ベルリン・ニューヨーク・シドニーのナイトクラブや音楽業界は、どのように政府に支援を求めたか

以下、和訳しました。

「私たちは皆一緒にいます」グローバルなナイトライフ業界ディフェンス最前線からの応答
“We are all in it together” – Responses from the global nightlife industry’s frontline of defence - NIGHTTIME.ORG

ニューヨーク

ニューヨーク市 ナイト メイヤーのAriel Palitz、ベルリン クラブ コミッショナーのLutz Leichsenring、シドニー Electronic Music Conferenceのディレクター Jane Slingoが、先週のことを振り返り、コロナウイルスの影響に対する最初の対応戦術を共有します。

ニューヨーク市ナイトライフオフィスのシニアエグゼクティブディレクターであるAriel Palitzは、COVID-19への、世界中のナイトライフの支持者からの反応について語っています。 「皆が同じ会話をしているのを見るのは、とても驚くべきことです。我々は今すぐ、お互いから学ぶべき、そして学び始めるべきであることに、間違いありません。」

世界の他の地域と同様に、Palitzと彼女のチームは危機対応モードにあります。現時点、(危機対応モードとは、)労働者が何を最も心配しているか、そして彼らが緊急に必要としている支援は何かを判断するために、ニューヨークのナイトライフ業界の隅々まで常に連絡を取っていることを意味します。

Palitzは言います。 「私たちは皆に援助の手を差し伸べようとし、皆から差し伸べられています。オーナー、労働者、フリーランサー、アーティスト、セキュリティガード、バーテンダー、給仕係、DJ、プロモーター。この経験は、不運を均一化するもので、どのように生きていけばよいかわからないという同じ立場に、誰もを引き下ろします。」

「セイフティーネットが整っていると感じる人は誰もいません。プランBとプランCは実際には適用されません。」

現在世界中の救急救命室で繰り広げられているシーンと比較すると、まだ人々の生死に関わる状況ではないかもしれませんが、業界にとっての死活です。タイタニックのように眠らない街ナイトライフ労働人口が沈むと、突然何百万人もの人々が漂流して危険にさらされ、この悪夢が終わったときに戻る仕事やキャリアがあるのかどうかだけでなく、次の週住むところがあり食べるものがあるだろうかと思います。ニューヨーク市ナイトライフ オフィスの最優先事項は、ナイトライフ コミュニティー全体が必要なものを確実に得られるよう、政府の意思決定者に何が必要か正確に伝えることです。

シドニー

世界の全てのナイトライフコミュニティが、Palitzのような献身的なナイト メイヤーがいるほど幸運なわけではありませんが、シドニーでは、Electronic Music ConferenceのディレクターJane Slingo(Global Cities After Darkの創設者でもある)のような業界の代表者が、オーストラリアの新たに結成された音楽業界団体の一員として、絶え間なくボランティア活動をしており、誰かが確実にこのコミュニティのために戦っているのを確認できます。

Slingoは説明します。「オーストラリア音楽産業ネットワークのEmily Collinsとオーストラリアフェスティバル協会のJulia Robinsonが率いる、オーストラリア人の音楽業界全体の連合があります。この2人の女性が、この団結を始めました。彼女たちはとんでもないメダルを受けるに値します。現在、そのタスクフォースには、50の団体が含まれます。先端の組織から州の音楽組織、大規模なツアー会社、Live Nation、SpotifyApple、EMCまで多岐にわたります。」

Ariel Paltizと同様に、Slingoの最優先事項は、彼女の業界(エレクトロニックミュージックコミュニティ)の中で、現在最も危険にさらされているのは誰かを特定するために情報を収集し、彼らの代わって政府に即時の財政援助を陳情することでした。先週、彼女と多くのオーストラリアの音楽業界代表者は、その目標に向かって、オーストラリアのコミュニケーション・サイバーセーフティー・芸術の大臣、Paul Fletcherとの電話会議に参加しました。

