ディスコ元年 DJいとう 記憶に爪痕を残すラスボス感
2年前の配信なのに、印象に残っているDJプレイがある。
2018年9月1日 ディスコ元年 @渋谷White Space Lab
ディスコ元年でのDJいとうさんのプレイ。(いとうさんは、DJより絵を描くのがメインの方のようだ。)今聴き直してみると、繋ぎはあまりきれいではないし、有名な曲が多かったり、まとまりもない。けれど、特に6曲目以降、メリハリがあって、いとうさんにしかできないDJプレイ。
コマシちゃん: "#ディスコ元年"
6. The Black Madonna - He Is The Voice I Hear
この曲の前の曲が突然プツッと途切れて一瞬無音になる。わざとなのか失敗したのかわからないが、MCもなく静寂。緊張した空気と圧が、画面越しにも伝わってくる。もったいぶるかのように、The Black Madonna(現The Blessed Madonna)の名曲『He Is The Voice I Hear』イントロのピアノが、ゆったりと静かに流れ始める。何なんだ、この醸し出される荘厳さと威厳。ディスコ元年というギャグみたいな、しかもWhite Space Labという小さな箱で。このDJさん、めっちゃかっこいいなと思った。
7.パソコン音楽クラブ - Inner Blue(Batsu Remix)
唐突に日本語アンセム、『Inner Blue』懐かしい。前の曲からの繋がりはスパッと断ち切って、気持ち良いくらい堂々とかけている。
8. CAPRICORN - 20 HZ (1993)
マッシュアップしながら、一転してメロディのない地味なこの曲へ。『Inner Blue』の「それは~」とマーチングバンドのようなドラムが掛け合いになっている。
9. SOUL SCREAM - Tong Poo(Remix)
前の曲の打楽器のビートに、Tong Pooのチクタク音を重ねている。音の数はぐっと減って更にミニマムに。DJをするときは、かならずYMOをかけるそう。
今の毎回DJやるときにYMO掛ける友達って私のことなので(大嘘)
— いとう (@golem_inc) 2019年1月2日
クラフトワークYMO電気と経由して90年代テクノに浸かり16の頃にはOvalだのAutechreだの通販で集めてたのでテクノそこそこ好きと思うけど、最近までハウスというジャンルが全然わからず「ビートマニアみたいな?やつすか?」等と解像度マイナス5億みたいな事言ってたし平沢進中田の人を笑えない。
— いとう (@golem_inc) 2019年3月13日
13歳のときにヤフオクのシステムを親に説明し代理で入札してもらって何も考えずに部屋のドアにベタ貼りしたYMOのポスターが実家のリフォームを経てもなぜか残存しており、見る度に感情になってしまう pic.twitter.com/ueEuUQKf1f
— いとう (@golem_inc) 2017年5月4日
そこから2曲、華やかな曲が続く。
10. Kölsch - Grey
4つ打ちに乗るど派手なブラスの音が特徴的。ストリングスの音が6曲目との統一感を感じる。
11. Fatboy Slim - Right Here Right Now (CamelPhat Remix)
6.『He Is The Voice I Hear』と11.『Right Here Right Now』のストリングス、10.Kölsch『Grey』のブラス、数十人の小箱で小柄なDJがやってるととは思えないラスボス感。Tomorrolandとかだったら、でかいはりぼてのドラゴンがドライアイスの吹いてそうな。笑っちゃうくらい超有名曲なのに、DJの存在が負けていない。手をパーンと上げるとか、煽るとか一切ないのに、不思議。BPMの遅い曲を、物おじせず堂々とゆったりかけているからだろうか。いや、それだけじゃないんだよな。KölschとFatboy Slimなんて、かける人やかけ方によっては、めちゃくちゃ安っぽくなるやんね。
忘れられないプレイをするDJさんと、それを感じ取れるオーディエンス。ちょっと気にかけてみれば、きっといろんな場所にいるはず。
翌年2019年4月のディスコ元年のフライヤーは、いとうさんの作品。アイドルDJでなくて、なんか普通にいそうな雰囲気で良いですね。「ディスコ」掲げて夢中になっているところも。