クマ財団のアーティスト支援

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クマ財団 2期生のエントリーが始まった。年120万円、給付型なので返済不要。応募資格は、2018年4月時点で25歳以下の学生であることで、藝大生に限定されていない。芸術活動の支援制度について調べてみたり、藝大に遊びに行ったときに奨学金募集のパンフレットをチェックしたりしたが、人数も非常に少なく、特定のアカデミックな分野に限られているという印象だった。その点、クマ財団の1期生には、DJやシンガーソングライターもいて、幅広い。大学で芸術を専攻しなていない、クラブミュージックを作っているtrack makerも応募できる数少ない奨学金制度だ。

応募資格
https://kuma-foundation.org/guideline/
次のすべてに該当する者とします。
(1)2018年4月に、高専4年生以上及び専攻科、専門学校、短期大学、4年制大学、大学院(以下「大学」と記載)に在籍する学生
(2)2018年4月1日現在で25歳以下の者
(3)クリエイター(オリジナルの映画、ゲーム、作曲家、画家、作家、漫画家、映像作家、技術、デジタルコンテンツやサービス等の作り手)を目指し創作活動をしている者
(4)ものづくりに対して情熱がある者
(5)選考のため、自作の作品を提出可能な者

クリエイターの定義
https://kuma-foundation.org/creator/

奨学金の使い道例、奨学金以外の支援内容例
https://kuma-foundation.org/curriculum/
奨学金の活用例
・機材や材料の購入費用
・創作/発表スペースのレンタル費用
・コンペ出展費用
・展示会や勉強会の参加費用
・取材費
・創作活動に集中するための生活費
サポート例
・メンター、クリエイター、企業の紹介
スキルアップ支援
・創作/発表スペースの提供
・資料貸し出し・情報提供
・奨学生同士の交流やプロジェクト活動・グループ展のサポート


奨学生同士の交流の機会があるのが良いと思う。電子音楽の中でも、ジャンルや地域でコミュニティがとても細かく分かれている。コミュニティ内での情報伝達スピードは速く関係性も密だが、内と外との差が大きくみえる。視野が狭いように感じることもある。相撲業界ではないけれど、限られたコミュニティの中にいると、別の考え方があるということに気が付けない。時に自分たちの常識が、外の人にとっては非常識なこともある。今年、絵本の無料公開が議論になったが、音楽なんて何年も前から無料で聴くことができていたりとか、例えばそういうこと。クリエイターという共通項を持ちながら、別の分野や地域の人と交流を持つことで、思いもよらない考え方に触れて発見があるかもしれない。そして、単純に楽しそうだ。


クマ財団の特徴 まとめ
①給付型奨学金(返済不要)
②幅広い芸術ジャンルを支援
奨学金の使い道が柔軟(創作活動に集中するための生活費にも)
奨学金以外のサポート(制作スペースの提供等)
⑤他分野のクリエーターとの交流


昨年の応募者は約2740人、約55倍の倍率ではあるものの、まだ2期目で認知度はそれほど高くない。たとえ、奨学金が受けられなくとも、エントリーすることに意味があると思う。SNSを用いたセルフブランディング、セルフプロモーションが上手いtrack makerは少なくない。でもプロフィールはなぜか、下手だったり、内容がほとんど無かったりする。自分で書くのが恥ずかしいんだろうけど、どの作品が一番評価されていて、自分の音楽にしかない強みや個性は何なのかも、実は自身でも把握できていなかったりしないだろうか。自分が一番強みだと思っていることと、人から評価されている点が、大きくずれたりしてないだろうか。就活のエントリーシートを書かなければいけないとき、私は苦痛でしかなかった。我々日本人、謙遜を美徳として育てられてきたのに、いきなり自己アピールしろと言われても、良いところなんて一つも思い浮かばない。どうしても出てこなくて、正直に言ってくれる人にお願いして教えてもらった。自分では、そんなの当たり前だと思うことが、他人からは評価されていたりした。その時は受け入れられなかったけど、無理やり自己評価せざるを得ない状況が続いて、徐々に受け入れることができた。そうすると、今度は自分の強みをどう生かすかを考えることができる。村上隆も、著書の中で「芸術作品の価値は発言によって高めるべき」としている。これは長くなるので、また別の機会に。

こういう奨学金がたくさんできて、素敵な作品がたくさん生み出されますように。

 

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