ディスコ元年 DJいとう 記憶に爪痕を残すラスボス感

2年前の配信なのに、印象に残っているDJプレイがある。

2018年9月1日 ディスコ元年 @渋谷White Space Lab
ディスコ元年でのDJいとうさんのプレイ。(いとうさんは、DJより絵を描くのがメインの方のようだ。)今聴き直してみると、繋ぎはあまりきれいではないし、有名な曲が多かったり、まとまりもない。けれど、特に6曲目以降、メリハリがあって、いとうさんにしかできないDJプレイ。
コマシちゃん: "#ディスコ元年"
f:id:senotic:20201029205646j:plain

6. The Black Madonna - He Is The Voice I Hear

この曲の前の曲が突然プツッと途切れて一瞬無音になる。わざとなのか失敗したのかわからないが、MCもなく静寂。緊張した空気と圧が、画面越しにも伝わってくる。もったいぶるかのように、The Black Madonna(現The Blessed Madonna)の名曲『He Is The Voice I Hear』イントロのピアノが、ゆったりと静かに流れ始める。何なんだ、この醸し出される荘厳さと威厳。ディスコ元年というギャグみたいな、しかもWhite Space Labという小さな箱で。このDJさん、めっちゃかっこいいなと思った。

7.パソコン音楽クラブ - Inner Blue(Batsu Remix)

唐突に日本語アンセム、『Inner Blue』懐かしい。前の曲からの繋がりはスパッと断ち切って、気持ち良いくらい堂々とかけている。

8. CAPRICORN - 20 HZ (1993)

マッシュアップしながら、一転してメロディのない地味なこの曲へ。『Inner Blue』の「それは~」とマーチングバンドのようなドラムが掛け合いになっている。

9. SOUL SCREAM - Tong Poo(Remix)

前の曲の打楽器のビートに、Tong Pooのチクタク音を重ねている。音の数はぐっと減って更にミニマムに。DJをするときは、かならずYMOをかけるそう。

そこから2曲、華やかな曲が続く。

10. Kölsch - Grey

4つ打ちに乗るど派手なブラスの音が特徴的。ストリングスの音が6曲目との統一感を感じる。

11. Fatboy Slim - Right Here Right Now (CamelPhat Remix)

6.『He Is The Voice I Hear』と11.『Right Here Right Now』のストリングス、10.Kölsch『Grey』のブラス、数十人の小箱で小柄なDJがやってるととは思えないラスボス感。Tomorrolandとかだったら、でかいはりぼてのドラゴンがドライアイスの吹いてそうな。笑っちゃうくらい超有名曲なのに、DJの存在が負けていない。手をパーンと上げるとか、煽るとか一切ないのに、不思議。BPMの遅い曲を、物おじせず堂々とゆったりかけているからだろうか。いや、それだけじゃないんだよな。KölschとFatboy Slimなんて、かける人やかけ方によっては、めちゃくちゃ安っぽくなるやんね。

忘れられないプレイをするDJさんと、それを感じ取れるオーディエンス。ちょっと気にかけてみれば、きっといろんな場所にいるはず。

翌年2019年4月のディスコ元年のフライヤーは、いとうさんの作品。アイドルDJでなくて、なんか普通にいそうな雰囲気で良いですね。「ディスコ」掲げて夢中になっているところも。

f:id:senotic:20201030133243j:plain

Copyright © 電子計算機舞踏音楽 All Rights Reserved.