似ているようで違う シンガポールと日本の新型コロナウイルス（COVID-19）対策
感染者数もまだ少なく、ロックダウンせず経済活動を続けながら、徹底して感染者追跡をするという点で似ているシンガポールと日本。調べてみると様々な違いが。
クラブ閉鎖前「送別」イベント
シンガポールでも、26日23時59分より、クラブや映画館等の娯楽施設が閉鎖される。26日の夕方、厚生省のウェブサイトを見てみた。ちょっと笑ってしまった。閉鎖前に「送別」イベントをやろうとしている事業者への警告。日本のクラブの人は、監視だと言って反発しそう。私は正直者が損するのは嫌いだから、合理的で明確なルールを決めたら、徹底してくれた方がいい。
[ 通知 ]
シンガポール政府観光局、エンタープライズシンガポール、シンガポール警察による共同声明すべての娯楽施設は3月26日（23時59分）から4月30日まで閉鎖されるという昨日の発表に受け、多くのナイトライフ経営者が今夜「送別」イベントを開催する予定で、多数の人々が集まる可能性があることを認識しています。
より厳しい安全な距離策を施行するという複数省庁のタスクフォースの決定は、医療システムに更に負担がかかる可能性のある、新たに地元でのCOVID-19クラスターを生み出すリスクを、大幅に削減することを目的としています。2020年3月26日の23時59分により厳しい措置が実施されるまで、ナイトライフ経営者は、2020年3月20日に厚生省によって発表された安全な距離策を厳格に実施し続ける必要があります。 参加者が250人未満のイベントでは、すべての参加者間の距離を少なくとも1メートル確保し、参加者間の混雑を減らすなど、必要な予防策をすべて実装する必要があります。
これらの安全な距離策は、法的強制力があります。シンガポール警察を含む政府機関の役員は状況を監視し、今後2日間、強制執行を実施するために現場にいます。 交通警察はまた、この期間中、飲酒運転に対する島全体の強制執行を実施する予定です。 私たちは従わなかった人に対して、躊躇せず措置を講じます。
この間、私たちはシンガポール人が適切な判断と社会的責任を取るよう訴えます。 この世界的大流行の真っ只中、仲間の同胞のシンガポール人と私たちの愛する人たちを安全に守る上で、重要な役割を果たすでしょう。
シンガポールと日本の比較
人口・面積・感染者
シンガポールも日本も、感染者数はまだ少なく、ロックダウンしていないが、海外から帰国者の感染事例が増えている。
＜人口＞
日本 1億2千600万人 （シンガポールの約22倍）
シンガポール 570万人
＜面積＞
日本 377,900 km2（シンガポールの約520倍）
シンガポール 721.5 km2
＜新型コロナウイルス 感染者数・死亡者数＞
シンガポールの感染者数は、日本の約半分。人口あたりの感染者数は、日本の約11倍。ただし、死亡者が少ない。
社会的距離（social distancing)
WHOも人と人との間の距離を1メートル空けろと言っている。
＜シンガポール＞
1メートルと明示。レストランの座席や行列など、具体的な対応方法も。映画館では1メートルずつ空けて席を販売。
＜日本＞
日本では世界と比較して、街中でもネットでも、社会的距離 (social distance)の認知度が極端に低いように感じている。厚労省のポスターにも、具体的な距離の表示無し。「満員電車はどうするんだ。」という批判をさけるためなんだろうか。世界規模のパンデミックで、他国は「家にこもれ」と呼び掛けているのに、「外出しましょう！」、やっぱり経済優先。「3つの条件が重ならなければ大丈夫。これだけを避けて、経済を回しましょう。」みたいな記事も多い。
集団感染リスク対策
＜3月24日 シンガポール＞
・ナイトクラブ、ディスコ、映画館、劇場、カラオケ店などのバーや娯楽施設は全て閉鎖
・全てのイベントと集会（例：会議、展示会、フェスティバル、コンサート、スポーツイベント、見本市）は、規模に関係なく、延期またはキャンセル
・誕生日や結婚式を含む、一度に10人以上が参加する社交行事や集会を開催したり、参加したりすることは避け
・葬儀と葬祭の場合、出席は可能な限り家族のみに制限
＜3月25日 日本＞
小池知事は会見で、「ライブハウスなどについても自粛の要請を個別に行っていくので、協力してほしい」
知事 感染者急増で緊急記者会見｜NHK 首都圏のニュース
水際対策
先に海外の方から入国や渡航禁止にしてくれているから、日本に入国されず助かっているところはあるけれど、未だに多くの国から外国人が入国できる。3月21日の時点で、イタリアからのゲストDJが小箱でジャパンツアーをしていて、さすがに驚いた。
＜シンガポール＞
3月23日23時59分から外国人の入国を禁止、トランジットも不可
https://www.moh.gov.sg/news-highlights/details/additional-border-control-measures-to-reduce-further-importation-of-covid-19-cases
＜日本＞
3月27日からイタリアなど22カ国、入国拒否の対象に追加
