J-POPって何なん? 自らJ-POPと銘打つ歌から定義してみる

インディーロックおじさんたちの選ぶJ-POP、私が思ってるJ-POPと全然違うんだよな。

自らJ-POPと名乗る曲のミュージックビデオを観ながら、好き勝手言う。

KAN - ポップミュージック

演歌みたいなメロディもあるけど、メロディ・構成・歌い方・声、KANだ。これぞ、J-POP。でも、KANさん までもが流行に乗っちゃって『ポップミュージック』?聴き手の想像力を必要とする間接的な表現だったり、叙情的で深い歌を歌ってたのに。もちろん、ダジャレとかふざけた歌もあったけど。

Pop Pop Pop Pop Music
初めて聴いたのに妙に懐かしくて
Pop Pop Pop Pop Music
陽気なメロディがなんか切なくて
Pop Pop Pop Pop Music
どうあれぐるぐるアタマに回っているよ
Pop Pop Pop それは Pop Pop Pop ってゆうか
最初に聞いておくけど ポップってどんな意味?

君のタピオカミルクティ
挙って かき混ぜて
じきに忘れるよ
でもいつか会いたいな

Pop Pop Pop Pop Music
初めて聴いたのに変に懐かしくて
Pop Pop Pop Pop Music
キャッチィなメロディがどっか切なくて

巷では「J-POP、J-POP。」言うてるけど、かつてのJ-POPのヒットメーカーとして、「J-POPというのは、こういうもんじゃろがい。」というKANさん なりの定義かもしれないね。KANさん らしく、「最初に聞いとくけど ポップってどんな意味?」と、とぼけながら。「じきに忘れるよ でもいつか会いたいな」、私はまだKANさんの曲聴いてるで。
『Songwriter』も思い出して聴いたけど、こんな良い歌詞だっけ。

I'm a songwriter ただ訳もなく
過ぎ去りし日々を 静かに掘り返すのです
愛した人を
必死だった恋を
自信に満ちた 青き時代を

恋すれど恋 月は枯れ 涙凍る
美しい思いを できるだけ傷つけぬように

遠い あの空の向こうに
そう 置き忘れてきた純情は数知れず

I'm a songwriter 何のあてもなく
迎えるべき運命に 言葉を贈りたいのです
愛すべき人に
まだ見ぬ君に
自信も声も 枯れた自分に

SASUKE - J-POPは終わらない

日本=J-POP
まだ続くイメージ
日本人は
まだ終わらない
栄光を捨て去って黙っていても
つまらない

流行りもいつかは廃って行くから
J-POPキラキラ明るくしておくれよ

トレンド意識しないでfreeでいい
本当の自分の音で

lo-fiに加工されたイントロは、80年代のアニメソングのオープニングかエンディングにありそうなリズムと雰囲気。声優でなく、女性歌手が歌っていた時代の。メロディも構成も、ちゃんとJ-POPだと思う。
でもね、ミュージック ビデオがひどい。
アニメかと思ったら、人形だったり、実写だったり、統一感がない。更に、アニメのテイストも複数ある。唐突にVaporWaveもどきを突っ込んだり、切り替わる度、繋がらない。電源引かずシンセ弾いて、鍵盤弾いてるのに、タイピング文字が表示される。車の後ろにきれいに並べてるゲームみたいなのも謎。道路で一緒に踊っている人と、倉庫で踊ってる人たちが別で、何がどうなったのかストーリーがわからない。「トレンド意識しないで」と歌いながら、リバイバルで来てそうなの、脈絡なく雑に全部盛り。メジャーに行くと、予算はあるはずなのに、どうしてこうなっちゃうのかな。
ミュージック ビデオがこうだと、歌もそういう態度で作っているのかなと思ってしまう。歌だけ切り離して批評はできても、ポップミュージックの消費者はそう簡単に切り離して受け取らない。過去何十年振り返っても、ポップミュージックにおいて、ミュージック ビデオはヒットの大きな役割を果たしている。

嵐 - Turning Up

世界中に放て Turning up with the J-pop

(turn up : (景気や経済などが)上向く

「(気象現象の)嵐を見た市民が突然踊りだしている」って、Pop Virusに感染するという意味の星野源『Pop Virus』と、かぶってるような。アイディアが乏しいな。
日本の新名所からハリウッドまで、色々詰込み過ぎ。ハリウッドでも車乗ってたかと思えば、歩きながら踊ったたり。昼になったり、夜になったり。おそらく絵面でしか考えてなくて、連続性が軽視されている。色んな場面を詰め込んだ結果、ストーリーがぼやける。日本語がわからない外国人の人が見たら、混乱すると思う。海外のミュージック ビデオは、言葉がわからなくても、映像だけでどういう話の歌なのか物語やメッセージが理解できることが多い。
KANさんのも、SASUKEさんのも、星野源『Pop Virus』も、ポップミュージックのミュージック ビデオは、フラッシュ モブのように、あまり関係なさそうな人が、唐突に踊り出す。J-POPのミュージック ビデオの掟なのか。それこそが、J-POPなのか。賑やかし的な存在なのかもしれないが。インドのミュージック ビデオくらい極端な大人数で徹底していると、あれはボリウッド ミュージックの個性になっている。
あと前にも書いたけど、イントロのニュース部分は英語訳あるのに、肝心の歌の英訳がなくてもったいない。Awich『洗脳』は日英の字幕が切り替え可能で、英訳もちゃんとしていてさすがだった。ストーリーがあって、最初から最後まで一貫している。sasukeさんは「終いには日本飛び出して」、嵐は「世界中に放て」と歌ってるのに、本当に国内向けだよね。

意外とボリュームが増えてしまったので、以下省略。
星野源 『Pop Virus』
平井堅『POP STAR』
ポップしなないで

ポップしなないで『エレ樫』の歌い出し、吉幾三俺ら東京さ行ぐだ』リスペクトだと最近気が付いた。

まとめ

Aメロ・Bメロ・サビのような構成に加え、J-POPの条件ってこんな感じでは。
・キャッチィーなメロディ
・一度聴くと忘れられない
・明るく陽気
・景気が良い、経済成長のイメージ
・流行が終われば忘れ去られる

儚いもんですな。

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