空音 『Daddy feat. yonkey』愛と器の大きさ

SUSHIBOYSとのコラボで知った空音。「Hey大将 今日一のアレちょうだい!!」、歌詞もメロディもSMAPの『Hey Hey おおきに毎度あり』みたいな感じで、えらいもっさりしてるが第一印象。35歳くらいの関東近郊のベテランラッパーさんだと思い込んでいた。

空音 / You GARI feat. SUSHIBOYS

尼崎の19歳なんですって、びっくり。ご両親の好きな音楽を聴いていたそうで、納得。

空音:両親とも音楽が好きで、お母さんが教えてくれたKREVAさんをよく聴いていたんです。

あと、お父さんがCKBDragon AshRIP SLYME辺りが好きで、僕に教えてくれたのも音楽の影響としては大きかったと思います。

ポジティブなリリックでリスナーの感情に訴える空音、18歳のリアルな“今”を語る - Real Sound|リアルサウンド

 一番有名な曲。普通はこっちで空音さんを知るんだよね。女の子も共感できるリリック。
空音 / Hug feat. kojikoji

アルバム『19FACT』で一番気に入った曲は、『Daddy feat. yonkey』。ストレートにこう歌えるのはかっこいいな。無理して背伸びしている感じもない。周りの目を気にして、彼女や家族を大事に思ったり理想の父親像を語ることを恥ずかしがったりせず、堂々としている。大人かどうかは、年齢じゃない。ゴスペルのサンプリングがエモいが、テキパキしたラップがそれを薄め、エモくなり過ぎず明るくてちょうどいい。同じくyonkeyさん作曲の『Fight me feat. yonkey』もポップ。

Daddy feat. yonkey, a song by 空音, yonkey on Spotify

アルバム『19FACT』のセルフ解説。まぁ、ようしゃべらはる。『CIRCUS』は、空音さんの思い入れの強いクラブCIRCUS Osaka/Tokyoのこと。

その「Hug」が話題になった頃からHIPHOP界隈では、「あいつはHIPHOPじゃね」という雑音が聞こえるようになったんよね。当然注目が集まるから、その分ヘイターが増えてくるのはしょうがいないことやねんけど。

空音君がTwitterで「HIPHOPじゃなくてもいい、曲をアートとして見て欲しい」みたいなツイートをしたところ、東京のラッパーバチスタがそれは逃げだろうという批判をして、その批判に対してTERUやEAGLEYEがDIS曲を発表して、ビーフに発展したことがあった。空音君はビーフには参戦してなかったから、東京と大阪の代理戦争みたいになってて面白かったわ。

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 ほんま、HIPHOP界はしょうもないな。有名ラッパーが、セクハラまがいで笑いを取ろうとしたり、SNSで女性蔑視発言したり。DOTAMAさんが違法大麻撲滅キャンペーンに協力したとき、「Snoop Doggパイセンにどの面下げるつもりだ。」と怒ってる人がいたのは、さすがに笑ったけど。ドラッグやって、女性に対して偉そうにして、喧嘩するのがHIPHOPカルチャーだと思ってるんとちゃう。サラリーマンの縦社会と、ワルに憧れる田舎のヤンキー中学生マインドを煮詰めたみたい。日本のHIPHOP界の既成概念やしがらみに囚われず、群れずに、自分に嘘つかず、自分にしかできないことをやっているMom(マム)やSUSHIBOYSの方がよっぽどかっこいい。女性受けが良かったりポップだと下に見られたりするんだろうけど、そんなん気にせず、突き進んでほしいな。海外の勢力図は急激に変化していて、最早HIPHOP一強でもなくなってきてるからね。Banksyの作品が大衆にも解釈し易かったり受けがいいと、大衆に媚びたとか、本物じゃないみたいな見方をされるのも、似たようなことだと思う。本当に生活の危機に直面している人々がいて、芸術家として力量を発揮し、その人々の支えになる作品を出すことが、プロの芸術家として恥ずかしいことなんだろうか。

最近ハマったJay Parkのドキュメンタリーを観ていて、日本人アーティストに足りないと感じたのは、本人の企画力、リスクをとったチャレンジ、多様性の意識(差別意識のなさ)、才能ある人をフックアップするリーダーシップ、自分の言葉でのアピール力、仲間をリードするポジティブさ等。空音さんは、まだ全然よく知らないけど、曲の提供者を自分で探したみたいだし、アルバムのセルフ解説もしっかりしているから、ちょっと期待してしまうな。

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