コロナ禍後ナイトクラブの再開(スペイン、イビザ)バブル崩壊

Resident Advisorは、本当に良い記事書くよね。というか私が好きな。海外のクラブメディアでさえ、新譜のプロモーションまがい、テクニカル系(それも結局はプロモ)が多くて、カルチャーも昔話が多い。日本のメディアはそれを訳すだけ、オリジナル記事がほとんどない。ピックアップするのは、メディアの中の人と親しい人ばかり。コネクションがない人が、突然取り上げられることはない。インタビューも、内輪の緩い話。だからいつまでたっても、界隈が縦割り。そりゃカルチャーも育たんわね。

日本もいつから海外アーティストを招致できるかわからない。「外タレ依存ばっかりしてたら、あかんで。」と言い続け、その懸念が現実のものとなった。地元ローカルの価値やアイデンティティを見つめなおしたり、地元回帰できる良い機会。イビザでの取り組みも参考になるかも。

以下、和訳。

 パンデミックでイビザのバブルははじけるのか?
RA: Could The Pandemic Burst Ibiza's Bubble?

今年の夏、観光業が劇的に縮小することが予想されるため、地元のDJとプロモーターが集まり、厳しい状況を思い切り楽しもうとしています。音楽的には、それは単に島が求めているだけかもしれません。 Carlos Hawthornが掘り下げます。

イビザの感染状況

例年の5月下旬までには、イビサは観光客や音楽業界のプロでにぎわいます。 クラブがオープンし、豪華クルーズ船が港に集まり、人気のレストランのテーブルは一挙に姿を消します。 しかし、今年は2020年です。世界の大部分と同様に、White Isleは、COVID-19パンデミックにより深刻な封鎖状態にあります。 見る限り観光客はいません。 スペイン政府が緊急事態を発令してから10週間、たった今、生活はゆっくりと日常に戻りつつあります。

イビザCocoonの代表であるJohannes Gollerは、電話越しに私に話しました。「私は、今朝午前9時、Salinas(ビーチ)を通り過ぎしました。驚いたことに、既に100人か200人いました。誰もがこの瞬間を待っていたからです。私は、(妻の)Sarahに言いました。『さあ、ビーチで素敵なピクニックをして、私たちが島にいるという事実を楽しみましょう。』」

現在世界で5番目に死者数が高いスペインですが、他の地域と比較すると、バレアレス諸島は最悪の事態を免れています。 5月25日月曜日の時点、イビサとフォルメンテーラでの症例は169件、死亡者は12人名で、死亡者を記録したのは、4月23日が最後です。5月1日以降、症例数の増加はたった11です。状況は比較的抑制されているため、バレアレス諸島はスペインの多くの地域と同様に、5月25日に、政府の4段階の緩和計画のフェーズ2に移行しました。 住民は、ついに海に戻ることができました。

感染防止のための制限

このような経過にもかかわらず、イビサ島は、休暇の旅先として60年の歴史の中で、そのどの年とも違う夏に直面しています。社会的集まりや海外旅行に対する制限は、島の生命線である観光が大打撃を受けることを意味します。 7億7,000万ユーロと仕事の35%を占める世界的に有名なナイトライフ産業は、夏の間はいくつかのクラブが営業できない可能性があり、通常の数分の1の規模で運営されるでしょう。あるビジネス オーナーのグループは、夏のシーズンを11月まで延長するキャンペーンを行っています。

最短で、島がフェーズ3に入る6月10日に箱を開けることはできますが、キャパは3分の1しかありません。 いずれもどうなるのか、まだはっきりしません。系列箱のHïとUshuaïaは、5月と6月の全てのイベントをキャンセルしました。 私が連絡した他の箱のうち、PachaとAmnesiaの2つだけが応じ、具体的な情報はありませんでした。 6月22日にイビサがその最終段階である「新しい日常」に入るときの、キャパと社会的距離に関する政府からのさらなる指示を、誰もが待っています。

乗り切るアイディア

AmnesiaののアートディレクターMartin F. Vegaはメールでこう述べました。 「誰にもわからないですよ。 少なくともいくつかのパーティをするために全力を尽くします。」 (我々のやり取りの後、、クラブは#KEEPTHEPARTYALIVEと呼ばれるソーシャルメディアキャンペーンを開始しました。これは、2020年または2021年のTBC(未定)イベントの割引チケットを、お客さんに提供します。)

7月以降は、全くわからないままです。先週の土曜日、スペインのPedro Sánchez首相は、7月から外国人が検疫期間なしで(スペインへの)訪問を許されることを発表し、全国的な苛立ちを鎮めました。 RyanairとLufthansaは、イギリスとドイツからの(スペインへの)フライトを約束しています。 これは、毎年夏に数百万人の観光客を受け入れるイビサにとって朗報です。 しかし、人々は来るでしょうか? そして、彼らはどんなパーティーシーンを見つけるのでしょうか?

