K-POPアイドルだと思ってなめてた Stray Kids

YouTubeグローバルチャートきっかけで興味を持った、Stray Kids。ダンスは超絶上手いけど、正直所詮アイドルだろうと思っていた。ブログに書いてからしばらく、情報を拾っていくうち、自分が思っているアイドルとはちょっと違うのかもと思い始めた。

①インタビューでの受け答え

Billie EilishやAriana Grandeも出演しているラジオ番組 Zach Sang Show。Zach Sangさんは、ネイティブではない人にも、容赦なく早口でインタビューして意地悪なんだよね。去年、BLACKPINKが出演した後、彼女たちの受け答えをバカにする動画が上がっていた。英語力を見下すのはひどいが、なぜYGのオーディションを受けようと決心したのかと聞かれ、お父さんに言われたからと答えたのには、私もがっかりした。意志の強そうな歌を歌っていても、中身はそうじゃないんだなと。
Stray Kidsは、良い意味で裏切ってくれた。英語ができるリーダーのBang Chanさんに、依存しているところはあるけれども。制作プロセス、振り付け、歌詞の割り振り、歌詞の翻訳など、アイドルというよりアーティストに対する質問に、臆することなく堂々と答えている。高音低音と声質の異なり、バラードやラップと得意分野も違うメンバーで構成されているので、それぞれの特性が活かせるパートを割り振っているとのこと。センターを争うみたいな発想がなくて良い。

②作詞作曲、翻訳

リーダーのBang Chanさん、ラッパーのChangbinさんとHanさんの3人は、3RACHAというユニットで、作詞作曲も含め音楽活動をしている。
3RACHAのSoundCloudアカウント
3RACHA | Free Listening on SoundCloud

Stray Kidsの曲のいくつかは、この3RACHAが制作している。実際どの程度の関わり具合かはわからないが、クレジットにもきちんと名前が入っている。リーダーのBang Chanさんが、歌詞を韓国語から英語に翻訳している。オリジナルの韓国語の歌詞の意味とフローを損なわないよう、特に高速のラップ部分の翻訳が難しいとインタビューで答えている。売れっ子プロデューサーが用意してくれてるんでしょと思っていた。自分たちで作った曲や歌詞は、思い入れがあるだろうし、人から提供されたものとは歌い方も違ってくるはず。
彼らが制作してる様子の動画もネットに上がっていて、制作プロセスもオープンで、そういったコンテンツの量が多いことが伺える。ジャニーズもファンクラブ向けにはあるのか知らないけど、真逆の戦略。

③ラップ、ディープボイス

ダンスに目を奪われていたが、ChangbinさんとHanさんは、ラップがお上手。

日本語のラップも全くたどたどしくなく、発音もきちんとしているし、歌詞に気持ちまで込められているように聴こえる。

Changbinさんも低くて良い声だが、Felixさんはさらに低く、①のインタビューで、Zach Sangさんから「なんてディープ ボイスだ。僕のハートが溶けちゃうから、こっち見ないでくれ。」と褒められている。

④ダンス

振り付けは、会社内の専門のチームがいるそうだが、意見を出し合って決めていると①のインタビューで語っている。他のグループと比較し、研究すればするほどStray Kidsのダンスの凄さがわかる。日本にもダンスが上手いチームはいるが、Stray Kidsには、単に強くて速いだけでない、しなやかさがある。書道の「とめ」「はね」のように、メリハリがはっきりしていて美しい。逆に、手を上げる下げるでも、徐々に早く/遅くといった途中でスピードを変えるパートもあり、動きが緻密。日本のアイドルグループとの一番の違いは、フォーメーションが複雑に変化し、その頻度が高いところ。床にマークもないのに、きれいに揃う。激しい振り付けでも、間隔を空けないで詰めて踊るので、締まってみえる。マスゲームのように集団で一つの動きを作る振り付けが、1つの曲で何か所もある。ドミノのように順番に変化したり、後ろからメンバーの一人が飛び出たら、前の人が吹き飛ばされたように床を滑るといった連携プレイ。単純にジャンプして着地するのでなく、糸巻のように手をぐるぐると高速で回転させる。細かいこだわりと技術の積み重ねがクオリティを作り上げているんだなと感じる。欧米人と比べれば身長は決して高くないが、手足を限界まで伸ばして動きを大きく、足を高く上げ、ジャンプも高く飛んでいる。

⑤映像

Stray Kidsのスキルではないが、Stray Kidsを映すミュージックビデオの映像チームや、テレビカメラの技術がすごい。「神메뉴」のMVで、顔がアップはどうやって撮っているのか気になっていたが、ロボットアームだった。ベトナムのダンスチームは人力で、躍動感があってブレずにきれいに撮れていた。人間の思い通りにロボットを制御・命令するのは、簡単ではないように思うが。

フォーメーションがあれだけ変化する振り付けで、動きも激しいのに、ブレず見切れず、ソロも順番に入れ替わるのに、きちんと抜ける。テレビ局のカメラの人も技術が高いと思う。振り付けが一通り全部頭に入っていないと、撮れないはず。カメラがすごい速さで動いているけれど、これで撮れるのね。

実は、スキズがStray Kidsの略だと知ったのは、つい数日前。スルギさんみたいな、K-POPガールズグループのメンバーだと思っていた。スキズで検索したら、日本語の情報が大量に出てきてびっくり。まだ日本では大して人気がないと思っていたのに、代々木競技場が満席。ジャニーズと違って、気前よくライブ動画も公開されている。

疑似恋愛的なアイドルの消費が無理だが、Stray Kidsのパフォーマンスは、他のアーティストのものと同等に楽しめる。

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