入管法に基づいて入国拒否の対象になるのは、アイルランド、アンドラ、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロベニア、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、バチカン、フランス、ベルギー、ポルトガル、マルタ、モナコ、リヒテンシュタイン、ルクセンブルクの欧州21カ国とイラン。14日以内にこれらの国に滞在歴がある外国人は、27日から特段の事情がない限り入国できない。
イタリアなど22カ国、入国拒否の対象に追加 [新型肺炎・コロナウイルス]：朝日新聞デジタル
※アメリカからはまだ入国可能
＜中国＞
3月28日から外国人の入国禁止
東京新聞:＜新型コロナ＞中国、外国人の入国禁止 あすから 水際対策を強化:国際(TOKYO Web)
＜台湾＞ 3月19日から台湾国籍を持たない外国人の入国を禁止、24日乗り継ぎ禁止
＜香港＞ 3月25日から香港非居住者の入境・乗り継ぎ禁止
＜フィリピン＞ 3月25日から外国人の入国禁止
＜タイ ＞3月26日から外国人の入国禁止
https://www.yamatogokoro.jp/inbound/wp-content/uploads/2020/03/f952d3b041f0a4f317503368e404e004.pdf
感染拡大地域からの帰国者
シンガポールでも日本でも帰国者の感染ケースが増えている。
＜シンガポール＞
3月25日23時59分からイギリスとアメリカからの帰国者は、政府専用施設で隔離。
https://www.moh.gov.sg/news-highlights/details/promulgation-of-regulations-under-infectious-diseases-act
＜日本＞
水際対策の抜本的強化に関するQ＆A（令和2年3月26日時点版）
１ 検疫について
問１ 今回の水際対策強化にかかる追加措置で、具体的に、入国の前後でどのようなことが求められることになりますか。
□ 健康状態に異常のない方も含め、検疫所長の指定する場所（自宅など）で入国の次の日から起算して14 日間待機し、空港等からの移動も含め公共交通機関を使用しないこと
□ このため、入国前に、ご自身で入国後に待機する滞在先と、空港からその滞在先まで移動する手段（公共交通機関以外）を確保すること
□ 入国の際に、検疫官によって、入国後に待機する滞在先と、空港から移動する手段について検疫所に登録いただくこと
新型コロナウイルスに関するQ&A（水際対策の抜本的強化）｜厚生労働省
26日に帰国した人によると、書類を書いて宣誓させるだけらしい。空港近くのホテルだって、感染拡大地域から帰国した人が、たくさん宿泊しに来るのは怖いよね。
厚生労働省は、中国や韓国、それに欧米などの４１か国から入国する人について発熱などの症状があればウイルス検査を行い、症状がない人も入国後２週間は自宅やホテルなどで待機することを要請しています。
「成田地区ホテル業協会」によりますと、検疫所が現在行っている手続きでは、待機要請を受けた人がホテル側に申し出なければ把握することができないということです。
成田地区ホテル業協会は、「水際対策の必要性は理解しているが、ほかの宿泊客や従業員の理解も得ながら感染対策の徹底を図る必要がある。適切に情報共有してほしい」と訴えています。
学校
＜シンガポール＞
週1回在宅学習の日を設け、徐々に混合モデルに移行。
（小中高・大学で曜日を分け、登校する日は終業時刻もずらし、混雑のリスクを下げる。）
https://www.moe.gov.sg/news/press-releases/schools-to-implement-one-day-of-home-based-learning-a-week
3月25日23時59分からシンガポールに帰国した人と同じ世帯に滞在する学生は、14日間の休学（LOA）
3月14日以降に英国、米国、ASEAN諸国からシンガポールに戻った人と同じ世帯に滞在する学生は、14日間の休学（LOA）
学生のLOAは、世帯内の人がシンガポールに戻った日から始まります。
https://www.moe.gov.sg/news/press-releases/joint-moe-msf-statement-on-additional-precautionary-measures
3月14日以降に海外から戻ってきた生徒、学校のスタッフ、幼稚園、学生ケアセンターに14日間の休暇（LOA）
https://www.moe.gov.sg/news/press-releases/schools-and-kindergartens-to-re-open-with-enhanced-precautionary-measures
学校全体は閉鎖しないが、帰国者と家族内感染が多かった事実から、リスクの高い生徒だけを登校させない対策。なんて合理的なの。厚生省・経済省・文科省といった省庁間をまたぐ場合も、調整と施行のスピードが速い。コロナ関連で情報が一元化されている。通知された内容が上書きされず、履歴が全てウェブサイトに残っている。経済成長国で財政的にも余裕があり、小国で小回りがきくというのもあるだろうけれど、日々出される国の通達の的確さとスピードに感服している。
＜日本＞
4月の新学期から再開予定
