プログラム。Patrickは言います。「私たちの全体に共通するスタンスは、"一般的な知識が全て"です。なぜ空が青いかを知る必要がありますが、膨大な量の決して使わない奥義を覚える必要はありません。」 (Eilishは、15歳で高校卒業程度認定試験に合格しました。)
実家が太いと
<実家が太い>
・楽器や機材を買ってもらえる
・(音楽・文化)教育を受けられる
・バイトをする必要がなく、時間がある
・芸大音大合格専門の教育(謝礼が高い)を受けられ、合格しやすい
・芸大や音大という進路が選択できる
(一般市民は就職率が高く、給与が高い仕事に就ける学科を選ぶ)
・奨学金を返したり、親に仕送りをするために仕事に就かなくてもいい
(自活されできていればいい)
・金持ちの子どもが通う学校は、友達も金持ちで芸術にも理解がある
・音楽やアートの仕事が上手くいかなくなっても、転がり込む家がある
<親の教養>
・親自身も文化の価値を理解し愛好している
(親が楽器をやっていれば、気軽にさわってみれる。)
・子どもの頃から良質な文化を吸収できる
(コンサートや美術館に連れて行ってくれる。親が本やレコードを買い与える。)
・子供がアーティストになりたいと思った時、適切なアドバイスができる
(教育が受けられる学校、技術習得の仕方など)
・親が音楽を含む文化活動に理解があり、協力的
(反対されない、活動しやすい)
毎月、何十人もの新しいアーティストを知って、プロフィールも調べているが、親が音楽や芸術関係者、学歴があって生活にゆとりのある家庭がほとんど。サラリーマンや労働者家庭の子は少ない。だから、ゲットー生まれがアピールになる。
Black Lives Matterから学んだことの1つは、白人として生まれたことはそれだけで特権であるということ。生まれる家庭を選ぶことはできない。親が富豪であろうと、犯罪者であろうと、子どもは関係ない。けれど、生まれながらにして格差は確実に存在するのだから、恵まれた環境で圧倒的優位であった場合は、その特権を認めるべき。また、その格差を埋めるための支援がなされるべき。だから、アファーマティブ・アクション(積極的是正措置)が必要だとわかる。
実家が太い、業界とのパイプ・コネ
インディーズのアーティストやDJの数は多いから、親が有名人や業界人であれば覚えてもらい易いことだけでも、アドバンテージになる。お金ではなく、業界とのパイプ・コネクションの太さ。親がDJなら、家に大量にレコードとタンテがある。確か、音楽批評家やライターの方も、実家が太かったり、貧乏な場合でも親族が文化人というような方が多いとか。
Daft Punk
Thomas Bangalterの父、Daniel Vangardeは、世界的なヒット曲を持つフランスの音楽プロデューサー。
今、自身が黒人ミュージシャンである私は、こういった人々の立場に身を置くことを試みています。 あなたの音楽が2人のフランス人の金持ちの子供たちの同意なしに非常に明らかにサンプリングされ、その曲が国際的なヒットとなり、ロイヤルティから分け前を得られなかったらどう思いますか? はい、それは私が想像したことですが...あなたは腹を立てたでしょう! Daft Punkの特徴は、アルバム全体(Discovery)でそれを行ったということです。そうです、本当に議論をする必要がありました。
King Princess
高祖父(ひいひいおじいちゃん)のIsidor Strausは、アメリカの老舗百貨店Macy's(日本だと三越みたいな)のオーナー。世界的な百貨店に育て上げ、アメリカ下院議員も務めたが、タイタニック号の沈没事故で妻と共に死亡した。
父親は、レコーディングエンジニアで、King Princessは子供の頃、父のレコーディングスタジオで多くの時間を過ごし、楽器や音楽制作を学んだ。
Ariana Grande (アリアナ・グランデ)
母親のJoan Grandeは、海兵隊と海軍の通信機器を製造する会社を所有するCEO。
Ariana Grande: "Shadow of a Doubt" (2013 Cover Story) | Complex
Taylor Swift
父親はメリルリンチの株式ブローカー、母親は投資信託のマーケティングの重役。
Who Is Taylor Swift's Mom Andrea Swift?
