Night Tempo FUJI ROCKセットリストに込めた想い

bayfm78 「Song of Japan」島村幸男 田中美和子
2019年11月7日(木) 25:30-27:30 放送 一部書き起こし
ゲスト Night Tempo、平間あきひこ(元JADOES)

JAPANESE CITY POPブームについて

島村:世界的なブームについてちょっと説明しておきたいんですけども。
田中:教えて下さい。是非是非。
島村:簡単にブームになったのは、ここ3年くらいなんですね。
田中:新しいんだね。
島村:世界的に人気が爆発したのは、竹内まりやさんの「Plastic Love」。
田中:そうだ。
島村:非公式なんですけどもYouTubeに上げられたことで、なんと消去されるまでに2500万回という再生回数を記録したんですね。これはもう山下達郎さんプロデュースで、ギターもご本人が弾いていて、さらにキーボードで中西康晴さん、ベース伊藤広規さん、ドラムは今は亡き「あおじゅん」こと青山純さんという最強の布陣で作りこまれた楽曲なんですねぇ。
島村:なぜ「Plastic Love」だったのかと。実はこれ、この後登場のNight Tempoさんが2016年にこのミックスを投稿してから、これも再生回数800万回以上超えまして。世界に日本のCITY POPを、言ってみれば知らしめたという形になる訳ですね。
田中:ありがたいですねぇ。
島村:でその前から、インターネットとかでは、CITY POPを解釈するのにあたって、VaporwaveとかFuture Funkというようなという音楽のジャンルが流行っていたのかな。Vaporwaveってのが80年代から90年代の楽曲を印象的な部分をサンプリングして、ちょっと懐かしいなと思わせるテイストが特徴だったということなんですけども、今のWinkのナンバーのように、所謂4つ打ちのリズムを、四分打ち、4/4のリズムをクラブ風にアレンジしていったのが、正にNight TempoのFuture Funkっていう感じですね。

島村:今日本だけでなく韓国・台湾・ニューヨークやロス、ヨーロッパ、ドイツだとかそうですけども、そういったクラブではJAPANESE CITY POPが、結構だから毎晩のようにトラックアウトしてるということなんですよね。
田中:あらそう。嬉しい。
島村:日本のCDショップや中古レコードショップにも海外の方がこぞって買いに来るという。
田中:今レコードとかカセットテープとか言うらしいね。
島村:そう、Night Tempoさんはカセットテープの結構コレクターでもあって、角松の全部持ってんじゃない?
田中:えーっ。
島村:山下達郎さんも含めて。

イントロダクション

島村:本日のゲストでございます。世界的にJAPANESE CITY POPブームを巻き起こしております韓国のプロデューサー&DJ、11月8日ですね、「1986オメガトライブ - Night Tempo presents ザ・昭和グルーヴ」をリリースされます、Night Tempoさんです。どーも、こんばんは。
Night Tempo:こんばんは。Night Tempoでーす。

島村:そしてもうお一方、Night TempoさんがCITY POPのレジェンドの一人と言っている、元JADOESのキーボーディスト、キテレツ大百科「お料理行進曲」を作曲、BRIDGE251でも知られる、現在音楽レーベルG-NOTEを主宰します、平間あきひこ君です。こんばんは。
平間:こんばんは。今日はちょっと脇で、Night Tempoの援助にね、お邪魔いたしました。

