ベルリンのクラブカルチャー『://about blank』

インスタ相互フォローのイタリアのご老人に「毎日ニュースをチェックしているから、イタリアの状況を知っているけれど、元気出してね。」ってコメントを送ったら、お返事が来た。今のところご無事のようで良かった。ツイッターではシェアしたエントリ。イタリアのリアルな現状が書かれている。

誰にも読まれなかったとしても、私は自分の書きたいことを書くけれど、読んで下さって、賛成でも反対でも何かしら感じたり考えてもらえるのは、とても嬉しい。改めて、いつも読んで下さってありがとうございます。
ご存じの通り、しばらくクラブカルチャーについて考えている。本日の写経的和訳は、ベルリンの人気クラブ『://about blank』のステイトメント。

2020年3月14日
ABOUT BLANK - ://about blank: sag alles ab | temporäre... | Facebook

親愛なる://about blankの友人

今日は全てが変わりました。
ベルリン市長は、コロナウイルス感染の増加を鑑み、第一線のウイルス学者の助言を受け、ベルリンのクラブの予防的閉鎖を命じました。 10周年を6週後に控え、追って通知があるまで、全てのイベントをキャンセルしなければなりません。市長が発表した禁止令に従います。この決定で打撃を受けるのは、我々『://about blank』の従業員、プロモーター、DJだけではありません。ベルリンのクラブカルチャー全体です。悲しいことですが、他に選択肢はありません。コロナウイルスの感染率が高い限り、普段通り続けることはできません。現在の状況では、どこの誰かわからず、体を近づけ、愛すべき不謹慎さにより成功するイベントを開催するのは、社会全体に対して無責任です。特に高齢者、慢性疾患を持つ人々、社会から取り残された人々、人種差別によって排除された人々が、世界中で脅かされています。

資本主義危機でもあるこの世界的な危機に直面し、緊縮に毒された利益志向の医療制度が能力の限界に達したことは明らかです。外からのヨーロッパへの入り口の門を閉めました。世界中の多くの場所において、covid-19(新型コロナウイルス)だけによるものではなく、この状況は多くの人にとってより深刻です。

『://about blank』が設立されたのは、裕福になるためではなく、世界をより良い場所にしようと貢献するためです。私たちの経済モデルは、あちこちで強いられている資本主義的搾取とは正対する試みです。現在、他の多くのサブカルチャーとクラブカルチャースペースと同様に、この存在は脅かされています。

連帯経済(利潤追求のみならず、労働者の権利や環境保護なども追及する経済活動)とフェミニストの自己概念で補い合い集団的に組織されているので、資本主義のルールの経済圧力の下、長期継続的な収入なくして、持ちこたえることはできません。我々には、株主・陰のパートナー・投資家はいませんでしたし、これからも持つつもりもありません。『://about blank』を所有している人は誰もいません。常に、利益は全て、全従業員に平等な賃金として支払われます。若しくは、メンテナンスとリノベーションに。冬シーズンに様々な分野で働いている100人以上の従業員に給料を支払うには、安定した収益が必要です。更に、全ての自営業のアーティスト・ミュージシャン・グラフィックデザイナー、全ての親愛なるイベント開催のオーガナイザー・プロモーターは、深刻な影響を受けています。そしてもちろん、様々なフェミニスト・反レイシスト・反ファシストのイニシアチブやプロジェクト、我々は過去10年間サポートすることができましたが、soliparty(目的のために署名や寄付を集めるパーティ)を通じて集められた基金は停止します。
パンデミックと政治社会的状況の展開に強く依存しているため、現時点では次のステップはわかりません。過去の資本主義危機管理とその時の物事の優先順位を見ると、今のところ楽観的な根拠ありません。

既にこの数日間で、多くの心配する問い合わせや援助の申し出を受け取っているので(非常に感動的です。)『://about blank』を守るために必要なもの、あなたが支援してもらえるものが分かり次第、ここで簡潔な情報をアナウンスします。来るべきクラブが無い期間、あなたが確実に貢献できる、既に存在する選択肢の1つは、SpotifyiTunesかbandcampの我々のレーベル(aboutblankberlin.bandcamp.com)で、デジタルの過去作品を手に入れることです。

コロナウイルスにより、多くの場所で、社会を権威主義的な構造に変え、社会的排除の破壊的なスパイラルが始まり、分断の可能性があります。これに反対するために、2年前に「afd wegbassen - keine halben sachen」の声明で、他のクラブと一緒に宣言した内容に固執します。

ナチスではない全て、嫌われているもの全てが、ベルリンのクラブカルチャーです。私たちは進歩的で、クイアで、フェミニストで、反人種差別主義で、インクルーシブで、カラフルで、ユニコーンがいます。我々のダンスフロアでは、多様な性的欲望を持った、変化しているアイデンティティの、センスの良い、あらゆるバックグラウンドの人々が集います。
対照的に、afd(ドイツ極右政党)とpegida(西欧のイスラム化に反対する欧州愛国主義者)は、抑圧的で、異性愛規範的で、反フェミニストで、人種差別的な社会のイメージを具体化します。彼らの目標は、民族形成、民族主義、同質国家の再構成、そして所属すべきでない全ての人々の非難です。」

つまり、全てキャンセルします。連帯を示します。お互いに気を付けましょう!