三原勇希
曾祖父が、大阪音楽大学創立者 永井幸次。
15:41~「親がピアノの先生で、おばあちゃんもピアノの先生で、その家系がみんなピアノの関係の人なんです。ひいひいおじいちゃんが、音大の創立者で。(中略)大阪音大の創立者なんです。銅像があるんです。」
ラブリーサマーちゃん
お祖父様が作曲家のいずみたくさん(代表作に“見上げてごらん夜の星を”“夜明けのスキャット”“いい湯だな”など)
特権の正しい使い方。いくら人気があってメジャー所属でも、何の後ろ盾もない若い女性アーティストが、利害関係のある仕事の関係者をきちんと批判するのは難しいと思う。
こんなインタビューで食ってけてるんだ😳ってくらいありえないインタビュー受けた いつも、どんなことが起こっても「向こうの事情があるんだろうな」って思うけど、いやこれは完全に仕事する気がない人の仕事じゃんって思った
— ラブリーサマーちゃん (@imaizumi_aika) 2020年8月12日
インタビューじゃなくて曲作るのが本業な私だって、ライターさんの名前事前に検索して、過去の記事、文章、ツイート読んだりして、人間対人間の1時間の会話を如何に面白い時間にできるか努力してるのに、私より2回りも歳取ってるライター本業の人がクソ舐めた態度で仕事してるの見ると本当悲しくなるよ
— ラブリーサマーちゃん (@imaizumi_aika) 2020年8月24日
彼女は、クマ財団の第2期生。クマ財団奨学金(年間120万円、返済義務無し、使い道自由)は貧乏学生を支援する制度ではなく、貧富に関係なく才能ある人がもらえる給付金だとしても、メジャーレーベルに所属して売れている、実家も貧しくないアーティストがもらっていることには複雑だった。120万円の奨学金を得て、次の年に落ちたからと文句を言っていて、なんだかな思った。(そういう芸風のようだけど。)
高橋健太郎
祖父が、満州国参議府参議だった高橋康順。
康順は父方の祖父です。満州商工省の岸信介の前任者で、祖父が退官する時に、岸を呼んだようです。
— kentarotakahashi (@kentarotakahash) 2020年1月5日
ああ、そうなんですか。高橋康順氏は、満州国参議府副議長の要職にあった方ですね。ご縁戚の方なんでしょうか。余談ですが、武部六蔵氏の前任者星野直樹は、A級戦犯で起訴の後、解放されダイヤモンド社会長となります。坪内喜雄(坪内祐三の父君)は、彼の部下になります。
— 梅田 芳(a.k.a尾城夏人) (@oshironatto) 2020年1月5日
Leo Gabriel
父親が、United Future OrganizationのRaphael Sebbag。
横井錬
父親が、Zeebra。
二世に対する周りの問題
本人ではなく周りの問題として、血筋に価値を感じたり、本人の資質や環境によるものでも二世であることに根拠を見出し納得する人は一定数存在する。「やっぱり、〇〇の血を受け継いでいるとか、古い音楽をよく知っている若者は大勢いるが、二世に対しては「(お父さんの影響で)さすが古い曲もよく知ってるね。」と褒め、自分との繋がりを感じたがる。よくわからない新しいものではなく、多くの人は、既に自分が知っているものに親しみを感じ、それを好み選んでしまう。
傍から見ると、二世は明らかにかわいがられ、優遇されているが、本人は気付いてないように見える。特に年功序列が強い社会においては、目立つ。
強者が使えるカード
コロナ禍において、知名度があれば、困窮状況を訴え、クラウドファンディングやBamdcampで支援を集められたが、それは強者が使えるカード。コロナ禍でなくても、クラブのエントリー3000円、600円のドリンク代なんか払えず、クラブに遊びに行けない人はたくさんいる。自分たちの生活が下がったときに、ずっとそのレベルにいた人のことをことを気にかけず、困窮を訴え、知名度で支援を集めていることを、よく思えなかった。
DJの仕事がない間、慣れない別の仕事をせざるを得なかった人は大変だったと思うけれど、一般の人は、一時的ではなく一生、警備・データ入力・コンビニ・Uber Eatsでも何でもやりながら生きていく。コロナ禍に限らず、常に、多くのミュージシャンは、バイトに時間をとられながら、サラリーマンDJはほとんどの時間を仕事に奪われながら。
サラリーマン ミュージシャン/DJ
コロナ禍始まって即「来月の家賃が払えません。」と訴えるDJ。困ったときは、無理せず助けを求めることは必要。ただ、来月の家賃も払えないような宵越しの金を持たない生活を選んできたのはご自身なのでは。サラリーマンは、失業したり病気で働けなくなったときのために、毎月何十年間も給与から保険料を差し引かれ続けている。誰しもが、SNSで発信したら注目されて、ブッキングされたり、Bandcampで皆が買ってもらえるわけではない。
常日頃から、実力があって努力を重ねているにもかかわらず、仕事に追われ、限られた時間の中で音楽制作やDJを続けている人がいる。それがどれほど大変なことか。その人たちのことや彼らの苦労を、気にかけたことがあるのだろうか、想像してみたことがあるのだろうか。外タレが来日できなくなり、日本人DJがブッキングされている。自分たちが優先的にブッキングされるようになって、今まで日の目を見てこなかった他のDJもブッキングしてもらえるよう働きかけたりしているのだろうか。(特に誰かのことを指しているのではないが、)困窮状況を訴求し、自分たちはブッキングされてラッキーで終わっていないだろうか。