「島の野外会場ではパーティーを主催できる可能性が高くなるでしょう。」とGollerは言います。他の誰もとも同じように、彼はより多くの情報を待っている間、いくつかの箱に探りを入れています。

地元の団結

1992年にイビサ島に移住し、DJとして働くClara Da Costaは、こう言いました。「我々が団結し、更に団結を強めることが、今、かなりの規模に対して起きようとしていると思います。」

この全くの不透明感は、Da Costaのような元から島にいる多くのDJとプロモーターに働き口をもたらしました。 パンデミックは、彼らに、ユニークで予想外の機会を与えました。ダンスミュージックの大物と競わず、パーティーを開く機会です。 普段は、オフシーズンにのみに与えられる贅沢です。

Ryan O'Gormanは、2000年から島でイベントを開催しています。(イビザのクラブ)Spaceを宣伝するJamie Jonesは、彼の最初のパーティのレジデント(レギュラーDJ)でした。ウイルスが襲う前、O'Gormanは、DJ・宣伝・イベントコンサルタント・クリエイティブエージェンシーの管理に時間を割いていました。 その仕事の多くは、現在キャンセルか保留のため、彼は、その精力をSocial.Localに振り向けています。 彼は、今後数週間以内に、最初のイベントを発表したいと考えています。 彼は言いました。「それはスペイン人、イギリス人、フランス人、アイルランド人の地元のプロモーターのグループによって運営されます。それは社交的なクラブなので、誰がイベントに来るのかをわかっています。旅行をしてきて、何かの種類の病気を広める危険がある人々ではありません。私たちは協力してデータベースを共有します。互いに競い合う意味がありません。」

商業的なクラブシーン

いつもならイビサのクラブシーンは、世界で最も競争の激しく、最後の行はページから飛び出します(=桁違いです)。 5月から10月にかけ、約12の会場が、大量の観衆を呼び込むためビッグな出演者を争い、週7晩ほどパーティーが開催しています。 チケット、飲み物、グッズ、宿泊施設など、全てが天文学的に高価です。 必然的に、一番お金を持っている人が勝者になります。

O'Gormanは言いました。 「この数年イビザは、極端に商業的になりました。シーン全体が、国際的なプレーヤー、つまり出演者とプロモーターに、完全に依存しています。ある程度までここでずっと存在していた小さな地元のシーンは、基本的に根絶されています。冬にはまだ存在しますが、夏になるとすぐに、彼らは姿を消します。その影響で、最早(イビザのある)バレアレス諸島文化を、本当に失ってしまいました。シーンにおいて、イビザ固有のものは何もありません。」

Da Costaは言いました。「全く異なる2つの文化があるようなものです。ここに何年も住んでいる私たちの多くは、商業的なモンスターがやって来て、恐ろしいことになったのを見ました。侵略のように感じました。 そして、それは強いコミュニティです。」

地元ローカルの復権

2vilasとして一緒にDJしているHector AvilaとCarlos Vilaは、このコミュニティの要です。 DJと同様に、彼らはパーティーを運営し、イビサ市に、ハウス・テクノ・エレクトロのよりディープ系を専門とするMTMというレコードショップを所有しています。今後のギグがすべてキャンセルされ、店からのオンライン販売で生活し、余った時間で、友達と小さなイベントを企画しています。友達の多くがイビサ出身のDJやプロデューサーです。

Vilaは、こう語りました。「この夏、野外でいくつかのイベントを行いたいです。それは野外なので、1〜2週間で50人か60人のイベントを2つ、続けて開催できるはずです。少しずつ人を分けて。現時点で大きなイベントを開催できないなら、 バーベキューから始め、そこからパーティーを進化させなければなりません。」

二人は、いくつかのメイン箱とも話しています。 パーティーをする場合、安いエントリーとより安いドリンク代に縮小します。既にAmnesiaはこの方向に動き、5ドリンクを含む45ユーロのチケットを販売しています。 私が最後にいたときの2017年には、ペットボトルの水は10ユーロ(約1,200円)でした。

イビサ出身のAvilaは、「クラブが以前の本質、サウンド、独自性を取り戻すことは良いことだと思います。」と語りました。 13歳で彼が初めてDC-10に行ったとき、彼はトイレの窓から侵入しました。 「ここ数年、あなたは多かれ少なかれどこでも同じことを聞いています。国際的にあまり知られていない地元のアーティストと一緒に働くことにより、クラブが本質に回帰できるかどうか見てみましょう。それは冬場にはあるバイブスです。」

(中略)

バブル崩壊

この夏、無傷で切り抜けるイビサの企業はほとんどありません。 多くの人にとって、来たる冬は、いつもは旅行したり睡眠を取り戻す時期ですが、信じられないほど厳しいものになるでしょう。 フードバンク(生活困窮者への食糧配給)は、既に現実のものとなっています。 しかし、明るい兆しがあるとすれば、イビサの夏の音楽シーンにおいて、ついにバブルが崩壊してしまうということです。 2021年とそれ以降、これが何を意味するかは不透明です。 COVID-19の連鎖反応で、破滅的になるでしょう。ヨーロッパは歴史上最悪の不況に直面しています。 それで、60ユーロのチケット、15ユーロのビール、そして膨らんだDJ料金の世界に戻ると想像するのは難しいです。 しかし、おそらくそうなるか、もっと悪い状況になるかもしれません。

Gollerは言いました。「イビサがその活力を維持し、さらにいっそう完成された主流にならないことを願っています。最も暗い見通しは、裕福な外国人投資家がここに来てここの全ての営業許可を買い占めることです。それは明らかに悪夢です。私たちが知っているイビサの終わりになるでしょう。」

しかし今のところ、希望があります。Da Costaは言いました。 「この島には何かがあります。私たちは彼女が去ってしまったように感じました。私たちは、彼女を呼びます。「彼女、イビザ、イビサ島」ここで物事が爆発的に拡大し飽和状態になると、多くの人がその精神が消えて無くなったと感じました。そして、私たちはそれが戻ってくると感じるようになると思います。最早、強欲は一番になれません。」

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