「私は、全グループを代表して、来週からどこで食べていけばよいかわからない人々、請負業者・臨時雇用者・個人事業者に届く緊急の救済金が必要だという呼びかけを繰り返しました。(この電話会議の時点では、オーストラリア連邦政府の最初の刺激策に、臨時雇用者と個人事業者に対する割り当て金はありませんでした。音楽連合の努力の甲斐あって、ニーズへの対応をさらに推し進める、2番目のパッケージが週末に発表されました。)しかし、もっとエレクトロニック業界に特化し、今は優先グループを見るというやり方を強調したかったです。」

Slingoは、以下のグループを、順不同で最も脆弱なグループとして特定しました。
i) オーストラリアの現役DJ、その約半数は副収入がなく、もっぱらギグで生活しています。
ii) 中小規模のプロモーターやクラブのオーナーは、存続するためのリソースが少ないだけでなく、制限が解除されれば、ヘビー級の相手との厳しい競争に直面します。「彼らは、メジャーなフェスティバルに出るアーティストの繁殖地として、生態系の重要な部分を占めています。」
iii) エレクトロニック音楽のLGBTQIAコミュニティは、もちろん、ダンス音楽の分野で特に広く行き渡っています。「現実を直視してみましょう。エレクトロニック シーンは、我々美しいクイアなファミリーがいなければ、エレクトロニック シーンにはなれませんでした。既に取り残され、脆弱なグループでした。」

オーストラリアの音楽業界の多くの人が、スーパーマーケットでの仕事に応募しています。スーパーマーケットでは、前例のない需要に応えるために、臨時のスタッフを至急募集しています。LGBTQIAの分野では、このように働くには障害があります。Slingoは説明します。「差別の観点から障壁。例えば、スーパーの棚を片付けるのは、トランス人間にとってそんなに簡単なことなのでしょうか?」

対応に対する重要な要素は、緊急に影響を調査することでした。オーストラリアの音楽連合はこの点で最前線に立ち、COVID-19集会制限が発効してから生じた金銭的損失を、オンラインで調査するILostMyGigを速やかに立ち上げました。

Slingoは言います。「ほぼリアルタイムでデータを取得し、経済的な影響がどのように拡大しているかを毎日更新するための、優れたツールであることが実証されています。調査において、データに主な目的があることが特に重要です。たとえ1つ1つの詳細を完全にキャプチャできるわけではないとしても、現時点で得られている、ベストで最速のデータです。このような状況では、完璧ではなくスピードが求められます。

「データは政府、業界関係者、救済を提供できる可能性のある大手企業に情報を提供しているため、全ての人をこの調査を向けさせる必要があります。」

ニューヨーク市はその後、同等の調査を行い、その価値を即座に評価しています。Palitzは認めています。「私たちは皆、感情的な喪失があることがわかっています。しかし、市と政府に知らせるために、彼らが検討する救済数が正確になるように、できるだけ明確に絵を描く必要があります。 ロサンゼルスなど、アメリカの他の都市もすぐに追随しました。

ベルリン

このアイデア交換のスピードは、VibeLabのMirik Milan(アムステルダムの前ナイトメイヤー)とVibelabのLutz Leichsenring(ベルリン クラブ コミッショナー)がセットアップした、世界のナイトライフ支持者のCOVID-19対応のWhatsappグループの成果でした。このグループや似た他のグループにより、ブラジルのサンパウロからリトアニアビリニュスまで、その間にある約50都市の代表者を含む世界中のナイトライフ支持者の間で、すぐに情報交換できます。ナイトライフ インフルエンサーをつなぐWhatsappグループは、感情の支援での価値を即座に証明しました。 1週間以内に、実務的な価値を証明しました。

ベルリンのような都市では、このような繋がりが既に確立されており、ベルリンのクラブコミュニティが、会場の閉鎖から数日以内に、クラブストリーミングプラットフォームUnited We Streamを立ち上げた方法を、部分的に説明しています。ベルリン クラブ コミッショナーのLutz Leichsenring が動員について説明します。

「私たちは連絡を取り、閉鎖と同じ日に作業を始めました。昨年私たちが既に構築していたネットワークに根ざしていると思います。 (ベルリンのクラブコミュニティの)全員がお互いに非常に協力的です。既に連帯がありました。」

