福岡の大学寮から全国各地を繋ぐ #鮮やかなダンス #スパオタ 主催 DJ girlfriEND

DJを始めてわずか1年半で、3つの配信イベントを主催するDJ girlfriENDさんに、お話を伺いました。

―DJ girlfriEND（ガルフレ）さんは福岡の学生さんでいらっしゃるという認識ですが、簡単に自己紹介をお願いしてもよいでしょうか。

福岡に在住する大学4年生です。もともと邦楽ロック等から音楽を聞くようになっていたのですが、大学に入って聞く音楽が広がったり、SNSで交流した音楽が好きな人がクラブによく行っていたりということがあり、クラブでのイベントに興味を持ちました。DJコントローラーを買ったのは一年半前、今のような企画を始めたのは大体一年前からです。

他の地方の大学を見ているとサブカルDJイベントを開くサークルが多々あったのですが、福岡はそういった動きが活発ではないというのに気付き、リアルイベントとして開いていました。私は毎週クラブに通い詰めたりお店の方と密接にコミュニケーションを取るのに向いている性格ではなかったので、自分で現場を作ってモチベーションを保つ.......くらいの気持ちで最初は始まりました。(笑) DJ間での繋がりも特になく、ご出演をお願いできる方もそう居なかったので一人2時間プレイをしていた頃もありました。

―配信イベントを複数主催されていますが、どのようなきっかけで始められたのでしょうか。

配信は小規模ながら行っていたのですが、本格的に始まったのはコロナ禍後、MU2020の初回が終わった直後です。当初は公募でDJを募って行っていました。
そこで行った配信の反響が予想以上に大きかったのを踏まえて、公募制ではなく全国各地様々なDJさんにご出演をお願いする形で、配信パーティとして組み上げていくようになりました。

―配信イベントをいくつか主催されていますが、夫々どういったイベントなのでしょうか。

まず2つのイベントに関して、簡単に言ってしまうと、スパオタは「アニメソングでDJをするパーティ」、鮮やかなダンスは「オタクがジャンルレスにDJをするパーティ」です。

最初は全部ごちゃまぜで行っていたのですが、ある程度客層が別れているためパーティを2つに分けて棲み分けをしようということになり、スパオタでは「原曲系」の選曲を中心に、鮮やかなダンスでは「アニリミ系」の選曲を中心に、と一応決めております。

ですが、最近はアニソン自体もダンスミュージックを取り込んだ曲が多くなってきているのでここの分類がかなり曖昧になっているな......と感じます。更に、アニソンとダンスミュージックをジャンルレスに行き来するDJさんや、サブカル色こそあれどアニソン無しでプレイ仕切るDJさんもいるので、鮮やかなダンスにおけるパーティの雰囲気は回によってガラッと変わっています。

「聞いてよGF」は、応募者のDJミックスを聴いて、フィードバックを返す配信です。

ひょんなことからDJを始める人たちが全国で増えているのですが、そういった方々がDJを続けるモチベーションを高めてもらうには、誰かに聞いてもらう機会を創出することこそがとても大事だと思い始めました。主催をする立場としても、間口を広く設けて色々な方のDJプレイを聞き、様々な価値観を勉強するのはとても重要だと考えています。

沢山MIXが来ても聞ききれるように12分以内のMIXの投稿をお願いしていますが、12分という制約の中でも大きく展開を出してくるプレイも見られ、様々な発見を感じながら聞いています。

―配信イベントでは、VJの代わりにガルフレさんが寮室で踊っている生映像を流しておられますが、見ている人に楽しみ方が伝わるように思いました。

実はあの手法は、VJをするためのスペックがなかったから編み出された妥協案でして.......笑　初めて見る方には度々DJに勘違いされます笑　今でこそ、パソコンを買い替えたのでVJは出来るようにはなっているのですが、躍る姿が配信の顔として定着しつつあるので続けています。好き勝手躍っているだけなのですが、DJさんからの評判が良いのが嬉しいですね。

配信中、グリーンバックがペロッと剥がれ落ち、慌てて手で押さえる様子をハラハラしながら見守るのも、録画ではないライブ感があって楽しかったです。

先日の配信では、DJさんのお部屋の映像と、グリーンバックの前で踊るガルフレさんの映像が重ねてあり、まるでガルフレさんがDJさんの家に遊びに行って踊っているように、とても上手くクロマキー合成されていました。高度なグラフィック映像は、現実感がなく逆にフェイクに感じてしまうので、こちらの方が生々しくリアルでした。

