YouTube Music Charts 地球で踊る

GrammyBillboardのチャート上位の曲はつまらなくて洋楽離れしていたが、Coachella 2019の配信でお気に入りの音楽にたくさん出会えた。Coachellaは南極大陸以外の全てからブッキングしたそうで、世界にはRosalíaのようなミュージシャンがまだまだいるんじゃないかと期待が持てる。2019年上期最も視聴されたYouTubeのMVトップ10の半分はラテン・ポップ。各国で流行ってる音楽が知りたくなった。

YouTube Musicはグローバルと国毎のMVのチャートを公開している。これが面白い。インターネットにより国の垣根は下がり、西洋化され均一傾向にあるかと考えていたが、驚くほど国毎の好みや文化の色がくっきり出ている。音楽だけではなく動画のチャートだからということもあるが、みんなダンスが大好き。洋楽やダンスが極端に少ない日本のチャートは特異な存在。自国独自の音楽が豊かとも言えるし、他国文化の流入が少ない鎖国状態とも言える。MVの良い点は、衣装・メイク・街並み・ダンスなど言語がわからなくとも楽しめるところ。おそらく恋愛の話だろうとかストーリーもなんとなくわかる。

ロシア
ヨーロッパは小国が多いからグローバルチャートとほぼ同じだったりするけど、ロシアはロシア語の曲がヒットチャート上位を占める。ダンスミュージックが多い。LITTLE BIGはヒット曲もたくさんあるコミックバンドならぬコミックエレクトロダンスミュージックユニット?コント仕立ての凝ったMVが多い。
LITTLE BIG - I'M OK
泥酔ソング。乾杯の音、グラスが割れる音、くしゃみをサンプルしているのも面白い。ロシアは確かアル中率が高いんだよね。泥酔して車を運転する別のMVも3位にチャートインしていた。

LITTLE BIG - LollyBomb
見た通りだが「金正恩」でタグ付けまでしてあり堂々としたもの。日本がやったらミサイル飛んできそうだが、ロシアには文句言われへんのやね。力関係。

フランス
Aya Nakamuraはアフリカのマリ生まれでフランス育ち。Nakamuraという名前だが全く日本は関係がない。昔アフリカで日本の名前を付けるのが流行ってると聞いたことあるような。お尻を放り出してプルプルさせるダンスや退廃的なMVは苦手なので、こういった豪華な衣装や建物が美しい映像は好き。フランス語の発音は好きではなかったが、3周聴いたあたりでくせになってはまった。グローバルチャートでも上昇中。元フランス領でフランス語が公用語の国も多いからリスナーも多いのかも。
Aya Nakamura - Pookie

プエルトリコ
2019年上半期の1位。オリジナルは1992年のSnow - Informer。
Daddy Yankee & Snow - Con Calma

インド
ボリウッド映画のダンスシーンのようなMVがわんさか出てくる。MVに出てくる人の数が多い。歌も衣装もインドの色が濃い。国外にアピールするためにあえてインドっぽさを出しているのか、それとも出てしまうものなのか。日本・韓国・中国は西洋化されていて、国内で流行っているMVには民族音楽っぽさや衣装が出てこないが、アジアや中東のMVはその国のイメージ通りのMVも多くて驚く。
2019年上半期のグローバルチャート3位
Dhanush, Sai Pallavi - Rowdy Baby
数ある中で、リズムとコード進行、ダンスが一番気に入ったMV。来週上映される映画Jabariya Jodiの主題歌で、フルのMVを先出しというのも面白い。映画のPR効果は十分ありそう。
【追記】固有名詞がたくさん羅列されていて、どれが歌のタイトルなのか歌手なのかわからず困った。歌のタイトル「Khadke Glassy」、映画のタイトル「Jabariya Jodi」、映画の主演(MVで踊って口パクしてる人)Sidharth MとParineeti C、歌を歌ってる人Yo Yo Honey SinghとAshok MastieとJyotica Tangriの順で名前が並んでいる。インド映画ボリウッドでは口パクは一般的で、歌い手はplayback singerと呼ばれている。インド映画にとっては歌は重要な役割なので、こうやって名前もしっかり出るしリスペクトされているらしい。得意な人が分業するという考え方なのかな、合理的。映画上映の前にサントラが先に発売されるのも、音楽が重視され興行を左右するからとのこと。それだけお金もかけられるということにもなる。
Khadke Glassy - Jabariya Jodi |Sidharth M,Parineeti C| Yo Yo Honey Singh, Ashok M, Jyotica T|Tanishk

ベトナム
グローバルチャート76位。授業中居眠りをしてタイムスリップするミュージカル風MV。ダンスが見どころ。かなりお気に入り。
Hoàng Thuỳ Linh - Để Mị Nói Cho Mà Nghe

10年前人気女優だったHoàng Thuỳ Linhは被害に合い、一旦は表舞台からは影を潜める。復活を象徴するのが本作。彼女のインタビューはこちら。

ベトナムはBLACKPINKが流行っているようで、下は小学生くらいから踊ってみた動画がYouTubeにもたくさんある。この曲で踊る動画もいくつかあって、自国の音楽で踊れる曲が出てきたって感じなのかな。カメラワークが見どころ。大胆に寄ったり引いたり上下もするがなぜか酔わないし、動きと奥行きを感じられる。あとワンカット。細かいところまでダンスの流れが把握できてないと撮れない。ダンス動画が流行ると、こういう撮影の人材も育つということか。

タイ
グローバルチャート34位。バラードは好きではないが、こういう地味なのもチャートインできるという事例として。「チョープ・ベープ・ニー/ナムトゥーイ・サベーンビン」と読むそうです。外国語ができる日本人の方は、何でも日本語にして共有して下さる親切な人が多いから、日本語の情報がたくさんあって助かる。タイは性別が18あるんですね。トランスジェンダーの人らしいMVも多かった。

フィンランド
子供二人組ユニット。フィンランドの人口も話者も少ないから98万回再生で国内チャートインできる。
Eino ja Aapeli - Älä tule paha kesä

韓国
韓国のチャートに日本の曲が2曲。Twitterで検索してみたら熱心なファンがいらして、MVに韓国語の字幕つけさせてほしいとご本人にリプ送ってる方も。なんかバズったきっかけがあるんですかね。
神山 羊 - YELLOW

日本
Billboardオリコンのチャートでは見かけない音楽があるのが面白い。メロディはベタだけど(それがまたいいのかな)、ストーリーに共感する人が多いんだろうな。
┗|∵|┓ 月曜日の憂鬱 / 天月 feat.HoneyWorks

こうやってポチポチするだけで世界中のMVが見れるなんて良い時代だわ。国毎にはっきり傾向があるから、日本で売れているアーティストよりも、むしろ日本で評価されない人が自分の音楽がウケそうな国へのアプローチしてみたらいいと思う。実際、日本では全く評価されていないPowderさんやDaisuke Fujita(Meitei)さんはPitchforkで高く評価されているんだから。Daisuke Fujita(Meitei)さんはアーティスト活動を止めようと思っていたが、最後にBandcampに上げてから止めることにした。するとBandcampのアンビエントミュージックのベストに選ばれ、そこから仕事が来るようになったそうだ。(00:00:42あたりから)

Copyright © 電子計算機舞踏音楽 All Rights Reserved.