United We Streamは3月18日に立ち上げられ、ベルリンの有名なDJブースや、Watergate、Griessmuehle、Katerblauなど現在は空いているナイトライフ べニューから、ライブストリームを週に数回ライブ配信し、Monika Kruse、Roman Flugel、Ellen Allienなどのアーティストが既に参加しています United We Streamは、最初の24時間で、100万人を超える視聴者が登録し、10万ユーロを集め、独立した審査員を通じて業界に分配されました。

Leichsenringは言います。「私たちは、このような困難な時に、連帯が必要だとを示すことができると思います。私たちはベルリンの良い例で、まだ物理的に分断されている人々を一つにまとめるロールモデルです。」

Leichsenringは、他のナイトライフ支持者と、クラブ ストリーミングを立ち上げ収益化し、苦しんでいる業界に最初の現金の応援ができるようなヒントをシェアする、オンライン チュートリアルを既に立ち上げています。もちろん、次の疑問は、どうやってこのモデルを維持するかです。

「ストリーミングを維持することは、クラブの運営方法と非常に似ていると思います。 よいラインナップと高品質にすること、それらが主な課題です。その後の段階では、アウェアネス、ドアポリシー、性別、平等など、クラブに関連のコンテンツになります。このようにして、United We Streamは、DJセットを提供するだけでなく、クラブカルチャーの全体が話題になり、人々が孤立したときに心の中で生き続けることを目指しています。 この文化的価値は、業界がこの嵐を乗り越え、最終的には回復するため、今後数か月間で非常に重要になります。 しかしもちろん今は、最も重要なのは財政的支援であることを、Leichsenring、Slingo 、Palitzは、わかっています。

Leichsenringは認めます。「私たちはトータルではどうしようもありません。私たちが生き残るためには政府の支援が必要です。 しかし、特に緊急時に自分たち自身を助けることもできることを、ストリームと資金調達で実証したいと思います。これは永久に機能するわけではありませんが、良い始まりです。」

クラブ特有の支援ニーズ

政府が各業界の声に対応するにつれて、刺激策と救済策が世界中に広がっています。 執筆時点では、ベルリン、シドニー、ニューヨークの全てで、業界の一部に利益をもたらす可能性のある初期救済パッケージが発表されていますが、これまでのところ、ナイトライフ業界に固有のものはありません。 Leichsenring、Slingo 、Palitzは皆、意思決定者にナイトライフビジネスの財政的ニーズが他のほとんどの業界とは異なることを伝えるために取り組んでいます。

Leichsenringは説明します。「クラブ経営は他のビジネス経営のやり方とは違うことを、認識する必要があります。私たちには特別なニーズがあります。たとえば、実際ローンで仕事はできません。クラブの契約が数年に制限される場合もあります。べニューのビジネスモデルが長期的な視点で構築されることはめったにないので、ローンは今すぐ私たちの助けになりません。特に労働コストの補償についてです。ベルリンのクラブ従業員の総数は約9000人です。これは、この危機を乗り越えるために対処しなければならない数です。そしてもちろん、完全雇用されておらず、全ての保護策から抜け落ちる人々がいます。彼らは不安定な状況にあり、支援するのは私たちの責任です。」

シドニーでは、オーストラリアの銀行協会が中小企業向けローンの返済を6か月延期すると発表しました。しかし、SlingoはLeichsenringの見解を反映し、「私たちがすでにシドニーで経験したような風潮の中で、更に借金するためにローンを組もうと考えたベニューを多くは知らない」と認めています。

クラブ関係者の底力

彼女が言及している「風潮」は確かに悲惨なものです。 ここ数年、シドニーの音楽とイベントのシーンは非常に複雑化しており、5年間に及ぶ都市のベニューの厳しいロックアウト法、1年間のフェスティバル法制に関する議会の混乱、フェスティバルの規制と安全費用が非常にエスカレートするシーズン、そして最近では、山火事による複数のフェスティバルのキャンセルと戦い、追って山火事の影響を受けたコミュニティの募金活動に無料で時間を提供しています。Slingoは認めます。「このために、たくさんリハーサルをしてきたと思います。調整・動員・団結を示すためのリハーサル。現在、50の組織が参加し、今現在身を粉にして皆働いており、効果的かつ迅速に組織化されたことを知った、非常に誇らしい瞬間です。」

