Victoria Hanna - (Torah) Orayta イスラエルのご婦人ラップ

Victoria Hannaは、イスラエルのSSW。家族はユダヤ教、エルサレムで生まれ育った。2015年にヘブライ語の文字をラップにしたミュージックビデオがバズり、知名度を上げる。
Victoria Hanna - The Aleph-bet song (Hosha'ana)

同年、Forbesで、最も影響力のある50人のイスラエル人女性の一人に選ばれている。
Israeli singer Victoria Hanna visits Slifka Center

今回紹介する『Orayta （トーラー）』、アラビックなメロディーと歌い方、民族音楽的な楽器の音とリズム、ヘブライ語独特の発音等が、西洋の音楽とは異なり、オリジナリティがあるのでとても気に入っている。痰を吐くときのような「カッ」みたいなヘブライ語の発音は面白い。日本とは、特に人の顔の描写が、異なるアニメーション、そして色使いも。
アニメーションになってるし、楽しげなラップだから、もうちょい軽い話かと思ったら、2千年前の古代、しかもユダヤ教の話だった。歴史嫌いで教養がないので、単語が出てくる度に検索、検索。

Victoria Hanna - Orayta （トーラー） // ויקטוריה חנה - (תורה) אורייתא

ゾーハル、Volume III、166ページから
シモン・バル・ヨハイ師（宗教指導者）によるトーラーを愛する歌。

（ゾーハル：トーラーの解説書
　トーラー：ヘブライ聖書のうち、モーゼが神から授かった律法について書かれたモーセ五書）

つまり、モーゼがシナイ山で受け取った言葉が聖書のような書物になり、その解説書を敬愛し、言葉を引用したラップらしい。

リリック

シモン師は泣いて、開いて、言った：
トーラー、トーラー、すべての世界の光
全ての春と海の源、
全ての源泉で、あなたから川が流れ、
全ての方向へ、上に、下に
全てはあなたから来る：最も高く、最も低く。

トーラー、トーラー
あなたをどのように説明しましょうか？
愛しい雌鹿
恵みが深い魚卵
上と下に

トーラー、トーラー
あなたを養育するかもしれないのは、あなたが愛する人のうち誰ですか？
あなたの主の喜び、
誰があなたの上手く隠された宝を表にさらすでしょうか？

解説

初めてのアラム語ラップへようこそ。古代のままの神秘的な音と、開放的で小粋なヒップホップの現代的な言葉の間でクールに行き交う。リリックはカバラ（ユダヤ教の神秘主義思想）の主な書から引用されており、古い文献にある知恵を称えている。念仏*に近い言葉。
Orayta （トーラーを意味するアラム語）は、光の暗号、原子の内部にある起源について言及しており、モーゼがシナイ山で受け取った神秘的な言葉の一部**が刻み込まれている。

*incantationは辞書には「決まり文句」や「呪文」とあるが、「念仏」と訳した。
**直訳「モーゼの言葉を用いた言葉」を「言葉の一部」と意訳した。

厳しい戒律というよりは、ユダヤ教の神秘主義思想と説明にあるように、原始的で科学やスピリチュアルな方に近い内容に受け取った。

シモン・バル・ヨハイ師
河合一充くだん日記賢者シモン・バル・ヨハイユダヤ教でなぜ尊敬されるの？

シモン師の師匠のアキバ・ベン・ヨセフ
ラビ・アキバという人物 - 牧師の書斎

2千年前のアキバ師の話、お金持ちの美人の娘さんに恋して結婚し、無学だったけど40歳で息子と一緒に学校に通い始め、勉強に専念するために代わりに奥さんが働いてくれてとかあるが、未だにそういうご家庭が多いらしい。