―公募や、（配信時は生DJをしない）ミックスの事前提出方式は珍しいと思いました。

事前MIX形式は学生が配信パーティをやる時は定番の手法となってきているのですが、私の企画では基本的に事前MIX形式で進めていました。DJさんの当日の負担という問題もあるのですが、全員生配信となるとマシンスペックがそこそこに要求され出演できる人が限られてしまうという難点があるのが気になったのです。
配信だからこそ、環境的なハードルは限りなく下げておきたいという気持ちがあります。

ですが、生出演できる方や動画で出演できる方には積極的にお願いしています。私が六時間躍る映像が流れるだけでは退屈ですし、出演方式にバリエーションが生まれるとメリハリが付いて面白いなと感じています。

―この半年、月に複数本配信イベントを主催されてきましたが、振り返ってみていかがでしょうか。

クラブで躍るというのは、クラブに行っている人からすると当たり前のことなのですが、行かない人からすると何が起こっているかわからない状態になっていることがしばしばあると考えています。

私もSpotifyのプレイリストからパーティを知ったり、DJさんを知るというのがありました。どんな場所で行われていて、どんな曲がかかって、どう楽しんでいるのか。そこに対する情報発信は欠かさず行っていきたいです。

自身の配信もそういったクラブに行ったことのない人に、どんなプレイが聴けてどんなふうに楽しむのかといった点について名刺代わりになれば良いなと考えています。

半年間配信を続けていましたが、様々なDJさんが配信を見てくださり、そこからご出演に繋がるといったこともあったので様々なご縁を感じています。コロナ禍が明けたら、全国各地のクラブを訪れて様々な方にご挨拶にお伺いしたいですね。

私の配信を見て、私のように躍る映像を出す「オタクらぶ」という配信企画を開催してくれた方が北海道に居て、不思議な連帯感が生まれています。スペック不足の妥協案から話題になったり、それに続いてインターネット上で交友が深まったりと、多くの人が閲覧できるからこそ何が起こるか分からないのがインターネットパーティの面白いところですね。

―その配信で繋がった、北海道の同じく大学生であるボルボロスさんと、年末に福岡で オタクらぶF を開催されるのですよね。間をとって東京ではなく福岡で開催というのがローカル性があって面白いですし、もしかして配信がなければ実現しなかったかもしれないですね。あと、鮮やかなダンスとスパオタも現場イベントとして開催されるのですよね。現場イベントは10か月ぶりだとか。

おっしゃる通り、配信がなければなかった出会いを濃縮したようなパーティになればと考えています。レギュラーメンバーよりゲストが多いというのが、自分の主催するイベントの特徴でもあります。集客の面で言えば都内で開催するのが間違いないのですが、お客さんにも福岡に足を運んで頂いてパーティが出来たほうが面白いなと考え福岡で開催することにしました。福岡のアニクラとサブカルチャーの重要な拠点Selectaさんで開催します。
スパオタFに関しては、福岡では珍しいオールナイトのアニクラです。全国的にも有名な福岡の名門クラブKieth Flackさんのメインフロアで開催します。この機会に初めての方も、ナイトクラブイベント特有の非日常感や、朝が来たときの達成感等も合わせて体験していただければと考えています。これを機に福岡でもオールナイトのアニクラが増えていけば良いなという願いもあります。

以上がメールインタビュー。

音楽もDJも作る人より、きちんと聴いて評価する人が不足していると思います。DJ機材を買っても続けるには、聴いてアドバイスする人も必要です。ガルフレさんは、恩に着せるでもなく、公募をしてレビューを続けておられます。コロナ禍での配信に苦戦する人も多い中、ガルフレさんは、（収益を考慮しなければいけない立場ではないとは言え、）地理的ハンデがない配信で勢力を拡大し、全国的に繋がりを深めました。配信では終わらず、現場でのイベントまで結び付けておられます。日本のクラブ業界の未来は、私が思っているよりずっと明るいのかもしれません。

DJ girlfriEND
Twitch https://www.twitch.tv/deejay_gf
Twitter ガルフレ (@DeeJay_GF) | Twitter