最近の裁判は、シドニーナイトライフを紛れもなく脆弱にしましたが、(シドニーに)限ったことではありません。このようなケースは、世界中のナイトライフシーンにたくさんあります。 多くの場合、業界は常に問題に直面しています。 どこに住んでいても、ナイトライフの関係者と労働者は、即席で協力し自分たち自身が生き残るために戦うのに慣れています。

Palitzは言います。「私はナイトライフの人々は、生まれつきオーガナイザーだと思います。ナイトライフコミュニティほど、一緒に集まり、必要なものを確実に手に入れることができるコミュニティは他にありません。 元バーとナイトクラブのオーナーであり、ネイティブのニューヨーカーである私は、いかにナイトライフコミュニティが家族のように結ばれているか、個人的によくわかっています。彼らはとても創造的で有能です。 本当にナイトライフの戦士。 ナイトライフの戦士たちは、この嵐がどれほど長く続いても、確実に、避難所があり、創造が続くよう団結します。」

コミュニティ毎に、独自のニーズと優先順位の組み合わせがありますが、ここで覚えておくべき重要点があるとすれば、それはナイトライフファミリーがグローバルなファミリーであり、そうでなければならないということです。 Slingoは言います。「私は間違いなく、血と汗と涙をGlobal Cities After Darkに投じました。困難に向き合うためのグローバルネットワークの重要性、これがミッションの全てでした。苦労している都市が別の都市の先例に倣えるよう、継続的に知識を交換することが全てです。それは今現在も続いています。」

ベルリンのストリーミングの成功やオーストラリアの調査イニシアチブは、グローバル展開されているコラボレーションの初期の2例にすぎません。Resident AdvisorのSave Our Sceneイニシアチブは、その他の早く力強い初動があったことを証明しています。もっとたくさん出てくるでしょう。

「これは本当に世界的な状況です。」とAriel Palitzは結びます。

ナイトライフコミュニティのメンバーは、経験したことのない、二度とない、過酷さで体感的に孤立しています。この2週間で、かつてない世界規模で繋がり、団結しました。

Jordan Rahlia

以上が和訳。

日本では、「補償しろ。」「補償がセットだ。」と叫び、補償してくれないからイベントを強行するしか、抗議する方法が本当ないのだろうか。私たちが納めた税金を、どうやったら返してもらえるだろうか。前向きな呼びかけやアクションが目に見えず、言い争いや不平不満ばかりが目立っている。ウイルスよりも、そっちに失望した。水面下でロビイングしていたようだが、オープンな場所での前向きな議論がない。

私は、日本でも参考にできそうな海外のクラブの安全対策、各クラブの判断(ステイトメント)、国や都と交渉するための過去の歳出情報(税金の使い方)を、情報収集し和訳して、誰でもタダで読めるように提供してきた。私より遥かに英語ができて、各国のクラブ関係者と交流があるのに、和訳して情報提供をしているDJが本当に少ないことを不思議に感じる。本当のクラブカルチャーや、その存在意義、そして底力を、生の教材で学べる機会でもある。

Creative Footprint、国の税金まで投入して、去年日本での調査を進めてきた。前ナイトメイヤーの方も、何回も来日している。がっつり関わってた関係者、何してるのかと思う。元日本のナイトメイヤー、ナイトアンバサダーも。マスクを並んで買う人を馬鹿にしたり、年齢や障がい者差別発言している場合ではなかった。

ドイツ文化大臣がフリーランスの芸術家を支援するとした発言、ナンパやセクハラの多いクラブやエンターテイメントとしての音楽も、芸術と評価して支援してくれるのだろうか。ドイツ政府はクラブカルチャーに理解があると思ってる人が多そうだけど、金になりそうだからと政府が勝手に支援してくれるようになったと思ってるのかしら。やることやって、勝ち取ってきたんや。

目の前の生活費の補償さえなんとかなったら、また政治のこと忘れちゃって、いつまでたっても、無駄な歳出に興味をもたない。補償金だって、勝手に湧き出してくるのではなく、自分たちが必死で働いて納めた税金なんやで。

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