イギリスの違法薬物(ドラッグ)の現状

海外の薬物の現状知ってか知らずか、「違法薬物を怖がりすぎ。」とか、怖がっている方が恥ずかしいと思わせるツイートが拡散されている。偽科学、偽医療のような情報も多い。私もチョコレート大好きでやめられないから、チョコが体に良いという記事は信じたくなる。だから気持ちはわからなくもない。将来、違法薬物の何らかの成分が、何かの病気の治療に効果がある可能性も、もちろんゼロではない。

違法薬物って本当はどうなんだろう?薬物が蔓延したらどうなるのか?ということを検索しても、意外と知りたい情報にすぐにアクセスできなかった。違法ドラッグ非犯罪化派の人は、いくらでもたくさん発信しているから、逆に彼らが教えない事実をいくつか挙げておく。

イギリスの違法薬物(ドラッグ)の現状

(イギリス)ウェールズ政府は、薬物及びアルコール中毒に対応するために毎年5,000万ポンド以上を提供しています。

ウェールズの薬物による死亡率は、2008年から2018年の間に84%増加しました-人口100万人あたり39から72人。 2018年までに、ロンドンの2倍以上になりました。

Anti-drug work 'not making difference needed' in Wales - BBC News

2018年6月23日 15歳の少女が友人とMDMAとLSDを服用した後に死亡
売人は17歳と16歳の少年で、12歳の子供にまでLSDケタミン、MDMAを供給していた
Hannah Bragg: Teenage dealers sentenced over drug death - BBC News

2018年、イギリスのイングランドウェールズだけで4,359人が薬物関連で亡くなっている
How many people die from drugs? – DrugWise

議会は(イギリス)中央政府の削減に対応しており、薬物治療サービスへの支出を2015/16年以降約27%削減し、一部の地域では50%以上削減している
Drug-poisoning deaths in England and Wales at highest level ever recorded | Society | The Guardian

「人口100万人あたり39から72人」を東京都の人口で計算すると、544から1003人。東京だけでこの人数が亡くなるとしたら。毎年5,000万ポンドは、日本円に換算すると約71億円。依存症治療の予算を削減すると、中毒者が増えると言っているが、そもそもイギリス政府も財政が厳しく、警察や医療・福祉でさえも予算が削減されている状況。

イギリス緊縮財政により福祉財源が削減

昨年12月に来日し、Circus Tokyo/Osakaでライブを行ったRoss from Friends。ちょうど来日直前に下記の長いツイートをしている。

私はEssexで育った低所得世帯出身です。 90年代、私の母はあちこちで仕事をしていましたが、父は私たちの家に居座り、最善を尽くして奇妙なテクノロジービジネスを立ち上げました。
私たちは苦労して育ちました。私の父は無職だったので、南ロンドンの小さな公営住宅(私の祖母、父、姉妹は実際今も住んでいます)で育ちました。私の母は、私と姉妹のために、できる限りどんなお金でも稼ごうと努力していました。
私の両親は2000年を境に離婚し、父が精神障害により緊急救命室に出たり入ったりしていたので、(生活が)より困難になりました。
実際、私の母は私と妹を大学に行かせてくれました。母は良い教育を受けることが、本当に重要であると信じていました。そしてそれは、Essex以外のどこかで生活を経験できることを意味します。
Sixth Form Collegeに入学する前に何か学問的なことをしたかったのですが、この時点での自分のメンタルヘルスは非常に悪く、出席・試験・プレゼンテーションに苦労し、全てAレベル(を取ること)に失敗しました。
母はLewishamのこの音楽コースに申し込むように、私を促しました。それは父にとっても最適でした。父が古い公営住宅で痴呆とアルツハイマー病に苦しむ祖母の世話をするために南ロンドンに戻っている間、私に会うことができるので。
私は、学生ローン、低所得世帯の人たちのために設計された一連の助成金、そして母の助けを借りて、5年かけて大学で音楽の勉強を終えました。母はまだ余ったお金で私を援助しようとしています。
私の最終(学)年には、全般性不安障害・OCD・うつ病に対処するCBT療法を、NHS(イギリスの国民医療制度)から受けました。これは、最終(学)年から"働く世界"への移行を成し遂げるのに役立ちました。
現在私が専業ミュージシャンになれたことは、非常に幸運でした。触れられない(ほど神聖な)母の寛大さとイギリスの福祉国家が、私をここへ導くまでの道を切り開きました。
私がこれらの制度を経験して以降、事態は大きく変わりました。 もし今始めたら、自分が成し遂げたこと(と同じこと)をできるとは思いません。
今年の初め、私の祖母の財政援助は削減され、祖母と私の父は非常に不安定な状況に置かれました。 二人を良い状態で維持するために必要不可欠な祖母(への)援助を巡る絶え間ない戦いです。それは、二人にとって、とても大変です。私も、これまでにないほど大変でした。
私の父は、精神障害の後、去年深刻な脳損傷を患いました。 LewishamとKing's College Hospitalの医師と看護師は、文字通り父を生かしました。Phonoxで今年のある晩、オールナイトで父とb2bに行けるほどで、私は幸運でした。
NHS(の予算)を再配分することの脅威は、私を心底怖がらせます。教育の削減を考えると悩みます。 私の祖母の利益を取るという考えは、純粋に自己嫌悪になります。私と私の家族を生かし続けるこれらの制度は、私の目の前で減少しており、そのことは私を怯えさせます。
今週の木曜日、イギリスの総選挙は、これらの社会制度の維持において、そして私にとって、非常に重要です。
誰に投票するのか教えたくありません。 それはあなたの決断です。 私の生い立ちは、社会国家によって定められました。私の目には、代表する政府は1つしかありません。