#flattenthecurve - blankに代わるものはない。

the collective of ://about blank

以上、和訳はここまで。

過去、箱である『://about blank』は、パレスチナ問題解決のアプローチの違いにより、自主企画ではないイベントをキャンセルしている。箱とイベントという関係でも、ダメだと思うものには、ノーと言って行動している。キャンセルされた方も、極右とかではなく、パレスチナのことを考える立場は同じなんだけどね。しっかりとした主義主張があり、ビジネスでは運営していないということやね。
RA: ニュース: ベルリンのクラブ://about blankが、#DJsForPalestine 支持のRoom 4 Resistanceパーティーをキャンセル

 ベルリン クラブ コミッションとジョージア BASSIANIのステイトメントは下記のエントリで。

勉強になった。日本のクラブ経営者・オーガナイザー・DJがこういう話してくれたら、尊敬できるんだけどな。日本のクラブカルチャーの話をしましょうと言って出てくるのは、ツバキハウス・YELLOW・芝浦GOLDの景気良かったときの話、有名人とのエピソード自慢、お酒で無茶した武勇伝。最近のクラブ論・DJ論は、ディスカウントリスト(集客)、ギャラ、リクエスト、客に対する棒立ち批判、ギャル付け等、ビジネスの話がほとんど。

日本のクラブ業界やDJの人たちって、普段から、国や東京都(地方自治体)の財政(税金の使われ方)に無関心、自分たちの仕事に直結するナイトタイムエコノミー政策や風営法でさえ、把握していない。セクハラや差別が横行していても、見て見ぬふり。男性の同性愛者以外のマイノリティには「クラブはそういうところ、嫌だったら来るな。」と排除。クラブ・ライブハウス禁煙化に伴い、喫煙者にご不便とご迷惑をお詫びしなきゃいけない。違法薬物に甘い。ベルリンのクラブのように社会貢献もしていない。外の人にわかるように、クラブやDJの価値、プレゼンスを示せていない。世間から嫌われているのは、ワイドショーのせいだけじゃないと思うよ。

そんな状況で、たった1か月弱、収入が途絶えたら大慌て。営業やめろというなら、補償しろ。正しいことを自分で判断できず、人任せ。従業員やクラバーの健康と安全、社会的責任なんて言葉は、誰も口にしない。影響を受けているのは、クラブ・音楽業界だけじゃないのに、自分たちのことで精一杯。ウイルスを怖がり過ぎという情報を流す。最新の正しい情報収集もせずに、クラブは万全・安全だと言って集客する。営業継続批判という身内批判は、叩いて謝罪させる。名前が残って後から批判されるのが怖いんだろうけれど、営業継続しているのは事実じゃん。クラブ営業に都合の悪いことを口にしちゃいけない、同調圧力が強い。内容を批判する勇気のない人は、必ず「言い方」を批判する。

 ベルリンのクラブKater Blauに行った人がウイルス陽性だと判明、クラブは閉鎖し、来ていた客に検査を受けるようクラブが呼びかけている。日本だとクラブに行ったことを黙っていそうだし、クラブの実名を明らかにしたことが批判されそう。人の命が第一優先なのに。

国民の安全より経済を優先し、マイノリティよりメジャーの利益優先、都合の悪いニュースは抑え込み、都合のよいフェイクニュースを流し、記録を消させる、マスコミは忖度して批判しない、日本のクラブ業界はまるで現政権のように映る。

影響力のある人が発言したら、一気に口を開いて語りだす。人の顔色伺って、安全なメジャーな流れに乗ろうとする。自分でできるだけ正確で十分な情報を収集し、批判されても自分が正しいと信じて決断できない。イベントを続けたい、続けないと生活に困窮する人は見たくない情報だとわかっていけれど、日本のマスコミのWHOの言葉の切り取り方が危なく、正しい情報が行き渡っていないと判断したから、浅沼優子さんが警告する前に、WHOからのメッセージ全文を和訳して公開していた。日本からWHOへの170億円寄付を報じているマスコミはゼロ。多くの人は、自分にいくら支給されるか、自分のイベントが補償されるかしか興味がない。前にも書いた通り、現金ばらまいて、小箱のイベントも補償して、さらに大麻なんかも解禁しておけば、きっとありがたがって現与党に入れちゃうんだよ。一旦払った自分の手を離れた税金と大きなお金の流れには興味ないから。

世界にはガチで迫害され、戦争で国を追われ、自分たちの文化の危機に面しても、命懸けで守ろうとしている人がいる。日本のクラブ業界の人は、自分たちの愛する職場を守るのに、さすがに脆弱過ぎたのでは。

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