中山美穂「CATCH ME」/角松敏生

島村:今日初の海外からのゲストということで、Night Tempo君ね。えっと、プロフィール見ると角松敏生、そしてDaft Punkをこよなく愛し、日本の80年代のPOPS、アイドルの作品を、なんとカセットテープのコレクターということで。これはカセットテープが好きなの?
Night Tempo:はい、カセットテープが大好きで、家の中に、棚に凄くたくさん入ってます。
島村:角松さんのも、ほぼ全部カセット持ってるでしょ?
Night Tempo:全部持ってます。
島村:角松さんを聴くようになったきっかけっていうのは。
Night Tempo:中山美穂さんの「CATCH ME」っていう曲を初めて、小さい頃に聴いて。あともっと後、大人になってからも聴くようになったんです。
島村:ちょっとでも凄いよ。このだって「CATCH ME」って、角松さんが作詞作曲アレンジしてるアルバム「CATCH THE NIGHT」は平間君も。
平間:これは僕もシンセサイザーをお手伝いしてて。
島村:そうだよね。「You're My Only Shinin'Star」も、平間君。
平間:あの打ち込み手伝って。これ打ち込みは専門用語、コンピューターでね、音楽作るお手伝いをして。
島村:新宿のホテルだよね。
平間:昔、何だっけ、センチュリーハイアットだっけ。
島村:そこがプリプロとかレコーディングの部屋になってて。俺もちょいちょい行きましたけれども。
平間:山のようにシンセサイザーをホテルの部屋に並べて、そこで作ってました。
島村:でその「CATCH ME」は、えっとポニキャ、ポニーキャニオンスタジオか何かだったっけ。
平間:あれはどこだかな。
島村:どっかのスタジオで中山美穂ちゃんと僕と平間君の3人でブースに入って、マイクの前で3人並んで、「アーーー、イヤッ!」ってやったら、「ちょっと島、平間、声でけぇな。」。美穂ちゃん真ん中にいて、ちょっと1メーター離れて、2メーター離れて、3メーター離れて、5メーターくらい離れて、「アーーー、イヤッ!」ってやっても俺らが(声が)デカかったっていうね。

JPOPとの出会い

平間:そう、そんな曲が彼がJPOPに目覚めるきっかけだったっていう、凄い偶然なの。
田中:でもそもそも、Night Tempoさんは国籍は言っていいんですか?
Night Tempo:はい、大丈夫です。
田中:韓国ですよね。韓国で、日本にずっと住んでる訳じゃないのに、何で日本の曲を小さい頃聴いたんですか?
Night Tempo:たまたまお父さんが買ってきて下さった、出張で日本にちょこちょこ来てたんで、そのときに買ってきて下さった資料の中でちょうど入っていて。その1曲にハマって、ずっと聴いてたんです。
平間:でも所謂日本には、いろんなグループサウンズだったり、えっーとフォークだったり、ニューミュージックだったり、色んなカテゴリーの音楽サウンドってあるけど、韓国ってのはどうなの?そういう時代に合わせてブームってのは変わってきてるものなの?
Night Tempo:はい、韓国ってトレンドに敏感でみんな飽きるのも早くて、シンガーもすごくバンバン変わっていくんです。

FUJI ROCK

島村:平間君から見て、Night Tempo君てのはどういう風に映ったの?
平間:あのやっぱ最初に、フジロックで僕の曲が流れてるよと、ファンの人に教えて頂いて。「何それ?」と思って、ツイッターが今あるから、彼にダイレクトメッセージで。そう、「何だよ、お前」と。「俺の曲、作ったの俺なんだけど。」と言ったら、「いやぁ」って言って、それでプライベートのメッセージで盛り上がって、うちのスタジオ遊びに来てくれて、今我が子のように育ててる。
田中:まぁ年齢的にはね。それくらいの差はありますから。Night Tempoさんお若いですから。
島村:ちょいちょいトンカツ食べてるらしい。
平間:また追々お話で出るかと思うんですけど、彼は80'sの86年生まれ、っていうことなんで。
田中:86年?そうなの?
平間:JADOESのデビューが86年なんです。彼は生まれた年の音楽を掘り進んでいるうちに、JADOESにも出会ってっていうこともあって。そういう文脈でCITY POPを掘り起こしてくれてるんだけども。一番僕が感激を受けたというか素晴らしいと思ったのは、日本のメディアが、バブルの音楽とかを扱うときに、やっぱどっか馬鹿にしてたりだとか、お笑いの要素が入っちゃったりだとかっていう文脈が多い。小馬鹿にしちゃったりとか、肩パッド入れ過ぎたりとか、っていうのじゃない視点から80'sの音楽を捉えてるっていう、直球で、っていうアーティストは今までなかったんですよ。それが非常に新しくて、それが若い人たちにも素直に響いて。例えば俺とか島とかの世代にも、そういうちょっと何ていうか、悪い意味のバブルじゃない音楽の思い出し方をさせてくれたっていうのが、彼の音楽的意義が大きいかなっていう風に。
島村:でもフジロックでは相当、オーディエンスは盛り上がってたでしょ。
Night Tempo:はい、凄かったです。今まで見たことない。
島村:そのセットリストもね。あの達郎さんもそうだし。えっと色んな楽曲をね。その中で平間君作曲の「Hot Melody」。それも結構後半だもんね。盛り上がる後半で。えっと聖子ちゃん後の「Hot Melody」と、確か。

