IC3PEAK 『Плак-Плак (しくしく)』ロシア家庭内暴力 | インタビュー及び本人による解説、歌詞和訳

インタビュー和訳

2020年6月のインタビューにて、作品『Плак-Плак (しくしく)』と、その背景となるロシアの家庭内暴力について、IC3PEAKの二人が語っている。

IC3PEAK – music and modern art (English subs) / вДудь

(左がアナスタシア、右がニコライ)

― かつて私は「IC3PEAKは音楽の現代アート」という定義を聞いたことがあります。それはどのくらい正しいですか?

アナスタシア:素敵な誉め言葉だと思います。最近では、音楽ジャンルや、伝統芸術と音楽は、融合しています。それら全てを、できるだけ音楽に吸収したいと考えています。政治や社会的行為。そして恐らく映画、なぜなら自分の曲のMVを撮影できるからです。

― 2人の間柄は平等ですか?
ニコライ:はい。

― 誰が最終的な決断をしますか?
ニコライ:誰もしません。

― 次のMVを作る議論をしていたとしましょう。アナスタシアがあなたのやりたいことに反対した場合、どうしますか?
ニコライ:議論します。遅かれ早かれ、一方が他方を説得します。

― あなた方は、決して衝突したり先延ばしにしたりしないと?
ニコライ:ええ、決して。私たちはお互いをかなりよく理解しています。

歌詞:
男性には従うようにと ママは私に教えました
言うことは聞きません 悪い子になります
パパの言いつけと違うことをします
星(運命)の代わりにナイフを手に取ります

以前のように あなたを抱きしめたい
けれど そのためには あなたの体を掘り起こさないといけません
あなたの冷たい骨は この下のどこかに横たわっています
死を悼むこの土地に やがて花が咲くでしょう

アナスタシア:これ(『Плак-Плак (しくしく)』)は、家族がどう機能するかと、どのようにトラウマになり得るかについての作品です。家族全員。家庭内暴力と、我々が現在生きている社会を我々自身でどう作るかについてです。そして、我々はそれを変える必要があります。変えるためには、先に我々自身が変わる必要があります。しかし、お話している通り、国が家庭内暴力の状況に介入すべきだと信じていることも確かです。

― 何を変える必要がありますか?
アナスタシア:プライベートなことを公にし、それについて話し合う必要があります。なぜならこう考えているからです。家族や家の中、壁の向こうで何が起こっているかは、とてもプライベートなことで話し合いに向いていません。年老いたロシア人が「汚いものを外に出すな」というように。

― つまり、簡単に言うと。まず、あなたは家庭内暴力法を支持していますよね。
アナスタシア:間違いなく。
(2016年から家庭内暴力法案が発議されているが、何度も否決されている。)
関連:DVに悩むロシアの女性、男性優越の壁壊せるか:東京新聞 TOKYO Web

― 次に、家で両親が子どもを虐待していたら、それを公けにする必要があると?
アナスタシア:そもそも、というかそれ以前に、セラピーに相談させるという方法を知る必要があります。最低限。しかし、もしこのことに適切に機能する法があったなら、警察へ虐待の通報ができると理解できるでしょう。虐待のピークで、目をそらしたり、冷笑したり、侮辱したりせずに。なぜこういった状況で、助けを求めてはいけないのでしょうか?自分たちを精神的に悪化させていることがわかっているのに。

― ビデオでは、文字通り深く切り込んでいます。あなたはナイフを持っています。

歌詞:
あなたの脳みそが壁中に飛び散っています(しくしく)
私はとっても怒っています ごめんなさいね(しくしく)
夢の中であなたが何百回も死ぬのを見ます(しくしく)
実際に死ぬのはそれほど怖くはありません(しくしく)

― 葬儀やそういうもの、私はInstagramにやばいビデオとして投稿さえしたかったくらいです。なぜなら、家庭内暴力は、残酷なことで、議論すべきことだからです。でも、私はそうしなかった。なぜなら、私が切り取ったどんな50秒も、本物の行動を呼び起こすものではないからです。ナイフで問題を解決するというメッセージですか?
アナスタシア:そうではありません。比喩です。犠牲者の反応を誇張した描写です。自分自身を定義する意味がある社会において、自分に暴力を施してしまっている。そういうことです。誰もが望まないことです。ですから、こういった問題に対し、もっとよい解決策を見つけましょうと。

歌詞和訳

IC3PEAK - Плак-Плак (しくしく)

しくしく
しくしく

あなたにメールを送り、夜明けまであなたを待っていました(しくしく)
あなたはもう私の電話に出ません(しくしく)
毎晩、枕の下に歯を置いておきます(しくしく)
(注釈:枕の下に置いておくと、寝ている間に歯の妖精がやってきて、抜けた乳歯の代わりにプレゼントをくれる。)
あなたを返してくれるように天国にお願いをします(しくしく)
私はずっと良い子で 悪くありませんでした(しくしく)
一生涯 良い女の子として ルールに従って生きてきました(しくしく)
泣いたり悩んだりするのは もううんざりです(しくしく)
どうせ何が起きるか予想できなかったでしょう(しくしく)

ラーラララーラー
ラーラララーラー

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男性には従うようにと ママは私に教えました
言うことは聞きません 悪い子になります
パパの言いつけと違うことをします
星の代わりに手榴弾を手に取ります

男性には従うようにと ママは私に教えました
言うことは聞きません 悪い子になります
パパの言いつけと違うことをします
星の代わりに手榴弾を手に取ります

以前のように あなたを抱きしめたい
けれど そのためには あなたの体を掘り起こさないといけません
あなたの冷たい骨は この下のどこかに横たわっています
死を悼むこの土地に やがて花が咲くでしょう

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しくしく
しくしく

あなたの脳みそが壁中に飛び散っています(しくしく)
私はとっても怒っています ごめんなさいね(しくしく)
夢の中であなたが何百回も死ぬのを見ます(しくしく)
実際に死ぬのはそれほど怖くはありません(しくしく)

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私はずっと良い子で 悪くありませんでした(しくしく)
一生涯 良い女の子として ルールに従って生きてきました(しくしく)
泣いたり悩んだりするのは もううんざりです(しくしく)
どうせ何が起きるか予想できなかったでしょう(しくしく)

男性には従うようにと ママは私に教えました
言うことは聞きません 悪い子になります
パパの言いつけと違うことをします
星の代わりに手榴弾を手に取ります

男性には従うようにと ママは私に教えました
言うことは聞きません 悪い子になります
パパの言いつけと違うことをします
星の代わりに手榴弾を手に取ります

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ラーラララーラー
ラーラララーラー

以前のように あなたを抱きしめたい
けれど そのためには あなたの体を掘り起こさないといけません
あなたの冷たい骨は この下のどこかに横たわっています
死を悼むこの土地に やがて花が咲くでしょう

以上が歌詞の和訳。

父親の殺され方が複数あるのは、夢の中だからとわかった。女の子の耳の中から出てきたり、三つ編みに上りついてきたりした小人が、仲良く頭の上で踊っている。それらは理想の家族像で、家父長制や世間の目から仲の良い家族を演じなければならないという抑圧の表現だと解釈した。女の子は、不満そうな目つきで見ていて、最後はそれらを両手で抑え込む。

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「実際に死ぬのはそれほど怖くはありません」という歌詞から、ラストシーンは恐らく毒を飲んでいる。

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