 イギリスの医療保険制度が直面する課題
11 charts on the problems facing the NHS - BBC News

 万引きや犯罪被害などの一部の犯罪は"実務的ではない"ため、ロンドンでは捜査できない場合があります。
'Not practical' for Met Police to investigate all crime - BBC News

こんなに病気で生活が苦しい人への援助が削減されているのに、薬物及びアルコール中毒に対応に、ウェールズだけで71億円もかけていて、減らすなって言われてもと正直思ってしまう。病気になるのは仕方ないけど、違法薬物は手を出さなければ依存症にはならない。既に依存症の人は治療が必要だとして、新たな依存症患者を生み出さないために、取り締まりを厳しくするのは当たり前だと思う。
言うまでもなく、更生した薬物犯罪者への差別はダメ。でもそれは「違法薬物がOK」とは違う。「薬物は悪くない」みたいな考えが広まっているような気がしている。
日本の健康保険制度だって、全く他人事ではないのに、花粉症を保険適応外にする話題だけで、猛反発。(処方箋だけもらいに来ている人は多いし、3割負担なら薬局でアレグラ買ってもほぼ同額。)財源は有限で、いつまでも借金を先送りできるはずないが、現状を直視せず反発するだけで議論が進まない。警察が捜査してくれないなんて恐ろしいことだと思うけれど、具体的に緊縮財政を進めているイギリスがまともに思える。

 日本では

違法薬物フレンドリーな人が、「(違法薬物摂取は)誰にも迷惑かけてない。」ってよく言うのだけど、依存性が低いと言われる大麻だって、解禁に熱心な人は皆大麻経験者で、依存性があることを証明しているようなもの。コントロールしながら仕事もできる人もいれば、過剰摂取で亡くなる人がイギリスだけで4千人以上いるのも事実。親が違法薬物に依存してしまうと、子供の生活だけではなく、心も傷つける。

【五所純子/ドラッグ・フェミニズム】ラッパー・なかむらみなみが抱く麻薬で壊れた母の肖像(前編)

脱法ドラッグが問題となっていた時期があり、風営法改正の議論の際、クラブの深夜営業合法化反対の根拠となった

先日解除されたSydney lockout lawsは、午前1時半にナイトクラブに入場できなくなり、午前3時以降アルコールの提供が禁止という法律。薬物ではないが、10代の子供が亡くなったことがきっかけで制定された。某エリカさんは自宅での所持だったけれど、某DOOPNESSさんは鉄工島でのフェスの日に大田区で逮捕されているから、そういうことでしょう。一部の人が法律を無視して自由にやることで、他の人の自由が奪われる。

大麻

イギリスでも大麻は違法
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Drugs penalties - GOV.UK

――大麻に比べ、アルコールやタバコの方が有害だとの指摘もあります。
作用がまったく違いますし、アルコールやタバコと同じテーブルで論じることはできないんですよ。

いまアルコールやタバコという嗜好品があるにもかかわらず、なぜ危険性のある大麻をさらに嗜好品として認めなきゃいけないのか、という議論はありますよね。

マトリがCBD(製品)を買い取って分析すると、何%かTHCが混入しているものがあるんですよ。それが恣意的なのか、よくわからないですけどね。

大麻解禁論にMr.マトリが大反論「酒・タバコと同じテーブルで論じられない」

飲食業界で大ブームの大麻草成分「CBD入り」NYで販売禁止に
飲食業界で大ブームの大麻草成分「CBD入り」 NYで販売禁止に(安部かすみ) - 個人 - Yahoo!ニュース

2019年11月25日、FDAはCBDの食品への使用は違法という声明を出した
【CBD】 揺れるカンナビジオール食品市場 | 特集記事 | 日本流通産業新聞 | 日流ウェブ

性教育もそうだけど、個人的には違法薬物についても中学生くらいから正しい知識をつけた方が良いと思う。厚生労働省のウェブサイトの情報では、危険性が伝わらないと思った。しっかり調べもしていないラッパーやミュージシャンによる、薬物は危険ではないとか依存性は低いとか、そういういい加減な薬物プロパガンダは、本当にやめてほしい。

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