Joey Carbone 1990年代日本でポップミュージックを売る方法

ヒットメーカー

Alyssa Milanoのヒット曲を書いたJoey Carbone。長年ジャニーズを始めポップミュージックを提供してきた有名な作曲家だった。映画『里見八犬伝』のサントラを始め、稲垣潤一和田アキ子中森明菜松浦亜弥相川七瀬SMAP、少年隊、嵐、SixTONESHey! Say! JUMP、NEWSなどへ1000曲以上提供している。

SONY HF-ES | HF-S | HG | UHG ・ソニーCM - オーバーナイト・サクセス (Overnight Success) 1984

Joey Carboneが、作詞作曲・プロデュースをしている。映画『フラッシュダンス』の『Flashdance... What a Feeling』みたいなのを、日本で作った曲だったのね。

VOL.4●80s青春CMサクセス! オーバーナイト・サクセス!! | 連載「気になる洋楽~すっきり解消!あのCMで使われていた曲は?~」 | otonano by Sony Music Direct (Japan) Inc.

嵐『ROMANCE』

この曲は知らなかったが、定石通りのJ-pop。

1990年代日本でポップミュージックを売る方法

1995年のJoey Carboneへのインタビュー記事を見つけた。まだ日本ではインターネットが普及していなかった頃。以下、部分訳。

Made in the U.S.A. : Joey Carbone Packages Acts the Japanese Love. His Secret? Think Cute. - Los Angeles Times

必要な資質

歌えるか?重要じゃない。今日の日本のポップミュージック市場で儲けるのに、Carboneが必要とするのは、たった1つの資質だけだ。見た目がカワイイこと。

売上高約30%が洋楽

ライバルでさえ東京の曲作りの王と呼ぶ、異文化間ステレオタイプバスターであるCarbone。Sherman Oaks(ロサンゼルス近郊の町)に拠点を置くCarbone(43歳)は、過去10年間に、100近くのヒットシングルと、更にテレビCMのジングルを作曲/制作してきました。
ロサンゼルスにいるライバルの日本市場向けプロデューサーMark Josephは、こう述べました。「彼は、日本の音楽コミュニティが好む種類のメロディーを作るための真のコツを抑えています。彼の音楽はあまりに有名なので、過剰に露出しないように注意しなければなりません。多くの人が持ってみたい問題です。」
Carboneは、アメリカの音楽が日本で売れている最近のブームを利用しているところです。
日本は、米国に次ぐ世界第2位の音楽市場で、1993年の売上高は51億ドル(当時の為替レートで6375億円)です。アメリカのRecording Industry Assn. によると、売上高の約30%は外国人アーティストによるもので、アメリカの音楽活動がその4分の3を占めています。
音楽ビジネスグローバル化のシンボルであるCarboneは、10代のアメリカの映画スターを、日本のレコード業界が「アイドル」と呼ぶものに変えることを専門としています。

アイドル

日本では、アイドルの音楽フォーマットの定番です。中身がないように見える少年少女が、歌手としての才能ではなく、映画・テレビCM・バラエティ番組での成功という移り変わるフレームにより、ポップチャートを入れ替わります。
日本では、アメリカよりもマーケティングが重要です。ほとんどの家庭にケーブルテレビはないので、ミュージックビデオではなく、テレビCMが音楽を売るための主要な手段です。日本のヒット曲の半分以上は、広告のジングルやテレビ番組のテーマに端を発しています。
Carboneは、見た目の良さだけを使って、彼の才能を日本の音楽庫にまで高めていることを、堂々を認めます。
彼は自身のリビングで新しい3つの見通しについて話しました。「本当の才能のある人々は、大抵何もしません。しかしながら、十分にマーケティングされ、商業化されたプロジェクトは、非常にうまくいく可能性があります。」
現在22歳のAlyssa Milanoは、映画『コマンドー』でアーノルド・シュワルツェネッガー(が演じる役)の12歳の娘として、アジアの聴衆の注目を集めました。その役は、日本のテレビCMで、パスタとココアを売り出す仕事につながりました。広告のメロディーと歌詞はCarboneによって書かれ、後にポップシングルとしてリリースされました。
例えば、Milanoは、下部に「Song by Alyssa Milano」と書かれた短いパスタのコマーシャルで、スパゲッティへのオードを歌っています。この曲は彼女の次のCDでラブソングとしてリリースされ、1990年6月日本の洋楽アーティストトップ20に彼女の曲は3曲入っていましたが、その内の1曲でした。

(ジャーナリストの)ナカジマは述べました。「彼らがどれだけ上手に歌うかで差は出ません。歌ではなく、イメージです。独立したアートの形です。セレブのアート。」
俳優や女優の広報担当者は通常、日本でのレコーディング作業を急いでおり、それが日本での本格的な演技のキャリアの探求を妨げ得ると思われます。
Eddie Furlongは、彼のアルバム『Hold on Tight』で、これが厳しいやり方だとわかりました。彼はCarboneとコラボしてアルバムを作り、リードシングルは、1992年日本の洋楽アーティストで12週間1位でした。
ナカジマは笑いながら言います。「彼のアルバムをここでかけたとき、私の10歳の息子は『誰?彼は歌えていない!』と言いました。でも、日本の女の子たちは彼の声を聴いて、ただ幸せでした。」
どうも、Furlongでさえ、(基準に)達していないことをわかっていました。
ビバリーヒルズの彼の弁護士William J. Skrzyniarzは、述べます。「Eddieは、彼がやってしまった事実にかなり敏感です。彼はJoeyやレコードレーベルの人々を怒らせたくないのですが、歌のキャリアにやる気満々だったのは彼の保護者でした。彼は恥ずかしく思っています。彼は自分の声がひどいと思っています。」

Edward Furlong - Hold on tight

Edward Furlong出演CM 1992 ホットヌードル 歌は大黒摩季DA・KA・RA

日本のニーズ

エアロスミスのような名声が確立したロックバンドは、スタジオで1曲のトラックを作成するのに1か月を費やすことができますが、Carboneは通常、1日に1〜3曲を録音し、3週間でアルバムを完成させます。
ロサンゼルスで15年間働いてきた日本出身のベテランレコーディングエンジニアStan Katayamaは、Carboneが日本のクライアントと交流できることに驚いています。
Katayamaはこう話します。「彼は日本人の心がどのように機能するかを理解しています。彼は決してルールから外れず、レコードエグゼクティブの面目をつぶすことはありません。彼がどうやってそれを理解するのか分かりません!日本の幹部全員が、彼を好きで、尊敬しています。」
Carboneは、豊富な日本のポップミュージックのコレクションを持ってしています。彼は、ジャズ・ヒップホップ・アイドル・ヘビーメタルなど多岐にわたる音楽を書いたりプロデュースしていますが、日本で非常に人気のあるポップグループLindbergのようなメロディックな味わいが強いアーティストを好みます。

和訳は以上。

この時代のネット記事はレア。1995年の日本の洋楽ポップミュージック事情がわかって、とても面白かった。今とあまり変わってない。でも、洋楽が聴かれていた。見た目がかわいけりゃよく、歌なんか聴いていないと馬鹿にされているが、インスタマーケティングや、アーティストのプライベートを売りにしたり、アメリカの方が日本より音楽で評価しなくなってきてるんじゃないかしらね。

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