田中:曲の並び替えってのは、自分で全部やられてらっしゃるとは思うんですけど、何で聖子さんの後にJADOES
Night Tempo:なぜなら、実はサウンドが、自分のエディットしたサウンドが、繋ぎがちょうど良くてやってたんです。
田中:じゃそこは、この方の次はこの方っていう"方(かた)方(かた)"ではなく、音楽で繋いで入ってるっていう感じなんですか。
Night Tempo:実は、このセットリストは、16番から最後まで角松敏生さんのプロデュースの曲なんですよ。角松敏生って言ったらJADOESだから、角松セットのオープニングはJADOESから始まるっていうのは、元々からあったんで。
田中:じゃあ、Night Tempoから見たらJADOESは憧れの方でもあるってことですか?
Night Tempo:はい、たくさん影響されて。
島村:この前、角松さんに会ってNight Tempo君の話をしたら、まぁ色んな方面から彼のことは聞いていると、いろーんな人から言われてるよと、ちょっと興味あるんだってことは、本人も言ってたんでね。
田中:是非会わせて差し上げて下さいよ。架け橋になってね。角松さんもね、この番組来て下さったんですよ。

何のためにJPOPをEditするのか

田中:在る楽曲は大事にして作ってらっしゃるんですよね。
Night Tempo:原曲は重要だから。自分の目標って、原曲の良さをもうちょっと色んな若者とか昔聴いていた方たちも、新しい聴き方でもっと楽しく聴けるように足しているんです。

田中:ミックスするようになったのは?
Night Tempo:若者は古いものを下に見て、今はちょっと違うと思うんですけど、ちょっと前までも昔のものだから古いから聴かないっていうのがあって。でも僕は君たちに聴かせたいっていうのがあって。自分でエディットして流したら、みんな良い曲は良い曲なんだって気付いてくれて、そこが嬉しくて。自分なりにももっと責任感を持って、もっと勉強するようになりました。
田中:「良い曲は良い」っていうのがキュンとしましたね。

君は1000% (Night Tempo Showa Groove Mix), a song by Night Tempo, 1986 Omega Tribe on Spotify

平間:あと(Night Tempoは)オタクだから凄いんだよ。昔の機材とか。もう山盛り持ってる。
島村:デジタルだけでなくアナログの
平間:当時のJADOESで使ってたシンセサイザーとか、そういうのをコレクションしてる。カセットテープと一緒に。
島村:DX-7とか?
平間:そういうのを、リズムマシンとか。RX-15とかね。昔のリズムマシンを、そういうのいっぱい持ってる。

ファンへのメッセージ / CITY POPを誰と聴く?

島村:聞いて下さってるファンの皆さんに何かありますか?
Night Tempo:はい。音楽は時代を超えても良い音楽はずーっと良い音楽なんで、一人で聴くよりお父さんとお母さんと一緒に共有しながら聴いたらもっと、良い音楽をたくさんもっと聴けると思います。Wikipediaより、お母さんお父さんの方がもっと知っているんです。
島村:どうですか、Night Tempo君のお父さん的存在の平間君は?
平間:もう本当にね、何ていうか、僕はミュージシャンとか音楽プロデューサーの立場としては、過去を振り返ることって実はあんまりないんですよ。新しいものを作ろうとかして生きてくるから。でも彼みたいな人が現れて、過去を懐かしいなって気持ちじゃないテンションで振り返るっていうのは凄い新鮮な刺激なんで。たぶん、ミュージシャンじゃなくても、リスナーの方々も過去が懐かしいっていう以外の聴き方ができるんじゃないかなっていうのが、凄く彼の面白いとこだなと思ってます。

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